話題の記事続編なのに1作目の質を超えた映画5選

【ネタバレなし】レザボア・ドッグス (あらすじ、意味、デジタルリマスター版再上映)

この記事でご紹介するレザボア・ドッグスは、クエンティン・タランティーノの衝撃のデビュー作。低予算でこんな豪華キャストの作品が製作できた背景、人物描写にどんな特徴があるのか、タランティーノが果たす役割は?この辺りを中心に触れて行きます。1作目から犯罪と暴力を描かせたら右に出る者なし!変則的密室内で繰り広げられるスリリングな展開について一緒に考察しましょう。

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

2024年1月5日(金)~、デジタルリマスター版が劇場再上映されました。詳細な情報はこちらをご覧ください。

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

本作における、観続けるか、中断して離脱するかのジャッジタイムは、

  • 上映開始から16分50秒のポイントをご提案します
16分50秒

ここまでご覧になれば、本作品のストーリー設定が十分見えます。後は、本作品にドップリ浸かるか否かを判断いただくだけです。後述もしますが、本作品は犯罪サスペンス映画なので、出血を伴う暴力シーンもあります

このジャッジポイントで時間の損切りをし、立ち去るのもよし、このままのめり込んで、視聴を続けるのも良し。

あわわっち

暴力シーンにアレルギーが無いのであれば、是非この後もご覧いただきたいところです!

概要 (ネタバレなし)

本作品の位置づけ

「レザボア・ドッグス」(原題:Reservoir Dogs) は、1992年に公開された犯罪サスペンス映画。本作品以降、鬼才の名を欲しいままにするクエンティン・タランティーノの、記念すべき第1回監督作品だ。タランティーノが脚本、監督を務めており、加えてちょっと出演もしている。犯罪、暴力、そして延々と続く台詞と、タランティーノらしさの萌芽を早くも味わえる作品。

犯罪と暴力、そして何故か聞き入ってしまう長い台詞

本格映画化に当たっては、ハーヴェイ・カイテルの大きな支援を得て製作に漕ぎ着けられたという経緯がある (ハーヴェイ・カイテルは、出演の他に、Co-Producer とクレジットされている)。

というのも、タランティーノは前年の1991年に「Reservoir Dogs: Sundance Institute 1991 June Film Lab」という、本作の元ネタになる短編作品を自主製作しており、これを目にしたハーヴェイ・カイテルが大いに気に行って支援を申し出て、その結果ハリウッドでリメイクされることになったのだ。

上記のような背景もあり、本作品は有名俳優が多数出演しているにも関わらず、製作費はわずか120万ドル。しかし、後述もするようなタランティーノらしい独創的な演出がカルト的な人気を博し、北米での興行収入が283万ドルに上るスマッシュヒットとなった。

次作「パルプ・フィクション (1994)」で、一躍メジャーな存在となったタランティーノの”過去作品”として掘り起こされるように各種メディアで視聴されたのも特徴的だ。

あらすじ (16分50秒の時点まで)

ジャッジタイム16分50秒までのあらすじの”ざっくり”版と”詳しく”版を準備しましたので、お好みの方をお読みください。

とある家庭的なダイナーで朝食を取る8人の男たち6人は揃いのスーツ姿で(黒スーツ・白ワイシャツ・黒ネクタイ)、2人は私服姿だ。全員堅気には見えない立ち振る舞いだ。

私服姿の1人、初老のボス格の指示で朝食を切り上げ、店を出て一団となって道路に向かう8人。

タイトルロールには、この8人が「レザボア・ドッグス」だと表示される。

(タイトルロールが終わると) 車の後部座席で腹から大量の血を流し、悶絶する黒スーツ男の一人(ティム・ロス)。どうやら逃亡途中に女性に拳銃で腹を撃たれたようだ。車を飛ばしながらも運転席から盛んに励ます別の黒スーツ男(ハーヴェイ・カイテル)。

2人が集合場所の古い倉庫に着き、怪我人が床の上で悶え苦しんでいるところへ、別の黒スーツ男(スティーブ・ブシェミ)が到着し、今回の一件は明らかに罠だ。通報する前から大勢の警官が店の周りに待機していた。この倉庫ももはや安全ではないかも知れないと告げる。

この後、何が起きて行くのか?果たして怪我人は助かるのだろうか?

見どころ (ネタバレなし)

変則的密室劇

ちょっとだけネタチラをすると、ジャッジタイム以降、現在進行形の出来事は原則として、全てこの倉庫の中で展開されていきます。一方で上述のあらすじで感じて頂いたように、過去の経緯についての説明は一切なされておらず、過去の出来事は全て、カットの切り替わりによってストーリーに挿入されていく格好になります。

今後の展開は全て古い倉庫の中で・・・

つまり本作品を観る側は、倉庫という密室に閉じ込められた後になってから、どういういきさつを辿ってこのような状況に陥ったのかを、後付けで少しずつ補足されるという体験をすることになります。この変則的密室劇が本作品の最大の特徴です。是非、このスリリングさを味わっていただきたいです!

あっつ

上映時間も100分と短いので、お口に合う方には、2度、3度と味わえる類の作品だと思います。

監督・脚本 ときどき出演

クエンティン・タランティーノはそのキャリアにおいて一貫して、長編短編を問わず監督をするのは、全部自分が書いた脚本のみということになって行きますね。その第一歩となったのが、第一回監督作品の本作な訳です。一方で、脚本のみの提供に留まっている作品は幾つかあります。元来が作家ということなんでしょうか?

二次元の絵コンテを描き起こし、それをシーケンスとして繋いでいくという、いわゆる監督業を、他人が書いた脚本に対してはやりたくないということなんでしょうから、監督業は作家業(=筋書きを創作する仕事)とは本人的には切り離すことが出来ない(作家業は監督業とは切り離せる)一つの作業なんでしょうかね。タランティーノ作品の特徴である時系列を分断して入れ替わる独特の構成は、作家業、監督業の整合性があってこその物なんでしょう。クリストファー・ノーラン作品も時系列イジリがエグイですが、ノーランも脚本・監督の両方を務めるケースが多いですもんね。

クエンティン・タランティーノ:脚本と監督、二足の草鞋が定番

ディティールにこだわる人物描写

タランティーノ作品の特徴として、ストーリーの本筋とは一見関係ないくだり(≒台詞)が延々と続くという演出があります。上述のあらすじ(詳しく版)の「ライク・ア・バージン」論とか、チップ不要論とかが、その最たる例です。これらはストーリー展開には直接影響を与えませんが、これらの長台詞を発するキャラクターの描写には大いに役立ちます。

というのも、長台詞を通して、当人のこだわり、価値観、事象を切り取る癖、喋り方に濃い目の味付けがなされるので、そのキャラクターを一癖も二癖もある個性的な人物として煮立たせることが出来ます。これがいざシナリオの中で何か事件が起きた時に、その人物が取るリアクションに大きな意味を付与して行きます。このタランティーノの得意な(特異な?)演出が、第一回監督作品で既に花開いているので、そこを存分にお楽しみください!

裏設定

タランティーノ映画には、作品と作品を横断する裏設定が存在することが有名です。本作で言うと、リーゼント・ヘアの黒スーツ男が、”ヴィック・ベガ”という役名なのですが、これが「パルプ・フィクション」でジョン・トラボルタ扮する”ヴィンセント・ベガ”と、実は兄弟というのです!

あっつ

どっちが兄貴で、どっちが弟なんだろう?

子供の頃は仲が良かったのかな?

何故かグロテスクにならない暴力描写

これは賛否両論あるところだと思いますが、タランティーノ作品の暴力描写何故かグロテスクに映らないんですよね(筆者父子だけかな?)。本作でも、殴ったり、蹴ったり、ナイフとか銃とかも出てくるし、血も流れるんだけど、そのレベル感が振り切ってるからなのか清々しい。むしろ一周回ってコケティッシュにすら見えてくる。そんな特徴のある暴力描写なんですよね。

あわわっち

これは本当に賛否両論あるところだと思うので、軽く聞き流してください。

なお本作については、タランティーノ監督本人が「仁義なき戦い」を大いに参考にしたと明言してるそうです。どっちも3回以上視聴してますが、どちらも暴力描写がただただエグイので、具体的にどこがどう参考にされているのかは、筆者の素人目には分からないです(笑)

あっつ

我々父子は、タランティーノ作品も「仁義なき戦い」シリーズも大好きですwww

謎かけが好き

あらすじ(ざっくり版・詳しく版両方)にも書きましたが、タイトルロールで主要出演者の名前が表示された後に、彼らが「レザボア・ドッグス (Reservoir Dogs)」だと表示されます。ところが、この Reservoir Dogs という単語の意味が、英語圏の人にもピンと来ないらしいです。要は映画のタイトルが意味不明って話です。

筆者もアメリカ人の友人に「どういう意味?」と訊いたことがあるのですが「良く解からない」という答えでした。さして大したことがない観念を、さも意味があることのように演出するイタズラを仕掛けてくるのがタランティーノなので、デビュー作の本作からその辺りの遊び心が炸裂しているのかも知れません。

謎を掛けてきます

常連出演者

常連出演者が、早速に活躍しますね。詳しくは本編をご覧になってご自身の目でご確認頂きたいですが、ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセンと、クエンティン・タランティーノと今後深い付き合いになる俳優さんが大活躍するので楽しみにしてください

後に常連出演者となる俳優たちと・・・

オープニング曲

タイトルローグが流れる時に、超カッコイイ曲が流れますね。George Bakerの ”Little Green Bag”ですね。

クエンティン・タランティーノは、音楽のセンスがメチャクチャ良いですよね!

あわわっち

この曲、20年以上前に妻がサプライズでCDをプレゼントしてくれた思い出の曲なんですよ

出演:Harvey Keitel, 出演:Tim Roth, 出演:Michael Madsen, 出演:Chris Penn, 出演:Steve Buscemi, 出演:Lawrence Tierney, 出演:Quentin Tarantino, 出演:Eddie Bunker, 出演:Kirk Baltz, 出演:Randy Brooks, Writer:クエンティン・タランティーノ, 監督:Quentin Tarantino, プロデュース:Lawrence Bender
¥1,019 (2024/05/06 12:06時点 | Amazon調べ)

その他の情報

本作品に対する☆ですが、

総合的おススメ度 4.5暴力描写はあるけど、是非見て頂きたい秀作
個人的推し 5.0タランティーノの原点であり全部入り
企画 4.5変則的密室劇の面白さ
監督 4.5結果低予算で撮れている
脚本 4.5100分でコンパクト。一切の無駄無し
演技 4.5個性豊かな俳優陣
効果 3.5B級感は否めず (そこが良いんだけど・・・)
こんな感じの☆にさせて貰いました

毎度の暴力描写による減点はあるものの、ほぼフルマークの☆にさせて貰いました。低予算でこのクオリティの作品を撮っちゃったら、文句の付けようがないでしょう?ってゆーか、こういうお金が掛からない脚本なのに、本質的な輝きを一切失わない作品・才能って、本当に素晴らしいと思います!

繰り返しになりますが、製作費120万ドルで、北米で283万ドルの興行収入って、本当に凄いと思います!

あわわっち

タランティーノの原点。どんな風にご覧になりますか?

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次