話題の記事続編なのに1作目の質を超えた映画5選

【ネタバレなし】「恋はデジャ・ブ」なぜか繰り返される同じ日(あらすじも)

この記事でご紹介する「恋はデジャ・ブ」は、1993年に公開されたラブコメディ。「ロスト・イン・トランスレーション」でも有名なビル・マーレイが、田舎町で同じ日を永遠に繰り返す「タイム・ループ」から抜け出せなくなる独身気象予報士を演じる。善行も悪事も、何をやっても翌朝6時にはリセットされちゃう無限ループで、嫌味な中年オヤジは何を感じるのか?

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

興行的な観点でも、評論家からの評価でも、大成功を収めたこの映画。一緒に作品の世界を覗いてみませんか?より味わい深く鑑賞するお手伝いをさせてください!

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

この映画を観続けるか、見限るかを判断するジャッジタイムですが、

  • 上映開始から25分40秒の時点をご提案します
25分40秒

ここまでご覧になると、この映画のテースト、主要登場人物の性格、そしてテーマとなる「タイム・ループ」の概要がつかめると思います。好きか嫌いかを判断するのに十分なタイミングだと思います。

概要 (ネタバレなし)

この作品の位置づけ

「恋はデジャ・ブ」(原題:Groundhog Day) は、1993年に公開されたロマンティック・ラブ・コメディ。ペンシルバニア州の小さな田舎町を取材に訪れた中年気象予報士が、なぜかタイム・ループにハマってしまい、何度も何度も同じ一日を過ごす様を描く。

本作に主演する前からコメディ俳優として10年以上のキャリアを積んできたビル・マーレイが、その気象予報士役を演じる。ベテランらしく大げさな演技を控え、延々と繰り返される同じ日から抜け出そうと死力を尽くしたり、その状況を逆手に取って利益を得ようと奮闘する様が、その渋い演技によってより一層コミカルに映る。

Time Loop 物の代表作

監督は、そのビル・マーレイと「ミートボール」(1979年・脚本担当)、「ボールズ・ボールズ」(1980年・監督担当) 以来コメディ作品でタッグを組んできたハロルド・レイミス(ハロルド・ライミス)。レイミスがこの映画では、監督、脚本(ダニー・ルビンと共著)、製作(トレーバー・アルバートと共同)の三役を務めているキーマンだ。

ハロルド・レイミス(ハロルド・ライミス)は、俳優としての出演作も多く、「ゴースト・バスターズ」シリーズでは、ビル・マーレイやダン・エイクロイドと共に、”ゴースト・バスターズ”4人組の一角を担っていることでも知られる。

グラウンドホッグ・デー (Groundhog Day) について

この映画を完全に理解するためには、原題の「グラウンドホッグ・デー」(Groundhog Day) が何の日か?を知っておく必要がある。

これは、ドイツ由来とされる、北米で毎年2月2日に開催される季節的行事のことである。グラウンドホッグ(ウッドチャック)と呼ばれるリスの一種が、冬眠から目覚めるのがこの日とされ、巣穴から出て来て自分の影を見れば(すなわち晴れていれば)冬はあと6週間続くと言われ、見なければ(すなわち曇っていれば)春の訪れは間近だと言い伝えられる。

このグラウンドホッグの振舞いを、大衆の面前で儀式的に行い、春の訪れる日を宣言するのがこの行事の内容である。本作の舞台となるペンシルバニア州パンクスタウニーは、この行事が行われる土地のなかでもとりわけ有名な場所である。

グラウンドホッグ・デーの祭事

日本的の風習に照らし合わせると、意味的には二十四節気の啓蟄(虫が冬眠から覚める日)に近く、時期的には日本でも豆まきをして祝う節分(2月3日)をイメージすると良いと思う。

日本語字幕では、スペースの関係か「聖燭節」と訳されているが、こちらは、同じ2月2日に行われる儀式であるが、キリスト教由来なので、本質的に全く別物である。

なおこの映画のヒットにより、”Groundhog Day” という言葉は、毎日判で押したように続く代わり映えのしない日々としてOxford 英語辞典にも収録されるようになったというのだから凄い!

なお、邦題に使われている”デジャ・ブ”というフランス語は日本でも一般的だと思うが、本作品でも劇中で ”デジャ・ブか?” という台詞が飛び出すので、英語でも通じるようである。

商業的な成功

この作品は、上映時間101分と短めだ。サクッと鑑賞出来てしまう。製作費1千4百万ドル(正確には、14,600,000ドル)に対して、アメリカ国内だけでも7千1百万ドルの興行収入を売り上げたとされ、4.86倍のリターンの大ヒットである。

「見どころ」でも後述するが、それだけこの作品のストーリーは、観客の共感を得たということなんだと思う。

4.86倍のリターン

作品の芸術的評価

この映画は、「アメリカ国立フィルム登録簿」(National Film Registry) に登録されている。これは、連邦政府国立フィルム保存委員会(The United States National Film Reservation Board)が毎年25作品を選定するもので、本作品が、アメリカの文化的、歴史的、芸術的に、後世に多大な影響を与えたことが公的機関からも認められた証である。

あらすじ (25分40秒の時点まで)

ペンシルバニア州のローカル・テレビ局で気象予報士を務めるフィル・コナーズ(ビル・マーレイ)は、中年男であるが、予報時に見せるコミカルな動きも手伝って、地元ではそこそこ人気がある。本人は全米ネットワークへのキャリアアップを目指しているが、オファーされているのは意に沿わないテレビ・ショッピング番組への出演である。

そんな中、今年も例年通りパンクスタウニーという田舎町に泊りで出張し、2月2日に開催されるグラウンドホッグ・デーの取材を言い渡されたことに不貞腐れている。

プロデューサーのリタ(アンディ・マクダウェル)、カメラマンのラリー(クリス・エリオット)と3人でロケ車に同乗し、パンクスタウニーへと出かけるフィル(ビル・マーレイ)。スタッフの2人が宿泊するホテルとは別のペンションを手配させるなど、スター気取りの不愉快な振舞いを見せる。

2月2日の当日、フィルはタイマーでセットした地元のラジオ放送で6時に起床し、ペンションでテイクアウトのコーヒーを貰い、現場に向かう途中で高校の同級生と偶然再会し、スタッフとの約束通り現場に到着し、7時半からのグラウンドホッグ・デーの祭事を取材する。

春の訪れを占うグラウンドホッグ

用事は済んだので、3人はパンクスタウニーを後にし、局へとロケ車で戻ることにする。ところが、フィル(ビル・マーレイ)の気象予報に反し大嵐が停滞し、都市間道路が閉鎖されてしまう。なす術もなくパンクスタウニーに引き返す3人だが、荒天の影響で長距離電話も不通となり、周囲との連絡を断たれた陸の孤島と化したパンクスタウニーで、フィルは苛立ちを募らせる。

嵐でお湯も出なくなったペンションに仕方なくもう1泊したフィルであったが、翌朝6時に目覚めると、ラジオは昨日と同じ放送内容。町行く人や高校の同級生、スタッフまでも同じ振舞いで、町は昨日が存在しなかったように再度グラウンドホッグ・デーの祭事に湧く。

フィルはこの状況を訝しがりながらも、流れに身を任せて昨日と同様に祭事を取材し、同じく昨日と同様に嵐に足止めを喰らって町に留まり、ペンションでもう1泊すると、翌朝6時には三度目の2月2日が始まった。

タイム・ループにハマったフィルは、この後どんな振舞いを見せて行くのか?彼はこのループから抜け出し、元の生活に戻ることが出来るのか…?

見どころ (ネタバレなし)

この映画をより味わい深く楽しむための予習情報を「見どころ」としてご紹介します。もちろん、ネタバレなし で書きますのでご安心ください。

コメディ俳優ビル・マーレイと本作品のテーマ

既に少し触れたことですが、本作品が制作された1993年の段階で、主演のビル・マーレイはコメディ映画俳優として14年のキャリアがありました。この作品でもそんなベテランとしての味が存分に出ています。

10年後の「ロスト・イン・トランスレーション」(2003年) でも発揮されていましたが、本作の多くのシーンで、ビル・マーレイは派手さを押さえつつ、チクっと皮肉を言う不機嫌な中年を見事に演じ切ります。

ビル・マーレイ扮するフィルは、ローカルTV局の気象予報士という待遇に満足しておらず、「俺はもっと評価されて然るべきだ」という意識から周囲に不愉快な態度を取りまくります。そんな自己中心的な男が、突然の無限タイム・ループに見舞われ、かつ周囲の誰もその事態に気付かない、もしくは信じてくれないという状況に放り込まれます。

すると時間だけは無限に与えられ、状況は何も変化しない。まるで下りのエスカレーターを徒歩で延々と登らされてるような徒労感を覚えながら、自暴自棄になったり、悪知恵を働かせたりする。こうして、時間とは、人間関係の意義、時に絶望的な無力感等々を体験しながら心の成長曲線を描いて行きます。

如何せんスタートラインが上述の不愉快中年なので、無限ループを通した主人公フィルの心情の変化は、ビル・マーレイのコメディ俳優としての才能も加わって、観ている我々の目にはプラスにしか映らず、いつの間にかこのオッサンを応援している謎の心理になっちゃうと思います。

この”フィル”の冒険の旅を、一緒になって楽しむことが、この映画の最大の見どころです!

ヒロイン、アンディ・マクダウェルの魅力

恋のヒロインを演じるのがアンディ・マクダウェルです。本作公開時35歳だった彼女は、大人の女性としての魅力を遺憾なく発揮してくれます。本作出演までにも「セント・エルモス・ファイアー」や「グリーン・カード」等で圧倒的な存在感を発揮し、本作の翌年公開された「フォー・ウェディング」(1994年) では、不思議系美人の才能を大きく開花させます。

本作品で演じたテレビ・プロデューサーのリタ役では、天真爛漫に状況を楽しむ少女のような顔を見せたり、ビル・マーレイ扮する不愉快中年フィルのセクハラ絡みの口撃も巧みにいなす大人の顔を見せたり、光の角度が変わるとそれに応じて輝きも変わるダイヤモンドのような魅力を発揮します。

この見る角度によって表情を変える不思議な美しさこそが、タイム・ループを何とか泳ぎ切ろうとするフィルの旅に説得力を与えてくれます。ビル・マーレイとアンディ・マクダウェルの化学反応にご注目です!

ハロルド・ライミス(ハロルド・レイミス)のバランス感覚

タイム・ループ物ということで、そもそもがファンタジー作品であるこの映画。だからと言ってリアリティを疎かにすると、ストーリーの全てから説得力が失われてしまいます。

繰り返される毎日を、完全に写実的に繰り返すのではなく、主人公フィルの試行錯誤に応じて、周囲もそれに呼応して反応がちょっとずつ変わったりして、私たちを飽きさせない工夫を施してくれます。

上映時間も101分ということで、テンポよくシナリオが進んで行くことで、観る側はあくまでもコメディのラインを堅持することが出来て、この絶妙なバランス感覚のお陰で、本作品を手放しで楽しめること請け合いです。是非エンジョイしてください!

出演:Richard Henzel, 出演:ビル・マーレイ, 出演:Rob Riley, 出演:アンディ・マクダウェル, 出演:クリス・エリオット, 出演:スティーブン・トボロウスキー, 監督:ハロルド・ライミス, プロデュース:ハロルド・ライミス

まとめ

いかがでしたか?

タイム・ループ物の代表作であり、タイム・ループと恋愛を絡めた先駆者的な存在である本作。視聴されると、アメリカ国立フィルム登録簿にリストされたことにご納得いただけるんじゃないでしょうか?

その魅力のさわりを、予習情報としてご紹介しました。

この作品に対する☆評価ですが、

総合的おススメ度 4.5 バランスの良さが品の良さに直結!
個人的推し 4.5 是非観て頂きたいです!
企画 4.5 通信が発達していないこの時代の陸の孤島感が堪らない
監督 4.0 奇をてらわず、ストレートでバランスの良い演出
脚本 4.0 繰り返しを飽きさせない工夫が素晴らしい!
演技 4.0 主役の2人の抑えた演技が光ります!
効果 4.5 実はリアリティを与えているのが各種効果!
こんな感じの☆にさせて貰いました

この映画に(必要以上に)哲学的な意義を求めるむきもあるようですが、筆者個人としてはそこまで論じるのはやり過ぎかと思います。ただ、場所と時間軸は不変な特殊環境下で、主人公が孤独な心の旅をする、以上!それで良いんじゃないかと思います。

このリアリティを観客を飽きさせずに高めるために、才能のある演者、監督、スタッフが力を結集しているのが良く分かります。

あわわっち

この時期のビル・マーレイが持つ、一周回って品が良いっていう魅力は何なんでしょうね…?

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