この記事でご紹介する「DUNE/デューン 砂の惑星」は、2021年公開のSF大作。2024年3月公開の続編と2部作を構成するとされた1作目の作品。1965年に出版されたフランク・ハーバートによる大河小説「デューン砂の惑星」を原作としている。
過去にも複数回映像化されてきたこの物語も、21世紀に入ってからは初の映画化。超豪華キャスト、大規模予算による一大巨編に仕上がっている。
この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。
もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。
この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴、あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。
この映画を観るかどうか迷っている人、観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人 のことも考え、ネタバレしないように配慮しています。
ただし、本格的なSF映画ではあるが幻想的叙事詩の色合いが強く、かつ上映時間も155分と長いため、出来事がただ淡々と流れて行く作風は、かなり好き嫌いが分かれると思われる。観て損した!とならないためにも、この記事である程度予備知識を仕入れておきませんか?
ジャッジタイム (ネタバレなし)
この映画を観続けるか、見限るかを判断するジャッジタイムですが、
- 上映開始から35分00秒のタイミングをご提案します。
少し長いですが、この辺りまでご覧になるとこの映画の基本設定、物語の端緒が見えてきます。そして何より、この作品の世界観、テーストがつかめると思います。
ここから更に丸2時間ありますので、この時点で「何かこの映画つまらないな・・・没入できないな・・・」と感じたら、その直感は恐らく正しいので、さっさと撤収するのもアリだと思います。
概要 (ネタバレなし)
この作品の位置づけ
「DUNE/デューン 砂の惑星」(原題:Dune、通称:Dune Part1) は、2021年公開のSF叙事詩。フランク・ハーバートが1965年に発表した「デューン砂の惑星」を原作としている。2024年3月公開の後編作品(Part2)と2部作を構成するとされていたが、その2作目公開直前の報道によると全三部作になる見込み。
物語は、帝国配下の名門公爵家の一人息子の青年ポール(ティモシー・シャラメ)が、父の後継者として帝王学を学ぶ一方、帝国に裏から影響を与える秘密結社のメンバーである母からも超能力の訓練を受けているという設定が下敷きになっている。
その上で、帝国配下の有力大領家の弱体化を目論む皇帝の陰謀により、公爵家はライバルの男爵家と『砂の惑星』の利権争いに巻き込まれ、若き青年ポールは意に反してその渦中に巻き込まれて行くというのが1作目の概要である。
監督を務めたドゥニ・ヴィルヌーヴが、共同製作と共同脚本にも名を連ねており、ヴィルヌーヴ主導の映画作品であることが窺い知れる。
原作小説の「デューン砂の惑星」は、過去に複数回にわたってTVドラマ、もしくは映画で実写化されているが、ヴィルヌーヴは過去の映像化作品よりも原作に忠実に脚本化したと言われており、かつ、小説の世界観を余すことなく再現するためには2部作分の上映時間が必要だと判断し、本作を制作したと報じられている。
キャスト(登場人物)
役名 | 俳優 | 役柄 |
ポール・アトレイデス | ティモシー・シャラメ | 主人公。アトレイデス家の後継者 |
レディ・ジェシカ・アトレイデス | レベッカ・ファーガソン | ポールの母。レト公爵の妻。帝国にも影響力を及ぼす女性秘密結社ベネ・ゲゼリットのメンバー |
レト・アトレイデス公爵 | オスカー・アイザック | ポールの父でありアトレイデス家の公爵 |
スフィル・ハワト | スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン | アトレイデス家の重臣 |
ウェリントン・ユエ医師 | チャン・チェン | アトレイデス家の主治医 |
ガーニイ・ハレック | ジョシュ・ブローリン | アトレイデス家の将校。ポールの鍛錬役の1人 |
ダンカン・アイダホ | ジェイソン・モモア | アトレイデス家の将校。ポールの兄貴的存在。鍛錬役 |
チャニ | ゼンデイヤ | ポールの夢の中に出てくる砂の惑星の少女 |
スティルガー | ハビエル・バルデム | フレメンの部族長 |
ジャミス | バブス・オルサンモクン | フレメンの男 |
ウラディミール・ハルコンネン男爵 | ステラン・スカルスガルド | ハルコンネン家の当主 |
ケダモノのラッバーン・ハルコンネン | デイヴ・バウティスタ | ハルコンネン男爵の甥。側近 |
パイター・ド・ヴリース | デヴィッド・ダストマルチャン | ハルコンネン家の最側近 |
ガイウス・ヘレン・モヒアム | シャーロット・ランプリング | 女性秘密結社ベネ・ゲセリットの教母で、ポールの母ジェシカの恩師。シャダム4世に仕えている読真師 |
ベネ・ゲセリットの修道女 | スーアド・ファレス | ベネ・ゲセリットの一員で、帝国使節団の1人としてアトレイデス公爵家を訪ねる |
シャダム4世 | 名前だけしか登場しない | 宇宙帝国を統治する皇帝 |
イルーラン姫 | 名前だけしか登場しない | シャダム4世の娘の1人 |
使者 | ベンジャミン・クレメンティーン | 皇帝よりアトレイデス家に派遣された帝国使節団の団長 |
リエト・カインズ博士 | シャロン・ダンカン=ブルースター | アラキスに監察官として20年も暮らしている帝国の学者 |
評価
Rotten Tomatoes(ロッテン・トマト)では、83%とかなり高い支持率を得ている(Rotten Tomatoesでは60%以上が『新鮮』、60%未満が『腐っている』という評価)。そして総評においても、”『デューン』は時として、原作の扱いにくさに苦心することになります。しかし本作では、スリリングな視覚化の野心とその適用範囲によって、その問題が覆い隠されている” と、評されている。
要は、壮大で複雑な原作を、巧みに映像化したという評価なんだと思う。
商業的成果
この作品の上映時間は155分とかなり長い作品である。残念ながら制作費についての情報を見つけることは叶わず。世界興行収入は4億3千4百万ドルを売り上げ、かなりのヒットを記録したと言える。
あらすじ (35分00秒の時点まで)
砂の惑星アラキスは、広大な銀河の中でも唯一、希少資源のスパイスを採取できる星と知られ、当然のごとく長年利権争いの場となってきた。
このアラキスには、砂の民フレーメンと呼ばれる先住民が暮らしてきたが、今現在はハルコンネン男爵家がこの惑星に入植し、その強大な軍事力を背景にスパイス採取の管理権を独占している。ハルコンネン家が皇帝の目を盗んで着服している富は、もはや皇帝への上納額を上回ると言われており、ハルコンネン家のフレーメンに対する弾圧や、宇宙での横暴を許す要因となっている。
ところがある日、皇帝はハルコンネン男爵家に、80年間続けてきた惑星アラキスとスパイス採取の支配からの撤収を命じ、代わりに、アトレイデス公爵家にこれらを引き継がせると宣言した。
アトレイデス家は、惑星カラダンを領地としており、人望の厚い当主レト公爵(オスカー・アイザック)を筆頭に、優秀な武官・文官が揃い、帝国の中でも大変有力な大領家の一つである。
機知に長けたレト公爵(オスカー・アイザック)は、皇帝の意図はアトレイデス家とハルコンネン家の相討ちによる漁夫の利であることを見抜きながらも、皇帝への忠誠を示してこの試練を乗り越えれば、スパイスの利権でより大きな力を得ることになり、帝国に安寧をもたらすことが出来ると考えた。
こうした深慮遠謀に基づき、アトレイデス公爵家は皇帝の勅命のままに惑星アラキスの管理へと乗り出すのであった。
このレト公爵(オスカー・アイザック)には一人息子ポール(ティモシー・シャラメ)がいる。ポールは公爵家の嫡男であるため、父から少しずつ帝王学を学び、武官たちからマンツーマンの武術の手ほどきも受けている。
また、帝国を裏から支配しているとも噂される女性秘密結社ベネ・ゲゼリットの薫陶を受けた母からは、マインド・コントロールを含めた超能力の指導を受けている。
ところが当のポールはと言うと、その心優しい性格もあってか、公爵家内の荒くれ者たちとの人間関係は良好であるが、偉大な父の後継者になること、あるいは超自然的能力を身に付けること、このどちらにも今一つ乗り気ではなかった。
更にポールにはもう一つ悩みがあった。それは来る日も来る日も同じ夢を見ること。行ったことのない砂の惑星アラキスで、会ったこともない先住民フレーメンの若き娘(ゼンデイヤ)の夢を繰り返し見るのだ。
こうしてアトレイデス家は、慣れない砂漠での生活と、プレッシャーの掛かるスパイス精製の管理に乗り出して行く。物事はレト公爵が思うように進んで行くだろうか?青年ポールとその母ジェシカにはどんな運命が待ち受けているのだろうか?
見どころ (ネタバレなし)
この映画の見どころを、3つのポイントに絞って、ネタバレなしで書いてみたいと思います。
ただしこの3項目は、左脳で理知的に考えて、こういうところがこの映画の見どころに該当するんだろうなぁとひねり出したもので、右脳の感性で共鳴したものではありません。というのも、筆者は正直言って個人的にこの映画は全く面白くないと思っており、感情移入出来ていません・・・(個人の感想です)。
参考情報としてお読みください(ネタバレはしてません)。
壮大なスケールのビジュアル
惑星や砂漠、宇宙船や砂虫(サンドワーム)といった、巨大なものが次から次へと出てきます。壮大なスケールのビジュアルの映画と言えるでしょう。そこが本作鑑賞時にまず目に付く見どころとなります。
ただし、画面の構図として、大きな物を大きな画面で映し出して「ほらっ!大きいでしょ?」と言われているような気がしてなりません。大きさや長さは、例えばパンし続けるカメラ・フレームにいつまでたっても対象物が収まり切らないといった、時間的長さ等の別の要因と絡めてこそ観る者は強く意識できるのであって、ただ大画面に大きなものを映されても、「はい、確かに大きいですね」という感想を持つだけでした。
若き青年貴族ポール
ティモシー・シャラメが主人公の若き貴族ポールの役を演じます。見目麗しい美貌も手伝って、儚げな青年が、周囲からの期待や、自身の将来への期待と不安の中で葛藤する姿を演じています。
流石ティモシー・シャラメ!って思います。
しかしそれだけです。若き青年の内面の葛藤を、表情と会話劇のみで演出していくだけなので、大変一本調子に感じます。例えば細かなエピソードと絡めて、ストーリーテリングによって人物像が浮き彫りなって行くなら感情移入が出来たかもしれませんが、奥行きの無い人物造形に対して、それ以上でもそれ以下でもなくといった感じ・・・
アクションシーン・戦闘シーン
CGも駆使した迫力のアクションシーン・戦闘シーンが楽しめます。最新の映像技術がそこでは威力を発揮します。これは大きな見どころです。
ただし、”魅せ方”に真新しさが乏しいので、どのシーンもどこかで観たことあるような既視感が付いて回ります。
整理すると、ビジュアルもキャラクターもアクションもイマイチなんだとしたら、この映画は何を楽しんだら良いのでしょうか?
詰まるところそれは、この映画が持つ独特の世界観に惚れこめ!ってことなんだと思いますが、英数国理社全てが5段階評価で3の学生を、人柄の良さだけで一流企業に就職させろ!みたいな話に聞こえます。
皆さんの目にはどう映るでしょうか
まとめ
いかがでしたか?
この話題作の基礎的なデータは一通り取り揃えてお伝えしたつもりです。後は個人の感性、価値観で感じ取る部分だと思うので、そこはとやかく申しません。
この作品に対する☆評価ですが、
総合的おススメ度 | 2.0 | 楽しむとっかかりが無い |
個人的推し | 1.5 | 観なくて良いと思う。長いし。 |
企画 | 3.5 | 企画に罪はない |
監督 | 2.0 | 何がしたいのか不明 |
脚本 | 2.0 | 淡々と流れていくだけ |
演技 | 2.5 | 豪華出演陣の無駄遣い |
効果 | 2.5 | 音の響きだけが凄い |
このような☆の評価にさせて貰いました。
続編を観るために、このPart 1を観ようかと思っている方はこちらも参考にしてください。
色々色々中途半端過ぎて、筆者の理解力では良さが判りませんでした。