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【ネタバレなし】トム・クルーズが映える「ザ・エージェント」(あらすじ・子役情報も)

この記事でご紹介する「ザ・エージェント」は、1996年に公開されたスポーツ・エージェントを題材にした映画です。主演のトム・クルーズ扮するジェリー・マグワイアが、プロスポーツ選手の代理人として、挫折を乗り越えて自己実現を果たして行く姿が描かれています。

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

パッと見、スポ根ものだと思われがちな本作ですが、友情、恋愛、信頼、信念、挫折、自己実現と、人間ドラマを構成するあらゆる要素が含まれ、それがプロスポーツの舞台裏を下敷きにストーリーテリングされるという意欲作になっています。この映画をより味わい深く鑑賞するための予習情報を一緒に仕入れてみませんか?

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

この映画を観続けるか、見限るかを判断するジャッジタイムですが、

  • 上映開始から29分20秒の時点をご提案します
29分20秒

この辺りまでご覧になると、この映画のテースト、舞台となるスポーツ・エージェントの世界、そしてストーリーの発端が見えてきます。好きか嫌いかをご判断するには十分の情報をインプット出来ると思います。

概要 (ネタバレなし)

この作品の位置づけ

「ザ・エージェント」(原題: Jerry Maguire) は、1996年公開のスポーツ映画。プロスポーツ選手の代理人を務める”スポーツ・エージェント”の仕事ぶりを描いている。原題の Jerry Maguire(ジェリー・マグワイア)とは、トム・クルーズ扮する主人公の名前であり、そんなスポーツ・エージェントの1人として描かれる。

本作品は、拝金主義のプロスポーツ界に反旗を翻したあるスポーツ・エージェントが、そのことで業界内で孤立するが、友情、恋愛も経験しながら、そんな挫折からの復活に挑む姿が描かれる。日本では、野茂英雄が1995年にMLBのロサンゼルス・ドジャースと契約したことをキッカケに、スポーツ・エージェントの存在が知られ始めた時期であった。

本作品は、キャメロン・クロウが製作(他3人と共同)、脚本、監督の三役を務めている。クロウは本作(1996年)までに、「初体験/リッジモント・ハイ」(1982年)、「セイ・エニシング」(1989年)、「シングルス」(1992年) と3本の映画作品に関わり、それぞれ脚本、脚本+監督、脚本+監督+製作と徐々に活躍の場を広げて来ていた。

しかし、これら3作品は全て青春恋愛ものである。というのも「初体験/リッジモント・ハイ」自体が、クロウ本人が22歳の時に書いたベストセラー小説の映画化で、若い男女を中心に据えた青春ラブ・ストーリーは、キャメロン・クロウの得意とする領域だったわけである。

ところがクロウは、次回作としてスポーツ・エージェントを題材にすることを思い付き、多くのスポーツ・エージェントやアスリートへの取材を敢行し、その中でも当時最も著名なスポーツ・エージェントの1人であるリー・スタインバーグから多大な影響を受けて、本作品の脚本を執筆した。

プロスポーツ選手の社会的責任

リー・スタインバーグは、自身のクライアントであるプロスポーツ選手に対して、社会貢献にも力を入れることを盛んに推奨し、”人道主義的なスポーツ・エージェント”と評され、新たなスポーツ・エージェント像と、地域社会におけるプロ・スポーツ選手の在り方を定義した人物であった。

こうした背景もあり、キャメロン・クロウは脚本を何度も書き直し、単なるスポーツ映画に収まらない本作のシナリオと、新時代のスポーツ・エージェント、ジェリー・マグワイアというキャラクターを作り上げた。

商業的成功

本作品は、上映時間139分とやや長めの内容である。そして、5千万ドルの製作費に対して、2億7千4百万ドルの世界興行収入を上げる大ヒットとなった。これは約5.5倍のリターンである。

5.5倍のリターン

芸術的評価

この作品は、アカデミー賞の作品賞、主演男優賞、助演男優賞、脚本賞、編集賞の5部門にノミネートされ、キューバ・グッディング・Jr が見事助演男優賞を受賞している。

あらすじ (29分20秒の時点まで)

ジェリー・マグワイアはSMI社 (Sports Management International) に勤めるスポーツ・エージェント。同社は33人のエージェントが総計1685人のプロ・アスリートの代理人業務をこなす大手企業。35歳のジェリー自身も、現在72人ものクライアントを抱え、1日に250件もの電話を受けるエリート・エージェントだ。

スポーツ・エージェントの業務内容は、その交渉術を武器にアスリート本人になり代わって、巨額のプロ契約を勝ち取ることに留まらず、犯罪を含めた身辺トラブルの処理・解決、負傷時のケアなど、多岐にわたる。

ある晩も、NHL シカゴに所属するスティーブ・リモ選手が試合中の脳震盪で病院に担ぎ込まれ、ジェリーも病室に駆け付ける。これは、スティーブにとって4回目の脳震盪であり、まだ小学生の息子のジェシーですら、命と身の安全を優先して欲しいと願い始めた。ところが、スティーブ本人と代理人のジェリーは、試合出場率が報酬に直結すると、数日後に迫る次戦への強行出場を検討している。

息子のジェシーは、代理人であるジェリーに父親への説得を頼むが、ジェリーはこれをまともに取り合わなかったため、ジェシーはジェリーに暴言を投げつけて去っていく。

実はかねてより、ジェリーはエージェント業務の薄汚さに内心嫌気が差していた。そこへジェシーの一件が加わり、遂にエージェント業務の在り方を根本的に変革すべきだと一念発起する。彼は自身の考えを一晩で25ページの提案書にまとめ、それを大量に印刷して業界関係者に配布する。

その内容は、一人のエージェントが担当するアスリートの数を大幅に減らし、両者の関係性をもっと血肉の通ったものに保ち、その結果スポーツ界へより多くの価値を還元するという物であった。業界関係者は、表面上は勇気のある素晴らしい提言だと称賛してみせるが、内心は非現実的で青臭いと嘲笑している。

ジェリーは、出張先から戻った空港で、たまたま居合わせたSMI 社の経理部門に勤めるドロシー(レネー・ゼルウィガー)から、提案書に感銘したという賞賛の言葉を貰い、内心人々の反応が不安だったジェリーは、その好意的なフィードバックに大いに喜ぶ。

ところが現実はそんなに甘くは無かった。SMI 社は、ジェリーが打ち出した方向性は社の方針に反すると、ジェリーの解雇を決定する。しかもコトもあろうに、ジェリーがメンター役を務めて指導に当たった後輩のボブ(ジェイ・モーア)を介して解雇通告をする。

ボブは、実はジェリーの新提案を内心侮蔑していた急先鋒で、秘密裏に進めてきた準備に基づいて、ジェリーへの解雇通告の前から、ジェリーのクライアントを奪いに掛かっていたのだ。ジェリーも通告直後から、自身のクライアントにSMI 社よりも有利な契約条件を提示して応戦するが、彼ら彼女らは、ジェリー個人よりSMI 社に信頼を寄せており、ジェリー個人に契約を切り替える者は現れない。

唯一の例外は、アリゾナ州立大学のドラフト候補、自尊心の強いワイド・レシーバー、ロッド・ティドウェル(キューバ・グッディング・Jr)のみであった…

果たして、結果的に二人三脚となってしまったジェリーとロッドのコンビは、プロスポーツの荒波の中で、成功を収めることが出来るのだろうか?ジェリーが再び一流のスポーツ・エージェントとして陽の目を見る日は来るのだろうか?

見どころ (ネタバレなし)

この映画の見どころを、ネタバレなしで、幾つか述べたいと思います。皆さんがこの映画をより味わい深く鑑賞するお手伝いをするための予習情報だとお考え下さい。

ストーリーテリングの巧みさ

キャメロン・クロウのストーリーテリングの巧みさに目が行きます。言い方を変えると、画面を構成する要素が秀逸なので、伝達情報と作り手の意図が視聴者に効率良く伝わり、その結果良いテンポでストーリーが展開して行きます。

上記で「あらすじ」を書いた範囲から例を取り上げると、例えば上映開始からの流れの素晴らしさにまずは目が行くんじゃないでしょうか。

映画は、トム・クルーズの声によるナレーションで始まり、”人口が60億人(当時)に膨れ上がった地球上には、様々な才能を持った若きアスリートが出現している” 様子が、実際に様々な種目の天才スポーツ少年・少女を次々と映し出すことで、その”実態”を端的に視聴者に印象付けて行きます。

そしてそのシーケンスは、途中からシームレスにスポーツ・エージェントの話に軸足が移り、”アスリートをがめつく巨額の金に換えて行くエージェント” の様子が映し出されて行きます。

アメリカ文化においては、”サメ” は貪欲な存在の象徴なのですが、トム・クルーズ扮するジェリー・マグワイアを、関係者の間を次から次へと”泳ぎ回らせ”、その結果次から次へと有利な契約を物にして行くサメのような存在として描くことで、スポーツ・エージェントの”生態” を端的に描写してみせます。

本人が書いているから当然なんですが、脚本の意図を、監督が効果的に映像化していることが、筆者のような素人目にも良く分かるので、皆さんもこれを一緒に楽しんでみてください!

芸術的な演出

「あらすじ」に書きましたが、この映画は主人公のジェリー・マグワイアが、エージェントの在り方について ”改心する” ことが物語の端緒になります。映像的には、この心の変容が視覚的にも伝わるように、ノリノリのサメのように振舞う間は画面は暖色が強調されるように処理されていて、改心後は画面は寒色が強調されるように処理されています。

意識してご覧になると一目瞭然なので、もし覚えていたら、もしくは2回目に視聴される時は、気にかけて観ると面白いかも知れません。単なるスポーツ映画ではなく、こうした視覚面での美しさも追及した点が、アカデミー作品賞へのノミネートに繋がっているのかも知れません。

トム・クルーズの内面描写

この作品では、トム・クルーズは、スポーツ・エージェントの役を演じているため、言葉巧みに相手を説得して行くシーンが散見されます。そうしたシーンにおけるセリフ回しはもちろん素晴らしいのですが、ここで推しておきたいのは、セリフが無いカットでのトム・クルーズの表情。もしくは、セリフの意図を更に強調するためのトム・クルーズの表情の素晴らしさです。

上述の「芸術的な演出」に沿って例を挙げると、ノリノリのサメのように振舞う間の笑顔は、不敵で大胆で、そして不遜です。しかし、一度(ひとたび)スポーツ・エージェントの在り方に疑問を持った後は、特にセリフが無いカットで、内面の葛藤を表情のみで表現するシーンが多く、見応えがあります。

これは全編を通して言えることなので、是非ご注目頂きたいです!

印象的な台詞

この映画には、後に名台詞として有名になるフレーズが複数出てくるのですが、ネタバレを避けるために「あらすじ」の範囲内でご紹介します。

”Show me the Money”(現ナマを見せてみろ!)

が出てきます。非常に愉快なので、楽しみにしておいてください!

リアルな試合シーン

作品を観進めて行くと、アメリカン・フットボールの試合シーンが出てきます。

これは、物語にも登場するアリゾナ州にある、アリゾナ州立大学のアメリカンフットボール部 (Sun Devils) の本拠地 Sun Devil Stadium で、数千人規模のエキストラを使って撮影された物です。

こうした努力の甲斐もあって、試合シーンのリアリティはとても高いです。その熱気、その没入感が、臨場感溢れるプレーシーンに繋がり、それがエージェントの仕事にどう影響して行くのか?というのが描かれて行くので、期待しておいてください!

優れた子役の存在

レネー・ゼルウィガー扮するシングルマザーの息子を演じている子役が、非常に良い味を出しています。この子役俳優は、ジョナサン・リプニッキという俳優さんで、3年後に公開された「スチュアート・リトル」(1999年) の主人公を演じてより人気者になって行きます。

こうした優れた子役の存在のお陰で、レネー・ゼルウィガー扮するドロシーという女性キャラクターが、女であり、経理のプロであり、そして母であるという多面性を帯びることに繋がり、ひいては、恋愛、信念、信頼という、この映画の豊潤な味わいに繋がっていくので、決して単なる添え物ではないこと書き記しておきます。

この秀作の見どころを6つの観点で述べてみました。皆さんがこの映画をより楽しめるお手伝いが出来ると嬉しいです。

出演:トム・クルーズ, 出演:キューバ・グッディング・Jr., 出演:レニー・ゼルウィガー, 出演:ケリー・プレストン, 監督:キャメロン・クロウ, 脚本:キャメロン・クロウ, Unknown:トム・クルーズ

まとめ

いかがでしたか?

この作品に対する☆評価ですが、

総合的おススメ度 4.0 視聴を反対する要素が1つもないです
個人的推し 4.0 笑えます。泣けます。
企画 4.5 スポーツ選手でなくエージェントが主役!
監督 4.0 演出が巧みです!
脚本 4.0 素敵な台詞が次々と…
演技 4.0 主要な3人の演技が特に秀逸!
効果 4.0 各場面のリアリティが高い!
こんな感じの☆にさせて貰いました

既に述べたように、友情、恋愛、信頼、信念、誠実さ、挫折と、ヒューマンドラマに必要な要素が全部と言っていいぐらい含まれています。強いて言えば、悲劇を(安易に)描いていないことぐらいでしょうか。

これらをテンポ良く、重くなり過ぎないように描いている構成は見事!としか言いようがありません。トム・クルーズ、キューバ・グッディング・Jr、レネー・ゼルウィガーの演技も素晴らしく。3人のキャラの振り切り方とバランスが素晴らしく見事な化学反応を起こしています。わざとらしさも感じません。

是非是非観てみてください!

あわわっち

スポーツ・エージェントの存在・仕事内容はこの映画で知りました!

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