話題の記事続編なのに1作目の質を超えた映画5選

【最新作・引退作】タランティーノの10作目は”映画評論家”ポーリン・ケイル

この記事では、映画を10作撮ったら引退するとかねてから公言してきたクエンティン・タランティーノが、その10作目の製作に入ったという情報が得られたので、その最新情報を書きます。すなわち、タランティーノの引退作情報ということになります。

次回作は、20世紀のある女性映画評論家を題材にした作品になるという。

現時点でこの映画の情報はまだまだ少ないですが、タランティーノが何故このテーマを引退作に選んだかを探るヒントとして、まずはその女性映画評論家本人に迫り、タランティーノの今後を見通したみたいと思います。

目次

引退作の概要

クエンティン・タランティーノの次回作プロジェクトが始動していることが判明。目下のところそのタイトルは “The Movie Critic” になる予定だという (そのまま訳せば「映画評論家」)。

”The” と冠詞が付いている訳だから、特定の映画評論家を描こうとしている訳で、それは誰か?という当然の問いに対しては、ポーリン・ケイル(Pauline Kael: 1919 ~ 2001)というのが回答になります。

ポーリン・ケイルは、20世紀の著名な女性辛口映画評論家ですが、彼女は一体どんな人だったんでしょうか?

ポーリン・ケイル (Pauline Kael) の略歴

まずは、ポーリン・ケイルの略歴をざっと眺めてみましょう。

  • 1919年6月19日にカリフォルニア州ペトロリアで生まれる
  • 1936年に高校を卒業し、カリフォルニア大学バークレー校に進学するも、後に退学する
  • 1953年、サンフランシスコの映画評論専門の雑誌「Film Culture」に映画評論を寄稿し始める(1955年まで)
  • 1956年、サンフランシスコにある映画館、サンフランシスコ・チャンロン・シアターのオーナー、アルバート・ジョンソンに雇われ、彼女はここで映画の上映スケジュールや宣伝の仕事をする傍ら、映画についての自身の評論も書いていました。これがキャリアの本格スタートとなります
  • 1963年から、雑誌「The New Yorker」に映画評を寄稿・連載するようになる
  • 1965年に出版した「I lost It at the Movies」(邦題:「映画は映画だ」)がベストセラーに(推定15万部以上)
    • これはケイルのこの時点までの映画評論が収録されたもので、後に彼女の初期代表作と評されるようになります
    • このタイトルに込められた意味は、映画に思わず熱狂し感情を抑えきれなくなった様でもあり、映画を単なるエンターテイメントではなく芸術として扱うべきと言う意味が込められている
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  • 1968年には「The New Yorker」に映画批評家として正式採用
  • 1974年、映画批評家協会賞受賞
  • 1984年、フランスの芸術文化勲章を授与
  • 1991年、脳卒中で倒れ、仕事を休止
  • 1999年、The New Yorker を退職(79歳)。執筆活動は継続
  • 2001年9月に、自宅で息を引き取った(享年82歳)
あわわっち

メッチャカッコいいですね!憧れます。

ケイルの映画評論の特徴

ケイルの映画評論は、一般的な映画評論家のように、ストーリーに焦点を当てるよりも、映画の感情的な魅力、映像の美しさ、およびスタイルに焦点を当てていました。

例えば、1960年代の評論に「暴力脱獄」(原題:Cool Hand Luke – 監督:スチュアート・ローゼンバーグ、主演:ポール・ニューマン) に対するものがあります。

彼女は、映画の前半部分がある種のテンポを欠いていると感じており、ストーリーがある程度予測可能であると、ストーリーの難点について言及しつつも、ポール・ニューマンの演技に対して「彼は実に完璧で、人間的な力と同時に、柔軟性と感受性を持った演技を見せてくれる」と評し、この映画は「自由や個性の重要性を描いた力強い映画」または「輝かしい傑作」と評しています。

何だかタランティーノの映画の特徴と共通するものがありませんか?タランティーノ作品って、時にストーリーとは無関係の会話がダラダラ続いたり、突拍子もない展開があったりと、ストーリーそのものの蓋然性は低かったりしますよね。

でも一方で、登場人物やシーン全体の感情の起伏を、あらゆる撮影技法を駆使して描いたり、映像の色や構図で意図を表現したりと、映像作家としての個性が前面に押し出されていますよね。

タランティーノ自身も映画人として、ポーリン・ケイルを大変尊敬していたというのも非常に納得が行きます。

あわわっち

この辺りの共鳴が、タランティーノが、大事な大事な引退作の題材にポーリン・ケイルを選んだ理由があるんじゃないでしょうか?

ケイルの文章の個性

また、彼女の評論は、独自の文体とリズムを持ち、読者を引き込む強いパーソナリティがあったと評されている。大ベストセラーに裏打ちされるように、単に舌鋒鋭い映画評論に留まらず、彼女本人も表現者として非常に優れていたということなんでしょう。

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おまけ:世間の評価に反して酷評した映画

ケイルは、実に多くの映画について賞賛した一方で、時には映画に辛辣な批評を与えることもあったそうです。そして、それは世間的に評価が高い作品でもお構いなかったようです。例えば、1972年の映画「ゴッドファーザー (The Godfather)」映画が人気があるのは、観客がギャングと同じくらい堕落しているからだと述べた。

また、1976年の映画「ロッキー」に対しては、映画が「真実から遠ざかっている」と述べ、この映画がアカデミー賞を受賞することを予想しませんでした。

タランティーノの今後

本作品の今後の見通し

タランティーノは既に「The Movie Critic」の脚本を書き上げており、今年の秋に撮影開始する予定で現在製作に入っているという。どうか「ヘイトフル・エイト」の時のような、脚本流出騒動、あるいはそれに準ずるような事件が起きませんように・・・

気になるのは、タランティーノ作品とは切っても切り離せない、【犯罪】【暴力】が、ポーリン・ケイルとどう関わってくるか?ですね。こればっかりは現時点では分からないですね・・・

引退の意思

かねてより、10作の映画を撮ったら、あるいは60歳になったら、監督を引退すると公言してきたクエンティン・タランティーノ。具体的に自身の引退についてどう語って来たのか?少し振返っておきましょう。

“I think when it comes to theatrical movies, I’ve come to the end of the road. I see myself writing books and starting to write theatre, so I’ll still be creative. I just think I’ve given all I have to give to movies.”

「劇場公開映画に関しては、道の終わりに来たと思っています。自分は今後、本を書いたり、演劇の脚本を書いたりすることになると思います。まだクリエイティブな活動は続けるつもりです。ただ、映画にはこれ以上何も与えることができないと思っています」

Deadline.com より 2019年11月3日 ワンスアポンアタイムインハリウッド公開後のイベントにて

“I think I’ve come to the end of the road as far as filmmaking is concerned. I see myself writing books and starting to write theatre, so that’s where I’m at. I’m not really interested in streaming content at all. I like the idea of old-fashioned 35mm cinema and all the rituals of that, the way we sat down and the lights go down, and if it’s a comedy everyone laughs out loud and if it’s a thriller everyone shuts up. Those are the things I grew up with, and that’s what I like.”

「映画製作に関しては、道の終わりに来たと思っています。自分は今後、本を書いたり、演劇の脚本を書いたりすることになると思います。ストリーミングコンテンツには全く興味がありません。私は、古いスタイルの35ミリ映画館が好きで、そこでの儀式的な演出や、座席に座り、暗くなると、コメディの場合はみんなが笑い、スリラーの場合はみんなが静かになる、そういったことが好きです。それらが私が育った環境であり、私が好むものです」

BBCラジオ5のインタビューから 2019年12月

“I think when it comes to feature films, I’ve come to the end of the road. I see myself writing film books and starting to write theatre, so I’ll still be creative. I just think I’ve given all I have to give to movies.”

「劇場公開映画に関しては、道の終わりに来たと思っています。自分は今後、映画の本を書いたり、演劇の脚本を書いたりすることになると思います。まだクリエイティブな活動は続けるつもりです。ただ、映画にはこれ以上何も与えることができないと思っています」

Empire誌のインタビューから 2021年6月

寂しいけど、あれだけこだわって映画を撮ってきた方だから、自身の区切りについても物凄いこだわりがあるんでしょうね・・・

まとめ

まだまだこの映画についての情報が少ない今の段階において、タランティーノが題材に選んだポーリン・ケイルという人の魅力に、ちょっとでも迫れたでしょうか?

1963年3月27日生まれのタランティーノ、先日60歳になりました。引退の区切りの10作目。

一緒に続報を待ちましょう!

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