話題の記事続編なのに1作目の質を超えた映画5選

【ネタバレなし】実話映画「アポロ13」(あらすじ、キャスト、無重力撮影 etc)

この記事でご紹介する「アポロ13」は1995年に公開された宇宙もの映画。ただしSF(サイエンス・フィクション)ではなく、1970年に実際に起きた宇宙船アポロ13号の爆発事故を映画化した作品。アポロ13号の船長であったジム・ラヴェルとジャーナリストのジェフリー・クルーガーが1994年に発表した「Lost Moon: The Perilous Voyage of Apollo 13」を原作とした実話に基づく物語。

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

主人公、アポロ13号の船長ジム・ラヴェルをトム・ハンクスが演じ、三年連続のアカデミー主演男優賞受賞を狙ったが叶わず。一方で作品自体は、アカデミー編集賞、録音賞の二部門を受賞。この事実が示唆するのは、この映画の臨場感は着実に観客を虜にするということ。特に無重力撮影!

このハラハラドキドキのパニック・ムービーの世界を、この記事でちょっと一緒に予習しませんか?

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

この映画を観続けるか、見限るかを判断するジャッジタイムですが、

  • 上映開始から26分10秒のタイミングをご提案します。
26分10秒

ここまでご覧になると、この映画のテーストがつかめます。そしてアポロ13号(=13回目の飛行計画)に搭乗する3名のクルーが、どのような経緯で搭乗員に任命されるかが見えてきます。

この映画を好きか嫌いか判断する最短のタイミングだと思いますので、まずはこの辺りまではご覧になってみてください。

概要 (ネタバレなし)

この作品の位置づけ

「アポロ13」(原題:Apollo 13) は、1995年公開の宇宙ものパニック・ストーリー。1970年に実際に起きた、月面着陸用宇宙船アポロ13号の爆発事故の顛末(てんまつ)を描いた作品。

アポロ13号は、地球を飛び立ち月に向かう途中で、爆発事故により機体の一部を損壊する。これは、即座に乗組員を失う規模の爆発ではなかったものの、対処策を講じないと残った機体と乗組員は地球に戻れないジリ貧な状況に陥いる。映画では、地上訓練、発射、爆発事故、対処…といった一連の流れをリアルに再現している。

監督はロン・ハワード。ハワード監督は「アメリカン・グラフィティ」(1973年) で俳優デビューを飾ったが、徐々に活躍の場を演技から監督業に移した映画人。幾つかの作品で監督経験を積み、「バックドラフト」(1991年)、「遥かなる大地」(1992年) といった大作を手掛け、本作「アポロ13」(1995年) に至っている。

「アポロ13」(1995年) 以降のキャリアはと言うと、監督と製作(ブライアン・グレイザーと共同)の二役を務めた「ビューティフル・マインド」(2001年) でアカデミー監督賞・作品賞を受賞。監督を務めた「ダビンチ・コード」(2006年) では世界興行収入が7億ドルを突破した。

なお、本作「アポロ13」の制作を担っているイマジン・エンターテイメント社は、監督のロン・ハワードと製作のブライアン・グレイザーが1986年に共同で立ち上げた制作会社である(ブライアン・グレイザーは、「ビューティフル・マインド」「ダビンチ・コード」でも製作を担当)。二人は盟友なのである。

公開年 邦題 原題
1977年 バニシングIN TURBO Grand Theft Auto
1982年 ラブ IN ニューヨーク Night Shift
1984年 スプラッシュ Splash
1985年 コクーン Cocoon
1986年 ガン・ホー Gung Ho
1988年 ウィロー Willow
1989年 バックマン家の人々 Parenthood
1991年 バックドラフト Backdraft
1992年 遥かなる大地へ Far and Away
1994年 ザ・ペーパー The Paper
1995年 アポロ13 Apollo 13
1996年 身代金 Ransom
1998年 エドtv Edtv
2000年 グリンチ How the Grinch Stole Christmas
2001年 ビューティフル・マインド A Beautiful Mind
2003年 ミッシング The Missing
2005年 シンデレラマン Cinderella Man
2006年 ダ・ヴィンチ・コード The Da Vinci Code
2008年 フロスト×ニクソン Frost/Nixon
2009年 天使と悪魔 Angels & Demons
2011年 僕が結婚を決めたワケ The Dilemma
2013年 ラッシュ/プライドと友情 Rush
2013年 メイド・イン・アメリカ Made in America
2015年 白鯨との闘い In the Heart of the Sea
2016年 ザ・ビートルズ〜EIGHT DAYS A WEEK – The Touring Years The Beatles: Eight Days a Week
2016年 インフェルノ Inferno
2018年 ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー Solo: A Star Wars Story
2019年 パヴァロッティ 太陽のテノール PAVAROTTI
2020年 ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌 Hillbilly Elegy
2022年 13人の命 Thirteen Lives
ロン・ハワードの監督作品

キャスト

キャストは、ジム・ラヴェル船長を演じたトム・ハンクスを筆頭に、ビル・パクストン、ゲイリー・シニーズ、ケビン・ベーコンといった多くの名優が出演している。

役名 俳優 役柄
ジム・ラヴェル トム・ハンクス アポロ13号の船長
フレッド・ヘイズ ビル・パクストン 宇宙飛行士
ジャック・スワイガート ケヴィン・ベーコン 宇宙飛行士
ケン・マッティングリー ゲイリー・シニーズ 宇宙飛行士
ジーン・クランツ エド・ハリス 地上管制の責任者フライト・ディレクター
マリリン・ラヴェル キャスリーン・クインラン ラヴェル船長の妻
バーバラ・ラヴェル メアリー・ケイト・シェルハート ラヴェル船長の娘
ジェフリー・ラヴェル ミコ・ヒューズ ラヴェル船長の息子
ブランチ・ラヴェル ジーン・スピーグル・ハワード ラヴェル船長の母(ロン・ハワード監督の実母)
サイ・リーバゴッド クリント・ハワード 技術者
NASAディレクター ジョー・スパーノ NASAディレクター
アポロ13の主要なキャスト

原作本

この映画には原作本があり、実際にアポロ13号に搭乗していたジム・ラヴェル船長本人と、ジャーナリストのジェフリー・クルーガーが、映画公開の前年1994年に発表した「Lost Moon: The Perilous Voyage of Apollo 13」に基づいている。つまり、この映画は端的に言うと実話ということになる。

実話と映画の違い (※ ネタバレを含みます)

この映画では演出効果を高めるため、幾つかの点で実話と異なる場面があると知られている。ネタバレを避けるために表現はボカすが、幾つか列挙してみたいと思う。本作品を初見の方は、この節は読まずに飛ばしても良いかも知れない。

妻マリリンの予感

宇宙船が事故を起こす悪夢を見るシーンがあるが、これは演出。ただし、指輪は本当に失くしたらしい…

乗組員の交代

ジム・ラヴェルのチームの乗組員が交代になるくだりがある。これは史実だが映画ほど直前の交代ではなかった。

宇宙船内でのいさかい

事故発生後宇宙船内で乗組員同士が言い争うシーンが出て来るが、実際はそのようないさかいは無かった。それは実際のクルーがより冷静沈着だったのではなく、言い争う余裕すらないひっ迫した状況であったから。

事故後の船内の室温

映画ほど寒くなかったという説が・・・

エド・ハリスとゲイリー・シニーズの大活躍

劇中では、エド・ハリス扮するジーン・クランツ(フライト・ディレクター)とゲイリー・シニーズ扮するケン・マッティングリー(宇宙飛行士)が大活躍する。確かに彼らは活躍したが、実際はここまで孤軍奮闘ではなかった…?

アポロ13号内のCO2の濃度

映画では、アポロ13号内のCO2(二酸化炭素)の濃度に焦点が当たる。実際には、映画より更に危険な濃度まで上がったと言われる。この点については、映画が”盛る”のではなく、現実の方がより危機的な状況であったらしい。

芸術的評価

この作品は、1995年度、第68回アカデミー賞において、編集賞と録音賞を受賞している。この編集、録音技術だけに拠るものではないが、これらの撮影・編集技法によって、とんでもないリアリティを発揮しているのは間違いない。

商業的成功

この映画の上映時間は140分で、標準より長めである。ただし、秀作パニック・ムービーとして、前半の振りはやや長目であるが途中からストーリーが目に見えて加速して行くので、それほど長さは感じないと思う。

製作費は5千2百万ドルで、世界興行収入は3億5千5百万ドルを売り上げた。実に6.8倍のリターンである。

6.8倍のリターン

絶対額としても、利益率としても大ヒット作品である。

あらすじ (26分10秒)

故ジョン・F・ケネディ大統領が1961年に掲げたアポロ計画。人類を月に送って無事に地球に生還させるという、この遠大なプロジェクトは、アポロ1号の火災事故、アポロ11号の月面着陸成功と、紆余曲折を経て今アポロ13号に至ろうとしていた。

ただし、11号が1969年7月20日に人類初の月面歩行を成功させたことで、アメリカ国民の興味関心は急速に薄まりつつあり、アポロ計画はいつ打ち切りになってもおかしくない世相にさらされていた。

そんな中、アポロ14号の乗組員に内定してたジム・ラヴェル船長(トム・ハンクス)とそのチーム・メンバーは、13号チーム・メンバーの体調不良により、14号から13号の搭乗に繰り上げ指名される。

こうして、日に日に近づく月面に向けた打ち上げに備え、日々過酷な訓練に耐えるジム・ラヴェル船長(トム・ハンクス)、フレッド・ヘイズ(ビル・パクストン)、ケン・マッティングリー(ゲイリー・シニーズ)。

ところが、打ち上げの2日前になって、13号のバックアップ・チームの1人が風疹にかかり、日々訓練を共にしている正規チームの3名も自ずと濃厚接触者扱いになってしまう。そして、内2名は抗体があるので問題は無いが、ケン(ゲイリー・シニーズ)だけは抗体がないので、数日後に発症・発熱の可能性が生じてしまう。

もし2日後から始まるアポロ13号での任務中にケンが発熱をすると、ミッション全体に重大な影響を及ぼすことになる。そこでジム・ラヴェル船長は、ケン1人を交代させるか、チーム全体で搭乗を辞退するかの苦渋の選択を迫られる。

悩んだ末最終的に、ジム・ラヴェル船長は、ケン1人を交代させる決断を下し、代わりにジャック・スワイガート(ケヴィン・ベーコン)がバックアップ・チームから繰り上げ編入される。

残り2日と時間が無い中、ジャックを組み入れた新たな3人組で訓練メニューをこなしていくが、阿吽の呼吸が崩れたためか、シミュレーション訓練は思うに任せず失敗ばかりを繰り返す。

果たして、新チームであるジム(トム・ハンクス)、フレッド(ビル・パクストン)、ジャック(ケヴィン・ベーコン)は、無事打ち上げに成功するのだろうか?彼らの月面着陸任務は、どのような経過を辿るのだろうか…?

見どころ (ネタバレなし)

この映画の見どころを3つのポイントに絞って書いてみたいと思います。これら3つが有機的に結合することでこの作品を極上のパニック・ムービーに仕上げていると思います。

どれもネタバレなしで書いていきますので、この映画をより味わい深く鑑賞するための一助になれると嬉しいです。

実話

とにかくこの映画の見どころは、実話だということだと思います。確かに演出はあるかも知れないけど、真実のドラマだということがこの上ない魅力です。なので、映画を観ているというより、途中から歴史を追体験、事件の目撃者になっているような没入感が得られます。とにかくこの叙事詩に身を投じちゃってください。

リアルな映像

撮影されたのが1990年代中盤であることもあり、当時最先端のCG(コンピュータ・グラフィックス)技術、伝統的な精密模型を用いた特殊撮影、そして、予算と手間を掛けたリアルなセットによる実写撮影がなされていて、これにアカデミー賞を受賞した録音、編集技術が彩りを添えるわけだから臨場感溢れる作品にならないわけがない。実話の実録的再現性がメチャクチャ高いです。

特に、Vomit Comet (ゲロ吐き彗星) と呼ばれるKC-135機を用いた無重力撮影が圧巻です。

KC-135機は、NASAの無重力訓練に実際に使用される特別な飛行機で、急上昇の後に放物線上に急降下を行うことで機内に25秒ほどの無重力状態を作り出せる。撮影では、この機内にアポロ13号機内のセットを組み、この放物線飛行を繰り返すことでテイクを積み重ねたとのこと。

20秒強の間に正確な演技とカメラワークを再現する必要があるため、周到なリハーサルを繰り返した上で、このリアルなシーンを私たちに届けてくれたことになります。

「実話」 + 「リアルな映像」による再現力に勝る物があるでしょうか?

豪華キャストによる人間ドラマ

あっ!勝る物ありました!それは、俳優たちの演技です!この作品が単なる記録映像にとどまらないのは、やっぱり豪華キャストが織りなす人間ドラマだからだと思います。

これをアポロ13に乗船するクルーの目線、

地上のNASAから支援するプロフェッショナル集団の目線、

そして、自宅でヤキモキしながら無事を祈る家族の目線と、複眼的に描写することで、物語は立体的に形作られて行きます。

あわわっち

引き込まれること請け合いです!

まとめ

いかがでしたか?

1990年代中盤に出現した実話に基づく映画。現在のようにフルCG撮影でないので、何とも言えないアナログのリアリティが溢れてきます。

この作品に対する☆評価ですが、

総合的おススメ度 4.0 単なるエンタメにとどまらない名作
個人的推し 4.5 好きです。理屈じゃなく。
企画 3.5 素直に素材が素晴らしい
監督 4.5 ロン・ハワードのバランス感覚!
脚本 4.0 コンパクトにまとまっている
演技 4.5 見事な団体芸
効果 4.5 撮影・編集・音響・録音技術!
こんな感じの☆にさせて貰いました

このような☆の評価にさせて貰いました。

実録映画であり、エンタメ作品であり、ヒューマン・ドラマであり、どのアングルで切り取っても秀逸な作品。ロン・ハワード監督のバランス感覚が冴え渡ります。

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