話題の記事続編なのに1作目の質を超えた映画5選

【ネタバレなし】人気ドラマのリメイク映画「逃亡者」(あらすじ、見どころ)

この記事でご紹介する「逃亡者」は、1993年公開のハリソン・フォード主演のサスペンス映画。妻殺しの冤罪で捕まり死刑判決を受けた外科医が、移送中に運よく逃亡し、警察の追跡をかわしながら独自の捜査で真犯人を追い求める物語。1960年代の人気テレビドラマ・シリーズのリメイク。

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

主人公の逃亡者に扮するのがハリソン・フォード。これを追う連邦保安官補に扮するのがトミー・リー・ジョーンズ。トミー・リー・ジョーンズはこの役でアカデミー助演男優賞を受賞して一気にブレーク。「追跡者」という続編製作にも繋がって行く。

サスペンス x アクション x ドラマという重厚な作品を、逃亡者目線と追跡者目線とでバランス良く描いたこの秀作。全編続くハラハラドキドキを、この記事でちょっとだけ一緒に予習してみませんか?

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

この映画を観続けるか、見限るかを判断するジャッジタイムですが、

  • 上映開始から30分30秒のタイミングをご提案します。
30分30秒

ここまでご覧になると、この映画の世界観が十分につかめると思いますし、逃亡者と追跡者がどういう経緯でこのストーリーに誕生・登場するのかが見えると思います。

この先をご覧になるかを判断する最短のタイミングとして、この時点をご提案いたします。

概要 (ネタバレなし)

この作品の位置づけ

「逃亡者」(原題: The Fugitive) は、1993年公開のサスペンス映画。ハリソン・フォード扮する主人公の外科医が、タイミングが悪く妻殺害の犯人に誤認されてしまい死刑判決を受けるが、運良く逃亡に成功し、その後は自らの手で辛抱強く真犯人を追い求めて行くストーリー。だから Fugitive =逃亡者。

一方で、これを追う連邦保安官補に扮するのがトミー・リー・ジョーンズ。この映画では、逃亡者側の視点だけではなく、これを追う追跡者の人間的キャラクターにも厚みを持たせて描いたことが、大ヒットにつながった要因と考えられる(詳細は後述)。トミー・リー・ジョーンズは、この演技でアカデミー助演男優賞を受賞している。

というのも、この作品を監督したアンドリュー・デイヴィスは、直前の2つの監督作「ザ・パッケージ/暴かれた陰謀」(1989年) と「沈黙の戦艦」(1992年) でもトミー・リー・ジョーンズを起用しており、お気に入りの俳優に、逃亡者 x 追跡者 という構図の厚みを託した格好になっている。

リメイク作品

この映画はリメイク作品である。リメイクと言っても映画ではなくTVドラマのリメイク。オリジナルの「逃亡者」は、1963年から1967年に掛けてABC系列で4シーズン全120話放送された人気ドラマである。

大人気TVドラマのリメイク

日本でも1964年から1967年に掛けてTBS系列で放送された。

本国アメリカでも日本でも、大変人気を博して記録的な高視聴率を残している。

芸術的評価

トミー・リー・ジョーンズが、この映画のサミュエル・ジェラード役の熱演で、アカデミー助演男優賞を獲得した。初受賞である。

「ザ・パッケージ/暴かれた陰謀」(1989年) 、「沈黙の戦艦」(1992年) に引き続いて、本作で三度目のタッグを組んだアンドリュー・デイヴィス監督に、このジェラード役に起用されたトミー・リー・ジョーンズは、これを機会に一気にブレーク。

それまで演じて来たアクの強い悪役から脱皮して、癖があるけど感情移入できる主人公級の役者として活躍の幅を広げて行く。こうした、どこか憎めない敵役(かたきやく)というのが、本作でのサミュエル・ジェラードの役回りだ。

商業的成功

この映画の上映時間は130分と、極めて標準的な長さである。製作費4千4百万ドルに対して、世界興行収入は3億6千9百万ドルを記録し大ヒット作品となった。実に8.39倍のリターンである!

8.39倍のリターン

詳細は後述するが、ドキドキするサスペンス・ストーリーに、登場キャラクターの丁寧な性格描写が折り重なって、噛み応えのある作品に仕上がったのが成功の秘訣なんだろうか?

あわわっち

ちょっとしたキャラ描写の工夫が面白いんですよねぇ

あらすじ (30分30秒の時点まで)

シカゴ記念病院に勤める高名な外科医であるリチャード・キンブル(ハリソン・フォード)は、幸せの絶頂にあった。子供はいないが、仕事も上手く行き、美しい妻との仲も良好だ。

しかし、ある晩緊急手術で留守にしている間に、自宅に押し入った強盗に妻が殺されてしまう。

間が悪いことにキンブルは、頭部に致命傷を負った妻が死に絶える前に帰宅していたためアリバイが無い。キンブルは、押し入った強盗と思しき片腕が義手の男と現場でもみ合いになったと証言するが、犯人の指紋が検出されなかったため、彼の主張は裁判でも一切受け入れられないまま、キンブル本人が第一級殺人罪で死刑判決を受けてしまう。

他の凶悪犯と一緒に留置場から刑務所にバスで護送されることになったキンブル(ハリソン・フォード)。ところが他の囚人たちが結託して、バス内で看守も巻き込む大騒動を起こした結果、バスは横転して道路脇崖下の線路にまで転落し、通りかかった大型列車にバスごと弾き飛ばされる大事故となる。

生き残ったキンブルは、この千載一遇のチャンスに逃走し、近所の病院に忍び込んで、事故の際に負った怪我を自ら治療し、トレードマークであったヒゲをそり落として人相を変え、入院患者から盗んだ身ぎれいな服に着替えて、更なる逃走を図る。この即席の変装は、キンブルの写真が印刷されたFaxを手にした警官の目も欺いたほどだ。

このバス事故の捜査責任者となったのは、当該管区の連邦保安官補のサミュエル・ジェラード(トミー・リー・ジョーンズ)だ。彼は、初動捜査に当たった地元警察や、生き残った看守の証言などを一切信じず、死体と物証だけを頼りに捜査を開始する。

その結果、キンブル(ハリソン・フォード)は生存しており、かつ逃走中であることを突き止め、周囲一帯に非常線を張る。

この包囲網をかいくぐって逃走を続けるキンブル。

果たして、キンブル(ハリソン・フォード)は、やり手のジェラード(トミー・リー・ジョーンズ)の追跡をかわすことが出来るのだろうか?妻を殺した義手の男の正体を突き止められるのだろうか?そして、自身の冤罪を証明することが出来るのだろうか・・・?

見どころ (ネタバレなし)

この映画の見どころを、4つの観点に絞って述べてみたいと思います。どれもネタバレなしで書いておきますので、この作品をより味わい深く鑑賞するお手伝いになれていると嬉しいです。

ポイントは、逃亡劇 x 追跡劇 = サスペンス x アクション x ドラマ という構図です。

2人の名優対決

何と言っても、この映画の最大の見どころは、2人の名優ハリソン・フォードとトミー・リー・ジョーンズの演技対決だと思います。

妻を何者かに撲殺され、それでも何とか正気を失わず、努めて努めて冷静に、逃亡と真犯人発見に一縷の望みをつなぐリチャード・キンブル医師役を演じるのがハリソン・フォードです。

「あらすじ」を述べた冒頭の30分だけでも、3つポイントにご注目頂きたいんですよね。

1つ目は、映画冒頭ではちょっと傲慢な外科医という匂いがプンプンしているのが、事件に巻き込まれた後はガラっと雰囲気が変わって、静かな執念を宿すようになるんですよね。この落差が、運命に翻弄される男という設定を強調してきます。

2つ目は、左利きを演じている点。ハリソン・フォード本人は右利きの筈ですが、リチャード・キンブル医師は左手を主に使います。この辺りのちょっとした役作りにも注目です。

3つ目は、逃亡中も人の命を救う医師というアイデンティを失わない点。ちょいちょいリスクを冒してでも、人命救助に繋がる行動を取っちゃうんですよね。

こうしたディティールにこだわるキャラクター作りに、思わず感情移入してしまうかもしれません。注目です。

一方で、職務に忠実で、鍛え上げた部下と証拠と己の力だけを信じて、どこまでもどこまでも執拗にキンブルを追いかけて来るサミュエル・ジェラード連邦保安官補役を演じるのがトミー・リー・ジョーンズです。

ただし、サイボーグのように追ってくるという訳ではなくて、とってもとっても人間臭いんだけどしつこいというスタンスが、キンブルとの 人間 vs. 人間 の真っ向勝負の構図を鮮明にします。ジェラードという“人間”の強さが、熱さが、緻密さが、キンブルという“人間”が受ける緊張感、プレッシャー、焦燥感の説得力となっていきます。

私たちは、トミー・リー・ジョーンズの大ブレークの目撃者になっちゃいましょう!

アクション映画という要素

この映画はサスペンス映画なんだけれども、実はアクション映画としても出色の出来です。「あらすじ」でもご紹介したバスの大事故シーンも、1993年当時最高の特撮技術が用いられています。

それ以降にもアクションシーンは出てきますので、是非そうした動きの大きなシーンも楽しみにして頂けると良いと思います!

地味に深いメッセージ

ドラマのリメイクだということもあって、主人公の逃亡”劇”ばかりに目が行ってしまいますが、この映画地味に冤罪を扱ってるんですよね。かつ、死刑制度も絡んで来る。

映画の舞台となるイリノイ州は、2011年のパト・クイン州知事時代に死刑制度を廃止しましたが、映画の時代背景となる1990年代は死刑制度がありました。冤罪からの死刑。メチャクチャ重いテーマです。

そして、皆まで申しませんが、キンブル医師が事件に巻き込まれた背景にもメッセージが込められて行きます。

逃亡の”要因”にも目を配ってご覧になると、より奥行きを感じることが出来るかも知れません。

テンポの良い演出・構成・編集

逃亡劇 x 追跡劇ということで、非常に緻密な設計がなされている本作。だからと言ってダラダラと描かれて行く訳ではないんですよね。

「あらすじ」を述べた最初の30分を例にとると、時系列の前後関係を入れ替えたり、妻が強盗に遭うシーンは「ネガティブ」と呼ばれる白黒が逆転した色合いで表示したり、ストーリー性の高い一枚の構図で起きたこと全てを示唆したりと、構図、構成、編集を工夫して、事件のあらましを伝えるシーケンスは限界まで短くしてるんですよね。

お陰で映画のテンポが非常に良いので、私たちは緊張感を切らさず、この映画に没入することができます。監督のアンドリュー・デイヴィスはもっと評価されても良いと思います。

あわわっち

映画の”つかみ”が凄いです!

まとめ

いかがでしたか?

今(2023年)から30年も前に公開された映画であるにもかかわらず、全く色褪せることのないこのサスペンス作品の、予習情報としての役割を果たせていると幸いです。

この作品に対する☆評価ですが、

総合的おススメ度 3.5 途中でいたたまれなくなるかも・・・
個人的推し 4.0 ハラハラドキドキが堪りません
企画 3.5 見事なリメイク作品!
監督 4.0 過小評価されてる!
脚本 4.0 巧みなキャラクター描写!
演技 3.5 主役2人の演技力の高さよ!
効果 4.0 当時の最高峰!
こんな感じの☆にさせて貰いました

このような☆の評価にさせて貰いました。

繰り返しになりますが、サスペンス作であり、アクション作であり、ドラマ作であるこの重厚な作品を、逃亡者目線と追跡者目線との両方からバランス良く描くという意欲作だと思います。

あわわっち

是非ご覧になってみて下さい!

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