話題の記事続編なのに1作目の質を超えた映画5選

【ネタバレなし】青春映画の金字塔:ブレックファスト・クラブ(あらすじも)

この記事でご紹介する「ブレックファスト・クラブ」は、1985年公開の青春映画。ジョン・ヒューズ監督が、それまでのハリウッドの青春映画の定型フォーマットであった、”ハチャメチャ”、”お下劣” 路線ではなく、等身大の高校生の悩みを丁寧に描き出した秀作。

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

公開と同時期に「ブラット・パック」と命名された、当時売り出し中の若手俳優陣を起用し、たった1日の出来事を通じて、高校生男女5人の生々しい悩み、葛藤、苛立ちに迫る。中高年の映画ファンの中には、生涯ナンバー1作品に選ぶ人も少なくない、知る人ぞ知るこの名作の世界を少しだけ覗いてみませんか?

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

この映画を観続けるか、見限るかを判断するジャッジタイムですが、

  • 上映開始から22分10秒の時点をご提案します
22分10秒

この辺りまでご覧になると、この映画のテースト、内容、登場人物(実質6名)の立ち位置が見えると思います。好き嫌いを判断いただくのに適切なタイミングだと思います。

概要 (ネタバレなし)

この作品の位置づけ

「ブレックファスト・クラブ」(原題:The Breakfast Club) は、1985年公開の青春映画。ジョン・ヒューズの第2回監督作品。それまでのハリウッドの青春映画は、ハチャメチャ、お下劣、ドタバタ劇こそがヒット路線とされていたが、ジョン・ヒューズが前作の監督デビュー作「すてきな片想い」(1984年) で、高校生の等身大の内面を丁寧に描写する路線を打ち出し、スマッシュヒットを実現させたことで青春映画の新機軸となった。

続く監督作品である本作「ブレックファスト・クラブ」(1985年) では、ヒューズが製作・脚本・監督の三役を務め、性格の全く異なる高校生男女5人を登場させ、それぞれの個性、それぞれが所属するスクール・カースト、そして、それぞれの境遇への不満は、互いに全く異なるものの、自分がありたい姿と周囲からの認識とのギャップに悩む構図は、彼らの中で共感し合えるものがあり、これをたった1日の5人の対話を通して掘り下げて行く描写には目を見張る。

参考までにジョン・ヒューズが全キャリアで制作に関わった作品を一覧表として載せておく。

邦題 原題 公開年 監督 原案 脚本 制作 製作総指揮 キャラクター創造
ナショナル・ランプーン/パニック同窓会 National Lampoon’s Class Reunion 1982
キャプテン・ブーリーの大冒険 Savage Islands 1983
ホリデーロード4000キロ(ナショナル・ランプーン/ホリデーロード4000キロ) National Lampoon’s Vacation 1983
ミスター・マム Mr. Mom 1983
すてきな片想い Sixteen Candles 1984
ブレックファスト・クラブ The Breakfast Club 1985
ときめきサイエンス Weird Science 1985
ナショナル・ランプーンズ・ヨーロピアン・ヴァケーション National Lampoon’s European Vacation 1985
フェリスはある朝突然に Ferris Bueller’s Day Off 1986
プリティ・イン・ピンク/恋人たちの街角 Pretty in Pink 1986
大災難P.T.A. Planes, Trains & Automobiles 1987
恋しくて Some Kind of Wonderful 1987
結婚の条件 She’s Having a Baby 1988
大混乱 The Great Outdoors 1988
おじさんに気をつけろ! Uncle Buck 1989
ナショナル・ランプーン/クリスマス・バケーション National Lampoon’s Christmas Vacation 1989
恋の時給は4ドル44セント Career Opportunities 1990
ホーム・アローン Home Alone   1990
カーリー・スー Curly Sue 1991
オンリー・ザ・ロンリー Only the Lonely 1991
あぶない週末 Driving Me Crazy   1991
ベートーベン Beethoven 1992
ホーム・アローン2 Home Alone 2: Lost in New York 1992
わんぱくデニス Dennis the Menace 1993
赤ちゃんのおでかけ Baby’s Day Out  1994
34丁目の奇跡 Miracle on 34th Street 1994
101 101 Dalmatians 1996
フラバー Flubber 1997
リーチ・ザ・ロック Reach the Rock 1998
ホーム・アローン3 Home Alone 3 1998
ベートーベン3 Beethoven’s 3rd 2000
ニューポート・サウス New Port South 2001
マイ・ラブリー・フィアンセ Just Visiting 2001
ホーム・アローン4 Home Alone 4 2002
メイド・イン・マンハッタン Maid in Manhattan 2002
ベートーベン5 Beethoven’s 5th 2003
Mr.ボディガード/学園生活は命がけ! Drillbit Taylor 2008
お!バカんす家族 Vacation 2015
ジョン・ヒューズが全キャリアで制作に携わった作品

「ブラット・パック」との関係

ある雑誌が、当時売り出し中の男女の若手俳優の一団を「ブラット・パック」と命名した。そこには、本作に出演している エミリオ・エステベス、シャド・ネルソン、アリー・シーディ、アンソニー・マイケル・ホール、モリー・リングウォルドも含まれている。同年に公開された青春群像劇の秀作「セント・エルモス・ファイアー」(1985年) にも、「ブラット・パック」俳優は多数出演しており、この2作品は「ブラット・パック」の代表作と評されている。

また、この2作品はどちらも、性格の異なる複数の男女が登場する物語なので、当時青春真っただ中だった若者は、劇中のキャラクターの誰かに自身を投影しやすかった。この両作品に強い思い入れを持っている現在の50歳~60歳過ぎの人が多いのはこうした背景からだ。言うなれば「『ブラット・パック』世代」なのかも知れない。

商業的な成功

「ブレックファスト・クラブ」の製作費は、1百万ドル~1.5百万ドル程度だったと言われている。これに対して興行収入額は5千2百万ドルと言われ、超低予算映画が34倍以上のリターンをもたらしたことになる。

34倍以上のリターン

作品への評価

「あらすじ」でも後述するが、この映画は、授業の無い土曜日に”補修”のために招集された高校生の男女5人の話である。その5人の対話だけを題材に、子供から大人になろうとしている若者の内面の葛藤。彼らを鏡とした家庭や社会への問題提起。そして、高校生の心の交流と”高校”というコミュニティの現実を見事に描写してしまう。

この映画は、「アメリカ国立フィルム登録簿」(National Film Registry) に登録されている。これは、連邦政府国立フィルム保存委員会(The United States National Film Reservation Board)が毎年25作品を選定するもので、本作品が、アメリカの文化的、歴史的、芸術的に、後世に多大な影響を与えたことが公的機関からも認められた証である。

あらすじ (22分10秒の時点まで)

 1984年3月24日、土曜日、午前7時。イリノイ州シャーマー・ハイスクールでは、5人の男女の生徒がバーノン教諭に課せられた補修を受けるために登校してきていた。

1人はお嬢様(Princess)と揶揄される金持ちの娘クレア(モリー・リングウォルド)。1人は秀才(Brain)と揶揄されるガリ勉タイプのブライアン(アンソニー・マイケル・ホール)。1人はスポーツマン(Athlete)と揶揄される運動バカのアンドリュー(エミリオ・エステベス)。1人はチンピラ(Criminal)と揶揄される半端者のジョン(ジャド・ネルソン)。そして、1人は不思議ちゃん(Basket Case)と揶揄される理解不能なアリソン(アリー・シーディ)だ。

彼らは親が運転する車で、あるいは1人で、人気のない土曜日の早朝の学校へと集まり、指示された通りに図書室の机に着席する。

そこに補修を命じたバーノン教諭(ポール・グリーソン)が現れ、「自分とは何か?」をテーマに、16時までの9時間を掛け、千語以上の単語で構成された作文(エッセイ)を書けと命じる。

当然5人は明に暗にこれに反発するが、それぞれの境遇に応じたしがらみや、反抗的な態度に加えられる追加の罰(=翌週の土曜日も補修を受ける)、そしてバーノン教諭の高圧的な態度の前に、これを渋々と受け入れる。

バーノン教諭は指示を済ませると自室に引き上げるが、図書室の扉を開けっ放しにし、廊下を挟んでその反対側にある自室のドアも開けっ放しにして、図書室の様子を伺いながら、自身の残務を整理し始める。

図書室に残された5人だが、チンピラ・ジョン(ジャド・ネルソン)が、バーノン教諭の目を盗んで、お嬢様・クレア(モリー・リングウォルド)とスポーツマン・アンドリュー(エミリオ・エステベス)に難癖を付けて絡み始め、特にジョンとアンドリューが一触即発の状態となる。

秀才・ブライアン(アンソニー・マイケル・ホール)、不思議ちゃんアリソン(アリー・シーディ)も随所で巻き込みながら、5人全員にとって苦痛で不愉快な時間が流れて行く。

果たして彼らは、大きな問題を起こさぬまま16時を迎えることが出来るのだろうか?エッセイを書き上げられるのだろうか?そして、その内容はどんなものになるのだろうか…?

見どころ (ネタバレなし)

この映画の見どころを、ネタバレなしでなるべく簡潔に整理してみたいと思います。

ハッキリ言って本作品は、観て頂く、感じて頂く、浸って頂く、それが全てだと考えています。なので、上述の「ジャッジタイム」までご覧になって、好きと感じるかが全てだと思いますが、幾つかポイントを挙げてみたいと思います。

五者五様の家庭環境

舞台装置として、人気のない土曜日の高校の図書室という空間が準備されます。そこに主要登場人物である5人の高校生の男女が集まってくる訳ですが、映画の冒頭から非常に端的に5人の家庭環境が描写されます。脚本家、そして監督としてのジョン・ヒューズの手腕に注目です!

具体的には、高校にどういう送迎手段で現れるか、送ってくれた親との対話がどうか?で、あっという間にキャラ付けをしてしまいます。

皆まで申しませんが、高級車で乗り付け、娘にモノさえ与えておけば良いと思っている父親。子供の言うことを問答無用で打ち消す母親。自分の理想の男性像を押し付ける父親。娘との対話を拒否する親。そして、そもそも送迎すらない息子。

こういう五者五様の家庭環境、そしてキャラクターを設定することで、我々視聴者が自身を投影しやすいような環境を整えてくれています。

出演者の役作り

出演者の若手俳優の役作りに目を見張るものがあります。細々とお伝えするのは野暮なので避けて、見えやすいある対比をご提示したいと思います。

既述の通り、本作「ブレックファスト・クラブ」と「セント・エルモス・ファイアー」は同年(1985年)に公開されました。この両方に出演しているのは、エミリオ・エステベス、ジャド・ネルソン、アリー・シーディの3人となりますが、前者は高校生役。後者は大学卒業直後の20代前半の役です。

全く同じ俳優が、全く同じ年に公開された映画で、年齢が5歳以上離れている役を演じているにも関わらず、それぞれちゃんと高校生、20代前半の若者に見えるから不思議です。俳優さんの役作りって凄いなぁと感心します。

ご自身の目でもお確かめください!

自分とは何か?

この映画で高校生たちが書かされるエッセイのテーマは「自分とは何か?」です。何らかの違反に対するペナルティとして、彼ら5人はこの課題に取り組まされるという設定なのですが、「自分とは何か?」なんて、土曜日に9時間掛けたって書けるもんじゃないです。

大人にも難しいこの哲学的な命題を、サラっと青春映画に忍び込ませてくる狡猾さもこの映画の興味深いところです。

なお、予備知識として「ジョハリの窓」というフレームワークを念頭に置いておくと、この映画で描写されて行く”ハイスクール・コミュニティにおけるポジション取りの難しさ”もスッと理解できると思うので、リンクを貼っておきます。

自己には「公開されている自己」(open self) と「隠されている自己」(hidden self) があると共に、「自分は知らないが他人は知っている自己」(blind self) や「誰にも知られていない自己」(unknown self) もあると考えられる。

ジョハリの窓 – Wikipedia リンク

5人は、対話を、エッセイを通じて、どんな “Self” を見つけるのでしょうか?

Changes – David Bowie

この映画の冒頭で、David Bowie の言葉が引用されるタイトルロールがあります。これは、David Bowie のChanges という歌の歌詞の一部です。超オシャレな曲なのでご紹介しておきます。

…And these children that you spit on as they try to change their worlds are immune to your consultations. They’re quite aware of what they’re going through…”

Changes – David Bowie

ネタバレなしで、なるべく簡潔にこの映画の見どころをご紹介したつもりですが、皆さんが本作品をより味わい深く鑑賞できるお手伝いが出来ると幸いです。

出演:エミリオ・エステヴェス, 出演:モリー・リングウォルド, 出演:アリー・シーディ, 出演:ジャド・ネルソン, 監督:ジョン・ヒューズ

まとめ

いかがでしたでしょうか?

若手俳優を起用した超低予算映画でありながら、役作りや演出の工夫で、深遠なテーマに切り込んだ秀作。そのさわりの部分だけでもご紹介できていたら嬉しいです。是非鑑賞して、この映画の奥行きをご自身の目でもお確かめください。

この作品に対する☆評価ですが、

総合的おススメ度 3.5 若者特有の葛藤の世界に浸りたい時に絶賛推奨です!
個人的推し 4.0 映画ファンなら一度は観ておいて損は無いと思います!
企画 4.5 企画が良いと予算なんて必要ない!という証左ですね
監督 4.5 青春映画の旗手です!
脚本 3.5 随所でややダレるような…
演技 3.5 役作りが素晴らしいです
効果 3.0 各種効果がモノを言う作品ではないですね。
こんな感じの☆にさせて貰いました

このような評価にさせて貰いました。

なんてことない映画です。なんてことないから凄い映画です。とある土曜日の舞台設定から、若者の内面に切り込んじゃっている青春映画です!

あわわっち

アメリカ人で、生涯ベスト映画に選んでいる人にも会ったことあります!

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