この記事では、セルジオ・レオーネ (監督) と エンニオ・モリコーネ (オリジナル楽曲) のコンビがハリウッドに進出して製作した「ワンス・アポン・ア・イン・アメリカ」について解説します。ロバート・デ・ニーロ、ジェームス・ウッズらの名優を迎え、壮大なストーリーが、どんな色、どんな空気感、そしてどんな音と共に、映像化されたかの考察をしていきます。
この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。
もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。
この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴、あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。
この映画を観るかどうか迷っている人、観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人 のことも考え、ネタバレしないように配慮しています。
ジャッジタイム (ネタバレなし)
本作における、観続けるか、中断して離脱するかのジャッジタイムですが、
- 序盤80分間を見て判断していただきたい。
他作品に比べてジャッジタイムまでかなり長くなっているが、全体の時間が205分ということもあり、80分まで見ていただくとこの映画の世界観や雰囲気、少年たちの人生が動き出すまでの流れを掴めると思う。また、後述する過剰な表現や暴力描写の度合いがここまでで大体わかると思うので、ここまで見て没入できるかどうかを確かめることをおすすめします。
概要 (ネタバレなし)
「荒野の用心棒」や「夕陽のガンマン」シリーズのセルジオ・レオーネ監督が1984年にアメリカとイタリアの合同制作で手がけたギャング映画の名作。ギャングムービーという意味でも、ロバート・デ・ニーロ出演作という意味でも必須科目であるといえる。
まず、この映画をみるにあたって知っておかなければならないことは、とにかく長い!本作には複数の版がありそれぞれ上映時間が異なるのだが、もっともメジャーで上映時間の短いオリジナル版ですら205分!ギャング映画ということもあり、過激な表現や暴力描写なども少なくはないため、それらが苦手な人は後述するジャッジタイムのタイミングで判断していただきたい。
見どころ (ネタバレなし)
あらすじ
本作の舞台は、1920年代、禁酒法時代のニューヨーク。ユダヤ系アメリカ人の少年たちが裏社会でのし上がっていく中での友情の物語となっている。ストーリーを一言で表すとこうなるのだが、私にとってこの映画の見どころは映像美と音楽が作り出す映画そのものの世界観である。
映像
まず、映像に関して。映像美と言っても意味は広い。この映画でいう映像美とは、1920年代の荒れたニューヨークを映し出す鮮やかな色合いと哀愁である。現代人の感覚でいう「フィルムカメラ」の美しさと言ってもいい。それを楽しめるかどうかが、この映画の評価を左右するだろう。
音楽
次に音楽に関して。セルジオ・レオーネ監督を語る上で相棒、エンニオ・モリコーネの存在は切って離せない。本作も両者の長年にわたる強力タッグの代表作であり、モリコーネの音楽がなければこの映画は平凡な映画に成り下がっていただろう。上記の映像美を際立たせる役割はもちろん、現代を生きる我々にとって別世界の舞台を美化しながら自然と感情移入させられる音楽がとにかく素晴らしい。また余談ではあるが、本作の撮影中、セットの中で実際にモリコーネの音楽を流しながら撮影するという革新的な撮り方が行われていたようだ。
その他の情報
筆者のオススメ度合いは 4.0/5.0です。
減点対象は、上映時間がとにかく長すぎることと、ギャング映画としては控えめとはいえ描写が過激なシーンがちらほらあること。これらを踏まえてこの☆にしました。