話題の記事続編なのに1作目の質を超えた映画5選

【ネタバレなし】映画ダンケルク 場所・時系列(タイムライン)を図解解説

この記事では、鬼才クリストファー・ノーランが新たに着手した、歴史史実シリーズの1作目「ダンケルクについて解説します。第二次世界大戦のダンケルク撤退戦を、独自視点で切り取るために、時系列(タイムライン)を編集でいじっています。その解説も図解入りで説明しています

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人 のことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

クリストファー・ノーランらしい見事な映像美と、静と動のハッキリした流れ。慣れてくると病み付きになる世界観です。この記事で予習して、この独特な「ダンケルク」の世界にちょっと足を踏み入れてみませんか?

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

本作における、そのまま見続けるのか、中断して離脱するのかのジャッジタイムですが、

  • 上映開始から10分00秒をご提案しま
10分00秒

何故なら最初の10分間で、本作に設定される3つ視座である【陸】【海】【空】のシーンが一旦出揃うからです(詳細は後述)。「おおなるほど!こういう進行をするのね」と興味を引かれるのか「こういうの疲れる・・・」と見切るか、まずは最初の10分間を観てみてください。

あっつ

あっさりと馴染めて、シックリくることを祈ります!

概要 (ネタバレなし)

この作品の位置づけ

ダンケルクは2017年に公開された戦争映画。第二次世界大戦初期(1940年5月26日~6月4日)に、ドイツ軍に包囲された連合軍がフランス最北端の港湾都市ダンケルクにまで追い詰められながらも、ギリギリのところで船舶を総動員し、33万人のイギリス兵・フランス兵にドーバー海峡を渡らせイギリスに撤退させた”ダンケルクからの撤退”を題材にしている。

ちなみにダンケルクの場所とはココです。百聞は一見に如かず。地図中のマイナスボタンを数回押して貰うだけで、何故この地域に逃げ込んだのかが一発でご理解頂けると思います。

本作品は、クリストファー・ノーランが、製作、脚本、監督を担当している。ただし、本作の前後にノーランが製作した「インセプション」「インターステラー」「テネット」のようなSF映画とは異なり、”ダンケルクからの撤退”を写実的に淡々と描く作風であることに予め留意されたい。

特筆すべきは、戦闘を大局的に描く伝記風作品とは一線を画し、登場人物たる特定のイギリス軍関係者個人個人の目線を通して戦闘の現場を描くことにこだわり、撤退作戦の数日間の様子を登場人物たちの息遣いも含めて細かく描写して行くアプローチが採られている点だ。

あわわっち

ノーランの一連のSFアクションとは異なる、落ち着いた作風を楽しんで!

ノーラン作品独特の時系列いじり

ただし、ノーランのSF映画群とは趣が異なると述べたが、ノーラン・ワールドは健在で、ノーラン映画の特徴である「時の流れ(タイムライン)」へのこだわりと「時系列の切り刻み」は内包されている。

すなわち、本作品ではストーリーが以下3つの目線から重複して描かれるという、初見では若干難解な構成となっている。

  1. – ダンケルクから撤退しようとしているイギリス陸軍兵士トミーの1週間
  2. – 政府からの船舶臨時徴用に応じて、イギリス本土からダンケルクに個人船で向かう民間人ドーソン達の1日間
  3. – 撤退を空から支援すべく空路を戦闘機でダンケルクへと急ぐイギリス空軍兵士ファリアの1時間

これらは単一時系列上に共存する世界線で、【海】の1日間は【陸】の1週間の最後の1日間と同一であり、【空】の1時間は【陸】と【海】の最後の1時間と同一という関係なのだが、編集上ではこれら3つの世界線(タイムライン)が映画の冒頭からヨーイドンで同時並行的に進行して行く。絵にするとこんな感じ。

よって、映画の割と序盤に【空】目線で起きた事象が、【陸】目線では映画後半になってようやく起きるという、時間軸(タイムライン)の縮尺の違いが折り込まれて行くことになる。この結果、同じ事象が上映中、少し間を空けてから視座を変えて描写される(=同一の事象が異なる目線から複数回描かれる)ことになる。これは同じ対象でも見る視座が異なると受ける印象が全く異なってくることを狙った演出なんだと思うんだけど、初見だとこれが解りにくいので予め宣言させて貰いますね。

あっつ

初めて観た時、この手法に混乱しちゃったんですよね・・・

見どころ (ネタバレなし)

この映画の見どころを4つの視点に絞って書いてみたいと思います。もちろん、ネタバレなしなので、予習情報として安心して読んでください。

過剰な演出が無い

ネタバレなしの最小限度のネタチラを意識して書くと、過剰な演出が無いので、その点がどんな風に感じられるかを楽しんで頂きたい!となります。

というのも本作品では、戦争映画にありがちな主人公補正が掛かったヒロイズムとか、いたずらにヒューマニズムをデフォルメする人情ポルノとか、ナチス・ドイツとの過剰な敵対構造を作り上げる勧善懲悪演出とか、筆者にはその手の誘導が感じられませんでした。なので、このニュートラルで淡々とした描写をベースラインとして、逆に皆さんが個人として何を強く感じとるのかに大変興味があります。その辺りを存分に楽しんで頂きたいです!

陸・海・空の視座の違い

既述のように、異なる視座(陸・海・空)から、時間軸(タイムライン)の縮尺の違いを活かして、同一の対象を繰り返し描く演出が随所で見られます。これがどんな風に皆さんの目に映るのか?こちらもご注目です!

上映時間の短さ

上映時間が106分と、ノーラン映画にしては異常な短さです!ただし、撤退戦の独特の緊張感があるので…

ハンス・ジマーの音楽

音楽をハンス・ジマーが担当している。これはノーランによる「ダークナイト」「インセプション」「ダークナイト・ライジング」「インターステラー」に引き続く5作連続の起用となる。これにより、ノーラン映画独特の世界観が本作でも手堅く演出されています!

こちらは鑑賞後の復習ネタですが、一部で急に趣が変わる曲が出てくるような… ご興味があればSpotify 等でサントラのHOMEという曲を、映画鑑賞後に聴いてみてください。この曲調の変容が、ストーリー上何を表現しているのか?を考えてみるのも面白いかも知れません(特に複数回視聴される場合)。

あわわっち

ノーランとジマーは、製作時どんな打ち合わせしてるんでしょうね?どっちが主導権を握っているのだろう???

出演:フィン・ホワイトヘッド, 出演:トム・グリン=カーニー, 出演:ジャック・ロウデン, 出演:ハリー・スタイルズ, 出演:アナイリン・バーナード, 出演:ジェイムズ・ダーシー, 出演:バリー・コーガン, 出演:ケネス・ブラナー, 出演:キリアン・マーフィー, 出演:マーク・ライアンス, 出演:トム・ハーディー, Writer:クリストファー・ノーラン, 監督:クリストファー・ノーラン, クリエイター:エマ・トーマス, プロデュース:クリストファー・ノーラン, プロデュース:ジェイク・マイヤーズ
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その他の情報

筆者の本作に対するおススメ度合いは、 4.0/5.0 です。

視座の違いを演出に活用することには手離しに賛同できるけれども、時間軸の縮尺まで変える必然性がイマヒトツしっくりこない恐れがあるのと、あまりに淡々とした演出にどこまで感情移入できるのかの2点について賛否が分かれるところだと思います。

アカデミー賞の編集賞、録音賞、音響編集賞を受賞しています。

あわわっち

皆さんは、ノーランらしいようでノーランらしくない。ノーランらしくないようでノーランらしい本作品をどう楽しみますか?

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