話題の記事続編なのに1作目の質を超えた映画5選

【ネタバレなし】映画「セブン」(撮影の特徴、あらすじ、七つの大罪について)

この記事でご紹介する「セブン」は、1995年の犯罪サスペンス映画。ブラッド・ピットとモーガン・フリーマンが、それぞれ新人・ベテラン刑事に扮し、”七つの大罪” になぞらえて発生する猟奇的連続殺人事件を追って行くストーリー。

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

アンドリュー・ケヴィン・ウォーカーが書いた陰鬱なオリジナル脚本を、デヴィッド・フィンチャーがこれでもか?というほど更に陰鬱に映像化。暗い内容にも関わらず世界中で大ヒットし、フィンチャー監督の名声を一躍高めた。

この映画をこれからご覧になろうという方は、世界に衝撃を与えたこの問題作の世界観を一緒に予習しませんか?

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

この映画を観続けるか、見限るかを判断するジャッジタイムですが、

  • 上映開始から24分30秒のタイミングをご提案します。
24分30秒

ここまでご覧になると、この映画のテイストが完全に見えると思います。ここに至る前に嫌悪感を覚える方は、離脱することをおススメします。ジャッジタイムまで平気で観られたよって方は、このタイミングで話の流れが見えて来るので、その先も観るかを判断できると思います。

概要 (ネタバレなし)

この作品の位置づけ

「セブン」(原題:Seven) は、1995年公開の犯罪サスペンス映画。作品中で使われる ”SE7EN” という表記からも分かるように、この映画の内容と ”7” とは深い関わりがある。というのも、本作はキリスト教文化の中で定着している「七つの大罪」をモチーフにしており、劇中ではこの七つの大罪に沿って猟奇的な連続殺人事件が起きて行く。

アンドリュー・ケヴィン・ウォーカーのオリジナル脚本を、デヴィッド・フィンチャー監督が映画化。謎の連続殺人の犯人を追う新人刑事役がブラッド・ピット、コンビを組む引退間近のベテラン刑事役がモーガン・フリーマンという布陣だ。

七つの大罪

この映画を正しく理解するためには、「七つの大罪」を知っておく必要がある。七つの大罪とは、カトリック系キリスト教文化において、忌避すべき行為と定着してる ”7つの罪”のことである。

具体的には、以下の7つ。

日本語英語
傲慢pride
強欲greed
嫉妬envy
憤怒wrath
色欲lust
暴食gluttony
怠惰sloth
七つの大罪

七つの大罪は、4世紀にエジプトの修道士エヴァングリオス・ポンティコスが「修行論」という著作の中に記した8つの罪が起源とされる。

これが、時を経ながらヨーロッパにも伝わり、6世紀にはローマ教皇グレゴリウス1世にも伝わったとされる。

ダンテ・アリギエーリの「神曲」の三篇(「地獄編」「煉獄編」「天国編」)の中の一つ、「煉獄編」にも、死者が清める七つの罪として記述がある。

ダンテ・アリギエーリの「神曲」と、ジョン・ミルトンによる「失楽園」は、中世キリスト教文学の代表作として知られており、アンドリュー・ケヴィン・ウォーカーが、図書館でこの2つの作品を読み、それに触発されてこの映画の脚本を書いた。

これにより本映画「セブン」では、人間の堕落の象徴である ”七つの大罪” に沿って、実際にその堕落をしたと思しき人間が猟奇的に殺されて行くプロットが作られ、劇中にも関連文献(「失楽園」「神曲」)を図書館で調べるというシーンが出て来る。

商業的成功

この映画の上映時間は127分。標準的な長さである。ただ、陰鬱な映像、陰惨なストーリーが続くため、少し長く感じるかも知れない。製作費は3千3百万ドルで、世界興行収入は3億2千7百万ドルを売り上げた。実に9.9倍のリターンである。

9.9倍のリターン

絶対額としても、利益率としても大ヒットした作品である。

あらすじ (24分30秒の時点まで)

月曜日。激しい雨が降りしきる中、朝早くから、ウィリアム・サマセット刑事(モーガン・フリーマン)と、デビッド・ミルズ刑事(ブラッド・ピット)は、殺人現場に派遣されていた。

サマセット刑事(モーガン・フリーマン)は、1週間後に定年退職を迎える思慮深いベテラン刑事で、ミルズ刑事(ブラッド・ピット)は、サマセット刑事の後任として、分署に転勤してきた血気盛んな駆け出し中の刑事だ。

日差しの差し込まない真っ暗な殺人現場の部屋に入ると、椅子に座った驚くほど太った男が、スパゲッティの皿に顔を突っ伏したまま死んでいた。どうやら手足を縛られて身動きが取れないため窒息死したようだ。

検死の結果、男は銃で脅されながら、内臓破裂寸前まで長時間食事を摂ることを強要され、最後は犯人による膨れ上がった腹部への暴力がドドメとなって死んだと診断される。

サマセット刑事(モーガン・フリーマン)は、現場に残された2枚の買い物レシートから、犯人には何がしかの意図があることを読み取り、これを連続殺人の始まりであると見立てるが、ミルズ刑事(ブラッド・ピット)と上司の警部(R・リー・アーメイ)は、このサマセット刑事の意見を取り合わない。

火曜日。サマセット刑事は、検視官から新たにもたらされた、死体の胃の中の残留物を手に、再び殺人現場を訪れる。その残留物をヒントに冷蔵庫を動かしてみると、その裏には ”GLUTTONY(暴食)”と書かれていた。

時を同じくして、新たな別の殺人現場に派遣されていたミルズ刑事(ブラッド・ピット)。そこでは、高収入を得ていた弁護士グールドが、自身の高級オフィスで血塗れになって死んでいた。そして、そのグールドの部屋の床には、血でデカデカと「GREED(強欲)」と書かれていた。

サマセット刑事(モーガン・フリーマン)は、これらは連続殺人だと確信し、犯人の意図は「七つの大罪」になぞらえて人を殺して行くことだと断言する。

この仮説が正しければ、あと5つの殺人事件が起こることになる・・・

見どころ (ネタバレなし)

この映画の見どころを3つの観点で述べてみたいと思います。全てネタバレなしで書いていきますので、皆さんがこの作品をより味わい深く鑑賞するためのお手伝いが出来ると嬉しいです。

大胆なアングルと編集による緊張感

この映画にも、編集を挟まない長回しのシーケンスと、カットを矢継ぎ早に繋ぎ合わせたシーケンスとの両方が存在します(当たり前ですが)。ここで見どころとしてご紹介したいのは、後者の方の、短いカットを細かく繋ぎ合わせているシーケンスです。

まず、オープニングのタイトルロールが非常に印象的です。暗い照明下で接写された犯人と思しき手が、気が遠くなるほど細かな作業を几帳面に延々とこなして行く様が、短いカットの繋ぎ合わせで描写されて行きます。このミステリアスなシーケンスによって、犯人が知能犯であることが示唆され、観ている側の恐怖心を冒頭から煽ります。

殺人現場や、刑事たちが死体を検分しているシーンなどでも、頻繁にカットが切り替わります。そして、カットが切り替わるだけでなく、ショットのアングルが大胆に変わります。この大きなアングル変更によって、カメラが捉える対象物が瞬時に入れ替わり、突然に想像しなかったようなモノがフレームに飛び込んできます。ドキっとします。

このように、アングルと編集によって緊張感を高めて来る演出は、流石デヴィッド・フィンチャーだな!と実感頂けると思うので、お楽しみに!

無駄の無い脚本

描きたい内容を的確に表現して行く無駄のない脚本にも注目です。

分かりやすい例として映画冒頭の3分30秒を挙げます。この僅か3分30秒を鑑賞するだけで、モーガン・フリーマン扮するウィリアム・サマセット刑事は、

  • 独り暮らしの定年間近の刑事
  • 几帳面で確立された生活ルーチンがある
  • 日々残虐殺人を目の当たりにする仕事でありながら高い倫理観を保つ

という属性が描写されます。

一方のブラッド・ピット扮するデビッド・ミルズ刑事は、

  • 粗野で傲慢な若者
  • 刑事としての活躍を夢見る余り、深慮に欠ける
  • 身だしなみもやや雑

という属性が描写されます。

これはほんの一例ですが、こうした無駄の無い描写が、この映画の密度の濃さに繋がっているので、お楽しみください!

ブラッド・ピットとモーガン・フリーマンの演技

深く物事を考えず、ただ刑事として活躍することを夢見て猪突猛進する若手刑事、デビッド・ミルズに扮するのがブラッド・ピットだ。

一方で、常に冷静沈着、鋭い観察力と深い知性を武器に、連続殺人犯の足跡を手繰り寄せて行くベテラン刑事、ウィリアム・サマセット刑事に扮するのがモーガン・フリーマンだ。

それぞれの演技力が確かなことは、筆者のような素人に言われるまでもないことだと思うけど、ここで強調したいのは、2人の名俳優の化学反応が熱いこと!

ミルズ刑事の浅はかさがあるから、サマセット刑事の思慮深さが際立つし、サマセット刑事の洞察力があるから、ミルズ刑事の安易な思い込みが際立つし、その対比が素晴らしい。そして、そんなコンビが劇中で掛け合いをしていく様が、特に前半は、連続殺人へのスリルと同じぐらい、観ている我々の心にさざ波を立てて行きます。

連続猟奇殺人というプロット、大胆なアングルと編集、無駄の無い脚本、そして2人の名優のケミストリー。この陰鬱なジェットコースターを、皆さんは楽しめるでしょうか?

まとめ

いかがでしたか?

ハッキリ言って陰鬱、陰惨なストーリーなんだけど、それでも観てみたいと思って頂けるように、この作品の独特な魅力を可能な切り言語化したつもりです。

この作品に対する☆評価ですが、

総合的おススメ度 3.0 好き嫌いがハッキリ分かれると思う
個人的推し 4.5 ただのグロに陥らない芸術性
企画 4.0 七つの大罪がモチーフになるの初?
監督 4.0 全編ダレることのない緊張感
脚本 4.0 無駄の無い脚本
演技 4.5 1+1 が2以上!
効果 4.5 色、音、編集、音楽
こんな感じの☆にさせて貰いました

このような☆の評価にさせて貰いました。

正直好き嫌いがハッッッキリと分かれる作品だと思うので、おススメ度は低めにさせてもらいました。ただ、個人的には強く推します。映画ファンなら一度はご覧になってみて良いと思う作品です!

見えない犯人の意図は見えているのに、その姿は見えない。そこを追っていくスリル。この一点に、企画も監督も脚本も演技も効果も全力投球しているように思います。ただのグロに陥らない芸術性。

あわわっち

この映画の雰囲気を味わいたくて、たまに観返しちゃうんですよね。

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