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【予習用・ネタバレなし】フィラデルフィア(Philadelphia)

この記事では、それまでコメディ俳優だと見なされていたトム・ハンクスに、初のオスカー受賞(アカデミー主演男優賞)をもたらしたフィラデルフィア」について解説します。今で言うLGBTQ作品が30年前にどう成立したか?を掘り下げて行きます。性的嗜好の議論とは関係なく、ただただシンプルに人の信念を描き上げたヒューマン・ストーリーとして予習するのもありかも。

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

本作を最後まで見るかどうかのジャッジタイムですが、

  • 41分00秒まで見て判断していただきたいです。
41分00秒

物語が大きく動き出すシーンであり、ここまでで各登場人物それぞれのマインドセットが見えると思います。

概要 (ネタバレなし)

1993年公開の、フィラデルフィアを舞台にした法廷ヒューマンドラマ。第66回アカデミー賞でトム・ハンクスが初のオスカーを受賞、ブルース・スプリングスティーンが楽曲「ストリーツ・オブ・フィラデルフィア」で歌曲賞を受賞するなど、映画として高い評価を得ている。

本作のストーリーは、1987弁護士のGeoffrey Bowers氏が起こした訴訟と生涯に類似しており、彼が本作のモデルになったのではないかと言われている。

トム・ハンクスは、1993年の本作でアカデミー主演男優賞を受賞、翌年の「フォレスト・ガンプ」で再びオスカーに輝き、2年連続受賞の記録は未だ塗り替えられていない。

見どころ (ネタバレなし)

あらすじ

本作は、フィラデルフィアの法廷を舞台に、エイズや同性愛に対する偏見や差別と戦う映画である。トム・ハンクス演じる主人公のアンディは、同性愛者ゆえにエイズに掛かったと見なされ、それを理由に所属していた弁護士事務所に不遇な扱いをされてしまう。アンディはそれに対して訴訟を起こすことを決意するが、デンゼル・ワシントン演じる弁護士ジョーは、同性愛者を毛嫌いしており・・・

ヒューマンドラマである理由

ストーリーの初期設定は上記の通りだが、これを読むと法廷物という印象を受けるのではないかと思う。しかしこの作品の本質はヒューマンドラマである。特に、同性愛者である主人公アンディと対峙する弁護士ジョーの心情と理解の変化に注目して観ていただきたい。差別や偏見とはどこから来るのか。そしてその根本的な感情とどう向き合えばいいのか。我々にとってもジョーから学べることが少なからずあるだろう。

演技

本作でオスカーを受賞したトム・ハンクスの演技に対しての評価は、病で衰弱していく役作りに焦点が当てられがちだが、筆者はあえて別の部分について語りたい。本作のトム・ハンクスによるアンディの役作りは、感情をわかりやすく表に出さない人柄というのが基本線なのだが、この作品を観ようと思っている方には是非、随所に出てくるトム・ハンクスが内なる情熱をあらわにするシーンに注目してみてほしい。

また、先述したがデンゼル・ワシントンの演技も素晴らしい。彼の心情の変化もまた、セリフで明言されるわけではないにもかかわらず、徐々に自分の知らない世界、価値観に対しての向き合い方を知るジョーの心の動きも重要なポイントと言える。

音楽

ブルース・スプリングスティーンがアカデミー歌曲賞を受賞した「ストリーツ・オブ・フィラデルフィア」は、個人的にはフィラデルフィアという街の雰囲気を映し出すという映画の重要な裏テーマを担っていると感じる。映画の舞台がフィラデルフィアである理由は、その名がギリシア語で「兄弟愛」を意味することだと言われており、本作ではフィラデルフィアという街の独特な雰囲気や、ストーリーで重要視されている価値観を象徴している。その点でのこの楽曲の意味合いにも注目していただきたい。

その他の情報

筆者の本作に対するオススメ度合いは 4.5/5.0です。

減点項目は、映画の本質やメッセージが少し複雑なところです。具体的に言うと、法廷での議論のリアリティが高い分、映画が最も伝えたいとしている論点がどこなのか分かりづらく、それを「芸術性」ととるか「分かりづらい映画」と感じるかは人によると思います。

しかし、本作の映画史における意味合いとして、現代では当たり前になりつつあるLGBTQという題材を30年前に扱い、しかも法廷ものとしてはっきり描いたという点の重要性は計り知れません。またトリビアにはなりますが、ともすると東海岸(ニュージャージー)出身のマッチョなキャラクターだと思われがちなブルース・スプリングスティーンが、今で言うLGBTQ作品に書き下ろしで楽曲を提供したということも、偏見や差別との戦いという意味で大きな意味を持つと言えるでしょう。

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