話題の記事続編なのに1作目の質を超えた映画5選

【ネタバレなし】球場は実在「フィールド・オブ・ドリームス」(実話?テレンスマンのモデルは?)

この記事でご紹介する「フィールド・オブ・ドリームス」は、1989年公開の野球を題材にしたファンタジー映画。この映画のヒットでケビン・コスナーは人気を不動の物としました。古き良きアメリカで人気No.1 スポーツだったベースボール。本作では、このかつての絶対的な娯楽に対する郷愁を軸に、人間としての信念、そして家族愛が描かれており、生涯ベスト映画に本作を選出する映画ファンも少なくないです。

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

MLB(メジャーリーグ・ベースボール)史上最大の八百長事件となった「ブラックソックス事件」を背景にしているとは言え、野球好きでもそうでない方でも楽しめる普遍的なテーマが美しく、一度はご覧になって頂きたい名作です。この記事で、一緒にこの作品の世界に少し足を踏み入れてみませんか?

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

この映画を観続けるか、見限るかを判断するジャッジタイムですが、

  • 上映開始から28分10秒のタイミングをご提案します。
28分10秒

ここまでご覧になると、この映画のテースト(美しさ)を確認出来ると思いますし、事の発端が見えます。好き嫌いを判断するのに十分な情報が得られると思います。観続けるかご判断ください。

概要 (ネタバレなし)

この作品の位置づけ

「フィールド・オブ・ドリームス」(原題:Field of Dreams) は、1989年公開のファンタジー映画。ウイリアム・パトリック・キンセラの小説「シューレス・ジョー」を映画化した作品。アイオワ州の片田舎で、経営の芳しくない農場を営む主人公が、どこからともなく突如聞こえるようになった”お告げ”に従い、自身の農場の一部を潰して野球場を設営したところ、不思議な出来事が次々と起きて行くという物語。

タイトルの”フィールド・オブ・ドリームス”(夢のフィールド)とは、その自営の野球場のことであり、プロ野球の世界のことであり、最高峰のメジャーリーグ・ベースボールの舞台のことであると捉えるのが自然な解釈だと思う。

野球と距離を置いた者、プロ選手への道を志半ばで諦めた者、不本意な形で野球界を去った者など、十人十色の野球との関わり方、野球への想い、そして、野球への郷愁が描かれており、それぐらい”野球愛”に満ちた作品となっている。

今や、NFL(アメリカン・フットボール)、NBA(バスケットボール)の後塵を拝し、メジャーリーグ・サッカーにもその地位を脅かされているMLB(メジャーリーグ・ベースボール)であるが、この映画を観ると、少なくとも当時のアメリカ人のアイデンティの奥深いところには、”ベースボール”のDNAが根差していると感じられる作風である。

脚本と監督を担当しているのは、フィル・アルデン・ロビンソンである。ロビンソンにとって、本作品は2本目の監督作であり、4本目の脚本提供作である。詳細は後述するが、ストーリーに即した、実に美しいカット、構図、映像を撮ったと思う。

ブラックソックス事件との関わり

このストーリーの下敷きには、1919年に起きた「ブラックソックス事件」というメジャーリーグ・ベースボール史上最大の八百長スキャンダルがある。シカゴに本拠地を置くシカゴ・ホワイトソックスに所属する8選手(含む、シューレス・ジョー・ジャクソン)が、どケチなオーナーによる低賃金雇用に嫌気がさし、あろうことかワールドシリーズ(全米チャンピオン決定戦)で八百長に加担したという事件だ。

8人は、刑事訴追は免れたものの、プロ野球界からは永久追放されてしまい、二度とメジャーリーグの舞台には立てなくなってしまう。これは、圧倒的人気ナンバーワン・スポーツであったベースボールの歴史に大きな影を落とす事件となった。

映画冒頭で、ケビン・コスナー扮するレイ・キンセラの声でこの経緯(いきさつ)がナレーションで簡潔に語られるが、上記のような背景を把握していると、よりこの「フィールド・オブ・ドリームス」を楽しめると思う。

なお、この事件の内情を詳しく描いた映画として、同名ノンフィクション小説を映画化した「エイトメン・アウト」(原題:Eight Men Out) という作品が、「フィールド・オブ・ドリームス」の前年1988年に公開されている。この作品は日本では未公開であったが、ジョン・キューザックやチャーリー・シーンが出演している実話映画である。

「フィールド・オブ・ドリームス」は、「ブラックソックス事件」という実際に起きた事件を下敷きにしてはいるが、全く持って創作である。

商業的成果

この作品は107分と、若干短めの上映時間になっている。世界興行収入8千4百万ドルを売り上げたヒット作である。製作費が不明なため、商業的にどのぐらいのリターンをもたらしたのかは分からない。

芸術的評価

この映画は、「アメリカ国立フィルム登録簿」(National Film Registry) に登録されている。これは、連邦政府国立フィルム保存委員会(The United States National Film Reservation Board)が毎年25作品を選定するもので、本作品が、アメリカの文化的、歴史的、芸術的に、後世に多大な影響を与えたことが公的機関からも認められた証である。

選定されたのは、公開から29年を経た2017年であるが、この作品の視覚的な美しさ、ストーリー、そして精神世界の尊さに鑑みれば、当然の結果かも知れない。

あらすじ (28分10秒の時点まで)

母親が幼少期に早逝したために、ニューヨークのブルックリンで、元マイナーリーガーの父親により男手一つで育てられたレイ・キンセラ(ケビン・コスナー)は、幼少期は一緒に野球を楽しむなど、父との関係は良好であったが、成長と共に次第に父親と反目するようになる。遂には大学進学時には自宅からより遠くに離れることを目論んで、西海岸のカリフォルニア州バークレーに進学する。

父とは疎遠のまま、大学で1960年代のヒッピー・ムーブメントにドップリと浸かり、大学で知り合ったアニー(エイミー・マディガン)と卒業後に結婚して、アニーの故郷アイオワに移住する。父はその年に亡くなる。

夫婦はそのまま娘をもうけ、36歳の時にアニーの突然の発案からトウモロコシ畑を買って農場経営者となった。

そんなある日の夕暮れ時、レイがトウモロコシ畑の点検をしていると、突然謎の声が耳に入る。それは「If you build it, he will come(それを造れば、彼は来る)」というものだった。最初は空耳を疑ったレイであったが、その声は何度も何度もレイに同じ言葉を告げる。

翌日にもその声を耳にしたレイは、ついにはトウモロコシ畑の中に、ナイター設備も具備した立派な野球場と、ある野球選手の幻影を見てしまう。レイは一連のメッセージを「トウモロコシ畑の中に野球場を造れば、シューレス・ジョーがやってくる」と解釈する。

どう考えても正気の沙汰とは思えないアイデアであったが、父のように何もせずに老いることを忌み嫌ったレイは、妻のアニーの同意もあり、畑を潰して野球場を建設することを決意する。この決断は周囲の人間の嘲笑を買ったが、キンセラ一家の3人は、他人の反応を意にも介さない。

その後数か月の間、野球場には誰も来ず、何も起きない。レイ(ケビン・コスナー)は、相変わらず愛する妻と幼い娘と3人で仲良く暮らしてはいるが、野球場建設によるトウモロコシ畑の減反が総売上に打撃を与え、また、野球場建設に貯金をはたいたために、銀行への返済資金がショートして、農場経営は一気に傾いていく。

しかし、そんなある晩、キンセラ一家の野球場に遂に一人の男が姿を見せる。そう、現れたのは、シカゴ・ホワイトソックスのユニフォーム姿のシューレス・ジョー(レイ・リオッタ)である。レイとジョーは自己紹介をし、ひとしきり2人で野球のプレーを楽しむ。

ジョーは決して愛想は良くなかったが、レイの家族にも挨拶をし、またこの球場でプレーをしたい、仲間の7人も連れて来たいと告げ、一家と再会の約束をし、球場の外野側のトウモロコシ畑の中に姿を消す…

果たして、他の7人もキンセラ一家の球場に現れるのだろうか?一家の財政はどうなっていくのだろうか?

見どころ (ネタバレなし)

この映画見どころを、6つの観点で述べてみたいと思います。もちろんネタバレはしませんが、予備情報として頭に入れておくと、より本作品への理解が深まると思しき内容については、積極的に書いてみたいと思います。

アイオワの美しい景色

この映画の主な舞台は、アイオワ州の片田舎にあるトウモロコシ畑であり、実際の撮影場所もアイオワ州の小さな町、ダイアーズビルの農場で撮影されました。この野球場は、映画公開後も「Field of dreams Movie Site」として保存され、観光地化されていると聞きます。

作中では、このアイオワの美しい農場の景色が、暖色系強めの色に加工された映像で見事に切り取られ、大変美しいです。もはや美しいを飛び越えて幻想的ですらあります。この現実と夢の中間のちょうどよい塩梅が、”Field of dreams(夢のフィールド)”という魔法のような空間を、必要以上にリアリティを失うことなく映像化されて行きます。

撮影監督を担当したジョン・リンドリ―は、後年「マイケル」(1996年)、「ユー・ガット・メール」(1998年)の撮影監督も担当するなど、ファンタジーと現実との絶妙なバランスを映像化することに長けている映像作家なんだと思います。

主観となるケビン・コスナーの名演技

(作品自体の品質とは無関係に、)商業的”ヒット作”と”ハズレ作”とに交互に出演すると評判のケビン・コスナーさん。「アンタッチャブル」(1987年)で一躍人気を博し、「追いつめられて」(1987年)で不評を買い、「さよならゲーム」(1988年)で大コケした後に、本作「フィールド・オブ・ドリームス」(1989年)に主役として出演しています。

そんな外野の心無い揶揄は置いておいて、この「フィールド・オブ・ドリームス」でのケビン・コスナーの演技は、ハッキリ言って抜群です!流石、本作品で唯一の”Billed Above the title” の出演者(=タイトルの前に名前がクレジットされる主役級扱いの俳優)です。

この作品は、映画冒頭にケビン・コスナーの声で背景説明のナレーションが入ったり、娘のカリンからの質問に答える体(てい)を取って、レイ(ケビン・コスナー)が状況を説明したりと、物語は、徹底してレイの目線、すなわち ”レイの主観”で描かれて行きます。

そんなストーリーの”視座”を提供するレイの演技が、トム・クルーズばりの大きなボディ・ランゲージとむき出しの感情表現だったら、観る側はあっという間に白けてしまい、この作品の”夢のような世界”が嘘くさくなっちゃうと思うのです。

ところが、ケビン・コスナーさん演じるレイ・キンセラは、抑えた声で話し、静かな表情を湛えている中で、時折少年のような笑顔を見せます。これが、父親や自分自身、そして妻や娘に対して、複雑な思いを抱える下地となって行き、映画に深みをもたらします。是非是非、ご自身の目でご覧になってみてください。

普遍的なテーマ

ここまで読んでこられた方の中にも、この映画って要は野球映画なの?って思われる方も多いかも知れませんが、そんなことはありません。野球(ベースボール)はあくまでも物語の触媒に過ぎなくて、描かれているのはもっと普遍的なテーマです。

それは、家族を守ること、夢を追うこと、夢を追う家族を応援すること、そして自分のルーツを探ること…

そんな、誰だって人生の中で一度や二度ならず、悩んだり、壁にぶつかったり、葛藤したりした経験のあるテーマが、たまたま野球場を舞台に描かれて行くだけです。だから、多くの人が、この映画をご覧になると、良くも悪くも心の奥深いところで、感情を揺さぶられるんじゃないかと思います。

レイ・リオッタの存在感

レイ・リオッタが、ブラックソックス事件で球界を追放された ”シューレス”・ジョー・ジャクソン役で登場します。こういう情報って、ネタバレになっちゃうんじゃないのなんて思いながらこの映画を観ると、冒頭のタイトルロールにハッキリとそう書かれているので、これ自体は公開当時から秘匿情報でもなんでもなかったようですね。

そのレイ・リオッタが、(少なくともこの映画内では)朴訥(ぼくとつ)で、野球バカで、往年の名プレーヤーである”シューレス”・ジョーを見事に演じます。口数が少ないキャラなので、セリフは少ないのですが、レイ・リオッタが持つ独特の雰囲気と相まって、ミステリアスなジョーが完成しています。楽しみにしていてください!

MLB の試合も開催

この映画では、”ベースボール”が非常に重要かつ象徴的なシンボルとして扱われています。MLBは、この映画が公開された時期と前後して、よりマーケティング戦略に長けていたNFL、NBAに人気面で追い越され、No.3 の地位に地滑り的に陥落して行く訳ですが、「とは言っても」アメリカ人の心の奥底にあるのは”ベースボール”なのかな?というのを感じさせる作風です。

その証拠に、という言い方が当てはまるかどうかは分からないですが、2021年にコロナ禍による延期を乗り越えて、この地でシカゴ・ホワイトソックス対ニューヨーク・ヤンキースの公式戦(MLB at Field of Dreams)が8月12日に開催されました(実際の試合は、ロケ地の隣に新しく建設された、公式戦開催に足る設備を具備した球場で実施)。

この映画、作品が持つ世界観、そしてアイオワのトウモロコシ畑の中に存在する野球場の光景が、如何にアメリカ人の心に焼き付いているかが分かる出来事だと思います。

テレンスマンのモデル

ちょっとだけネタチラをします。

劇中にテレンスマン(テレンス・マン:ジェームズ・アール・ジョーンズ)という作家が登場します。このテレンス・マンは、J・D・サリンジャーがモデルだと言われています。というのも、原作小説である「シューレス・ジョー」には、実名であるJ・D・サリンジャーとして登場するからです。

J・D・サリンジャーは、「ライ麦畑でつかまえて」(原題:The Catcher in the Rye、1959年出版)で有名な小説家で、若者特有の孤独、自我の萌芽、心身の成長、大人や社会の偽善に対する反発を描くことを得意としており、主人公のレイ・キンセラは、このサリンジャー(テレンス・マン)に強い影響を受けたことが物語の中で描かれて行きます。

このサリンジャーの作風についても、少し念頭に置いておくと、この映画がよりシックリと来ると思います。

より広く、より味わい深くご鑑賞いただけるように、ネタバレしないラインで、6つの観点から情報を提供させていただきました。

出演:ケヴィン・コスナー, 出演:エイミー・マディガン, 出演:ティモシー・バスフィールド, 出演:ジェームズ・アール・ジョーンズ, 出演:バート・ランカスター, 出演:レイ・リオッタ, Writer:フィル・アルデン・ロビンソン, 監督:フィル・アルデン・ロビンソン, プロデュース:フィル・アルデン・ロビンソン, プロデュース:ローレンス・ゴードン

まとめ

いかがでしたか?

多くの人の、心の柔らかいところにそっと触れて来るこの秀作を、是非一度はご覧になって頂きたいと思い、予習情報を書かせて頂きました。ご鑑賞の一助になっていると嬉しいです。

この作品に対する☆評価ですが、

総合的おススメ度 4.0 野球に興味ない方にはどうなんだろう?
個人的推し 4.5 個人的にはイチオシの作品の一つです!
企画 4.0 映画化権を入手した人が偉い!
監督 4.5 幻想と現実の絶妙な中間ライン!
脚本 4.0 長過ぎないのが良い!
演技 4.5 コスナー始め、出演陣の演技が素晴らしい!
効果 4.0 映像がとにかく美しい!
こんな感じの☆にさせて貰いました

このような☆にさせて貰いました。そもそも筆者のような素人が評価するのがおこがましいぐらい、素晴らしい映画です。

脚本・監督を務めたフィル・アルデン・ロビンソンは、そのキャリアでそんなに多くの作品を手掛けてないのが不思議なぐらい、素晴らしい脚本、素晴らしい演出だと思います。

既に述べたように、ケビン・コスナーの演技はもちろんのこと、周りを固める脇役陣の演技も素晴らしいです。どっぷりと浸かり、ボロボロと涙を流せるのではないでしょうか?おススメです!

あわわっち

本作のように何度も観ている素敵な作品は、記憶も相まって、映画を観始めた瞬間から泣けて来ちゃいます…(笑)

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