この記事では、フランシス・フォード・コッポラ監督がイタリアン・マフィアを描いた、20世紀の最高傑作映画の1つ「ゴッドファーザー」について解説します。
この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。
もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。
この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。
この映画を観るかどうか迷っている人、観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人 のことも考え、ネタバレしないように配慮しています。
ジャッジタイム (ネタバレなし)
本作品で、観続けるか、中断して離脱するかのジャッジタイムだけど、
- 開始から34 分00秒まで観て、このストーリーについて行けるか判断する
ことをお勧めしたい。
概要 (ネタバレなし)
この作品の位置づけ
言わずと知れたマフィア映画の金字塔 (1972年公開)。原題は「The Godfather」だけど、後に Part 2, Part 3 が製作されたので、広く世間ではこの無印の1作目を ”Part 1″ と呼んで区別する。
マフィア映画と書いたけれども、一般的なギャング映画とは一線を画す。というのも、確かにギャング映画に付き物の暴力描写は随所にある。結構ある。でも、作品の主題はあくまでも「家族」であって、主人公たちコルレオーネ・ファミリーが、マフィアの世界特有の弱肉強食的抗争に四苦八苦する様も当然描かれるが、それよりも対内的な家族間の関係性やその変化に、個性豊かな登場人物達が巻き込まれていく様が、とてもとても丁寧に掘り下げられていく作品。
先入観無く楽しめるか?
この作品は、とにかく色眼鏡を外して鑑賞できるか?先入観無く楽しめるか?が重要である。それでも凄く好き嫌いが分かれる作品だと思う。主にその理由は、
- とにかく上映時間が長い(177分)
- パッと見、全体的に画面が暗い(撮影時、演出照明に凝りに凝って陰影のメリハリを付けた映像美と理解いただきたい)
- 決してスカっとするようなストーリーではない
というのが挙げられる。
芸術的評価
この映画は、「アメリカ国立フィルム登録簿」(National Film Registry) に登録されている。これは、連邦政府国立フィルム保存委員会(The United States National Film Reservation Board)が毎年25作品を選定するもので、本作品が、アメリカの文化的、歴史的、芸術的に、後世に多大な影響を与えたことが公的機関からも認められた証である。
見どころ (ネタバレなし)
登場人物の演技や、コマ割りの演出を存分に味わって貰えたらと思う。
躍動感のある動きの大きな演技、抑制の効いた目の動きだけで心情を語る演技、一方で動きが全くない情景描写による緊張感や虚脱感。映画の素晴らしさがギッチリと詰まっていると思います。
また、作られて50年以上の時を経ても、評価が全く下がらないのは、(舞台装置がたまたまイタリアン・マフィアなだっただけで、)この作品が見事に浮き彫りにした「家族」というテーマが、人や社会にとって普遍的なものだからだと思う。
近年 U-Next で製作された「The Offer」という、この映画の制作秘話を全10話のシリーズに凝縮したドラマを観ると、この映画が当時いかにエポック・メーキングであったかがよぉーく解かる。映画好きで、この作品をまだ観たことが無いのであれば、必須履修科目だと思ってご覧になるのはいかがだろうか?
特にアル・パチーノの演技が圧巻。この映画の主役はマーロン・ブランドで、実際にアカデミー主演男優賞を獲ったぐらいの存在感なんだけど、初めてご覧になる方は、パチーノが扮するマイケル役の目線でストーリーを追っていくと自然と没入できるのではないかと。
その他の情報
筆者のおススメ度合いは 4.5/5.0 です。
是非見て頂きたいですが、暴力シーンが苦手という方の分を考慮してこの☆です。
アカデミー賞の作品賞、主演男優賞(マーロン・ブランド)、脚色賞を受賞