話題の記事続編なのに1作目の質を超えた映画5選

【ネタバレなし】曲も有名、映画「プリティ・ウーマン」(あらすじ)

この記事でご紹介する「プリティ・ウーマン」は1990年に公開されたロマンティック・ラブストーリー。公開当時は「現代版マイ・フェア・レディ」ともてはやされた作品。街の娼婦(ジュリア・ロバーツ)が大富豪(リチャード・ギア)と偶然出会い、あっという間に麗しいレディへと成長する様を描いたシンデレラ・ストーリー。

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

この映画の特大ヒットは、既にスターだったリチャード・ギアに更なる不動の地位をもたらしたのみならず、若手美人女優の一人に過ぎなかったジュリア・ロバーツ(当時23歳)に一気に世界的な名声をもたらしました。ジュリア・ロバーツが役柄でも女優としてもシンデレラとなったこのアイコニックな物語の世界を、ちょっとだけ一緒に覗いてみませんか?

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

この映画を観続けるか、見限るかを判断するジャッジタイムですが、

  • 上映開始から25分40秒のタイミングをご提案します。
25分40秒

ここまでご覧になると、主人公の2人が普段どう言う環境で暮らしていて、2人がどんな経緯(いきさつ)で出会うのかが分かります。この出会いに説得力があるか、このインスピレーションが好きか、判断するのに必要かつ十分な25分だと思うので、ここまでご覧になることをおススメします。

概要 (ネタバレなし)

この作品の位置づけ

「プリティ・ウーマン」(原題:Pretty Woman) は、1990年公開のロマンティック・ラブ・ストーリー。ストリートの娼婦が、通りかかった大富豪の投資家に買われることになるのだが、2人はこのビジネス関係を越えて次第に惹かれ合い、娼婦はあっという間に麗しいレディへと成長して行く。

主演はリチャード・ギアとジュリア・ロバーツ。

リチャード・ギアは「アメリカン・ジゴロ」(1980年) 、「愛と青春の旅立ち」(1982年) 、「コットンクラブ」(1984年) と、若手二枚目俳優としてのキャリアを積み上げてきたが、撮影時41歳であった本作品で大人の俳優として観る者に強烈な印象を残した。

一方のジュリア・ロバーツは、前出演作「マグノリアの花たち」(1989年) でのゴールデングローブ賞の受賞はあったものの、知名度としては若手美人女優の一人というポジションを抜け出せてなかったが、本作で一気に世界的なスターダムにのし上がった。本作撮影時23歳。

監督を務めたのはゲイリー・マーシャル。マーシャル監督は本作以降も「恋のためらい/フランキーとジョニー」(1991年) 、「バレンタインデー」(2010年) 、「ニューイヤーズ・イヴ」(2011年) と、大人の男女の恋心が揺らぐ姿を巧みに演出する映画監督として活躍していく。

タッチストーン・ピクチャーズの関わり

本作品の制作にはタッチストーン・ピクチャーズが関わっている。タッチストーン・ピクチャーズは、ウォルト・ディズニー・カンパニーの映画部門の1つであり、誤解されがちだが独立した法人ではない。

ウォルト・ディズニー・カンパニー(ウォルト・ディズニー・スタジオ)は、子供向けのファンタジー作品を世に送り出す映画会社というイメージが定着し過ぎ、大人向け作品での業績が低迷していた。そこで成人層へのマーケティングを強化するために立ち上げた事業部門、かつセカンド・ブランドが、タッチストーン・ピクチャーズである。

「プリティ・ウーマン」では、資金難で制作がとん挫しかけていたものを、内容を明るいものにすることを条件に、プリプロダクション(撮影前の制作過程)の段階からウォルト・ディズニー・カンパニーが(タッチストーン・ピクチャーズ名義で)制作に関わり、制作を支えた。

ジュリア・ロバーツは、「インサイド・ザ・アクターズ・スタジオ」に2002年に出演した際に、本作での娼婦役の出演を懸念する自身の母親に対して、お尻の露出があることを知りつつも(←実際にはボディ・ダブルが演じている)、「ママ、ウォルト・ディズニーが作る映画だから大丈夫よ」と安心させたと語っている。

このような経緯もあって、非常に明るい内容の本作(詳細はご覧になってのお楽しみ!)だが、娼婦と富豪との関係は、「マイ・フェア・レディ」の花売り娘と教授の関係とは本質的に状況が異なるといった指摘を含め、好き嫌いが分かれるところである。

あわわっち

筆者はシンプルに、夢とリアリティの両方がある本作品がとても好きです!

商業的な成功

この作品の上映時間は119分と極めて標準的。そして、制作費1千4百万ドルに対して、世界興行収入は4億6千3百万ドルを売り上げたとされる。実に、33.0倍のリターンである。

33.0倍のリターン

売上の絶対額という観点からも、利益率という相対的な観点からも、文句の付けようのない特大のヒットである。この物語がいかに世界中の人々から共感を得たかの証左だと思う。

主題歌 – 名曲「Oh, Pretty Woman」

主題歌は、ロイ・オービソンが1964年に発表したシングル曲「Oh, Pretty Woman」である。この曲は発売当時全世界で400万枚を売り上げたとされ、全米・全英チャートで1位を獲得した。

本作劇中で挿入歌としても登場する。どこで出て来るかはお楽しみ。とにもかくにも、映画のテーマ、ポップな感じと、この曲のタイトルと雰囲気が見事に合致して、1990年にもリバイバル・ヒットした。筆者世代を含めて、この映画を通してこの曲を知った人が多いのではないだろうか。

あわわっち

筆者の世代はヴァン・ヘイレンのカバーの方を先に知ってました

あらすじ (25分40秒の時点まで)

エドワード・ルイス(リチャード・ギア)は超やり手の実業家である。ただし実業家とは言っても、サービス事業を継続的に運営するのではなく、経営に苦しみ株価が低迷している企業を割安な額で買収し、それを分割して割高で売ることで利潤を得る投資会社の社長である。次に狙っているのは造船業を営むモース社である。

エドワード(リチャード・ギア)は、ある日ロサンゼルス郊外にある友人宅で催された大規模なホームパーティから早々に退散したくなる。ところが、自身の運転手付きのリムジンは駐車スペースの奥にあって出せない。そこで顧問弁護士スタッキー(ジェイソン・アレクサンダー)のロータス・エスプリを借り、自身で運転してホテルに戻ることにする。

ヴィヴィアン・ワード(ジュリア・ロバーツ)は、相棒のキット・デ・ルカ(ローラ・サン・ジャコモ)と、ハリウッド近くの安アパートで、女2人ルームシェアをして暮らしている。2人にはまともな定職がなく、体を売って日銭を稼いでいる。

今夜も売春婦が一人路上で殺され、キットはこれに気が滅入って麻薬に手を出すし、ヴィヴィアン(ジュリア・ロバーツ)はこんな生活から足を洗いたいと願っている。しかし、抜け出すためにも当面の生活費が要る。ヴィヴィアンとキットは、気を取り直して今夜もウォーク・オブ・フェイムで客引きを始める。

そこに、不慣れなマニュアル車でぎこちない運転を繰り返すエドワードのロータスが停車する。早速声を掛けるヴィヴィアン。エドワードは買春には興味が無いが迷子でヘトヘトになっていたので、20ドルと引きかえに、宿泊先のビバリーウィルシャー・ホテルまでヴィヴィアンがロータスに同乗して道案内することで2人は合意する。

車中で、エドワードは車や運転にまるで興味がないことが判明。一方、ジョージア州ミレッジビル(Milledgeville)出身で、車好きの男の子に囲まれて育ったヴィヴィアンは、ロータス・エスプリの機動性を楽しむ。そこで2人は運転を交代するが、とても売春婦とは思えないヴィヴィアンの快活な応対に、エドワードは徐々に関心を持ち始める。

そこでエドワードが興味本位で「相場は幾らだい?」と訊くと、ヴィヴィアンはキットの指導に従い1時間100ドルと吹っ掛ける。これに、「冗談だろ?(=高すぎる)」と応じるエドワード。今度はヴィヴィアンは「お金で冗談は言わないわ(I’ve never joked about money)」と応戦。それに対してエドワードも「僕もだ(Neither do I)」と合意し、妙なところで意気投合する2人。

無事宿泊先のビバリーウィルシャー・ホテルに到着。バスでオフィス(ウォーク・オブ・フェイム)まで戻るというヴィヴィアンが忍びなくなったエドワードは、1時間100ドルでホテルで過ごそうと彼女を誘い、これにヴィヴィアンも合意し、2人は超高級ホテルのハイソサエティな宿泊客や従業員の好奇の目にさらされながらも、エドワードの宿泊する最上階のペントハウスへと入って行く。

観たことのないゴージャスな内装に目を丸くするヴィヴィアンだが、約束した100ドル分の仕事を遂行しようとする。一方のエドワードはまるでその気はなく、ルームサービスのシャンパンとイチゴを、自身は嗜まないのにヴィヴィアンに振舞う。

契約の1時間が気になって仕方がないヴィヴィアンに対して、彼女の奔放で開放的で直感的な立ち振る舞いに魅了されたエドワードは、ヴィヴィアンの言い値である300ドルで、ビビアンの一晩を買うことにし、2人はのんびりとくつろぐことにする。

果たして、2人の仲はこの後どうなって行くのだろうか?エドワードは、懸案のモース社の買収を成功させることができるのだろうか?そして、このビッグ・プロジェクトにヴィヴィアンはどんな影響を及ぼすのだろうか・・・?

見どころ (ネタバレなし)

この映画の見どころを3つの観点に絞って書いてみたいと思います。どれもネタバレなしで書いていきます。ちょっと頭の片隅に入れておいて貰えれば、この傑作作品をより味わい深く鑑賞するお役に立つ情報だと思うので、ちょっとの間お付き合いください。

プリティ・ウーマン = ジュリア・ロバーツ

もう、とにもかくにも、この映画の最大の見どころは、ジュリア・ロバーツの魅力でしょう。作品のタイトルが「プリティ・ウーマン」と銘打たれていて、その主人公がプリティ・ウーマンでなかったら何も成立しない訳だけど、このおとぎ話のようなストーリーに説得力を与えているのは、この人の正真正銘のプリティさですよね。

特に象徴的なのはその笑顔でしょう。大きな口を空けて、割と”ガッハッハ”って豪快に笑うんだけど、それが全く下品に見えないのは、この女優さんが生来持っていた魅力なのか、この作品のための役作りなのか、どっちなんでしょう。

街の娼婦と麗しいレディという、両極端な振る舞いを見せる必要がある役柄は、ある意味一人二役に近いものがありますが、どちらのシーンでも説得力の高い演技で、観ている私たちはキッチリと釘付けになってしまいます。

振り幅のある役作り、品を保つバランス感覚、とにかく楽しみにしていてください!

あわわっち

「プリティ・ウーマン」「ノッティングヒル」「エリン・ブロコビッチ」がジュリア・ロバーツの三段活用!

リチャード・ギアとの化学反応

では、ジュリア・ロバーツの魅力が全てかというとそんなことはなくて、リチャード・ギアの演技との化学反応が、この映画の楽しさを倍増させて行きます。

ジュリア・ロバーツ扮するヴィヴィアンの存在が動なら、リチャード・ギア扮するリチャードは静です。ヴィヴィアンの躍動感に説得力があるからこそ、それを傍から微笑ましく見守る紳士エドワードというキャラクターの深みが際立つし、実業家エドワードの冷静沈着さがあるからこそ、喜怒哀楽を直感的に表現する”プリティ・ウーマン”キャラクターのヴィヴィアンの輝きが増すし。2人の相乗効果にご注目です!

そんな二人にも共通点があって、上記の「あらすじ」にも書いた”お金で冗談は言わない”という主義。これは決して拝金主義という意味ではないということは観ていればすぐに分かることですが、お金を重んじる二人は、お金については常に真剣勝負。特に価格交渉が大好き。吹っ掛けるヴィヴィアンと値切るエドワードのテンポの良いやりとりも大きな見どころです。

団体芸による上質なユーモア

この映画の主人公はリチャード・ギアとジュリア・ロバーツの2人なのは間違いないです。実際にAbove the Title にクレジットされている(=映画のタイトルの前に名前が表出される)出演者はこの二人だけですから。

ただ、この映画では、この2人の間のやりとりに加えて、周囲から2人を(好意的に/懐疑的に)見る脇役たちの表情が非常にカラフルに描かれていきます。ある種の団体芸ですね。ビバリーヒルズという、アメリカの中でも極めて特殊な環境において、2人が巻き起こして行く小さくない騒動に対する周囲の人間のリアクションが大変ユーモラスです。

高級ホテルの宿泊客、ビバリーヒルズの街を行く人、ブティックの店員、ホテルの従業員、そしてホテルの支配人と。是非是非、この上質な総合団体芸術をお楽しみください!

まとめ

いかがでしたか?

この記事を読んで、是非この映画を観てみたい!と思って頂けると嬉しいです。

この作品に対する☆評価ですが、

総合的おススメ度 4.0 ちょっとだけ大人向け
個人的推し 4.5 目が釘付けになっちゃう
企画 4.5 企画の勝利でしょう!
監督 4.0 J・ロバーツの魅力を引き出す第一人者
脚本 3.5 ちょっと無理がある箇所も・・・
演技 4.5 団体芸による総合芸術
効果 4.0 セットの説得力が!
こんな感じの☆にさせて貰いました

このような☆の評価にさせて貰いました。

個人的には、「ビバリーヒルズ・コップ」(1984年) との類似性を感じています。「ビバリーヒルズ・コップ」は、デトロイトのストリート育ちのアフリカ系アメリカ人である刑事が、場違いなビバリーヒルズに乗り込んできて大騒動を巻き起こすという物語でした。

「プリティ・ウーマン」(1990年) は、ジョージア州出身で地元LAで売春をしている娼婦が、場違いなビバリーヒルズに舞い込んで騒動を巻き超すという物語です。本作は、”マイ・フェア・レディ”との類似性だけがクローズアップされますが、ここに ”ビバリーヒルズ・コップ” 性が有機的に足し込んだという企画の斬新さがこの大成功の源泉だと思っています。

あわわっち

ジュリア・ロバーツ23歳(当時)。ここから快進撃が始まります!

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次