この記事では、映画史に燦然と輝く不朽の名作「タイタニック」について解説します。世界歴代興行収入トップ10タイトルの中で、唯一20世紀に製作された映画であり、数少ないシリーズものではない作品。その人気の秘密を掘り下げてみたいと思います。近年では公開25周年を記念して3Dリマスター版も公開され大好評を得ましたよね!
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この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。
もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。
この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。
この映画を観るかどうか迷っている人、観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人 のことも考え、ネタバレしないように配慮しています。
ジャッジタイム (ネタバレなし)
本作において、そのまま見続けるのか、見るのを止めるのかのジャッジタイムですが、
- 上映開始から28分00秒をご提案します
ここまで観て頂ければ、「ああこの映画好きだわー」か「こういうのあんまり趣味じゃないかも・・・」の判断が付くかと思います。まずはこのポイントまでお付き合いいただければと思います。
概要 (ネタバレなし)
この作品の位置づけ
「タイタニック」(原題:Titanic) は、1997年公開の恋愛映画。世に存在する豪華客船を舞台にした映画の中で、最も有名で、最も芸術的評価が高く、最も商業的に成功したと言って良い作品。
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レオナルド・ディカプリオ扮する若く無名の画家ジャックが、ケイト・ウィンスレット扮する良家の令嬢ローズと、タイタニック号上で運命的な恋をするという切なく儚いロマンチックなラブストーリー。
着想
元々スキューバダイビングや深海探査を趣味とする(※)ジェームズ・キャメロンが、タイタニックという史上空前の豪華客船が処女航海でまさかの沈没をするという実在の悲劇に、身分を超えた恋愛という構図を重ね合わせた名作。
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実在の人物と架空の人物を混在させて劇中に登場させることで、そして、それ以前から存在する実写、スケールモデル撮影の技術に、制作当時(90年代後半)革新的に進化したCG技術をシームレスに融合することで、豪華客船のラグジャリーな臨場感と、海難事故の絶望的なスケール感、そして、本当にあった出来事をのぞき込むような没入感をものの見事に音と映像で再現する。
超大作
上映時間は194分と非常に長尺だが、ラブロマンスも絡めた起承転結がハッキリとしたストーリーなので、ダレることなく最後まで楽しめると思う。流石ジェームズ・キャメロン!
- セリーヌ・ディオンが歌う主題歌「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」(1,800万枚の大ヒット)と、船首でケイト・ウィンスレットをレオナルド・ディカプリオがバックハグするシーンがあまりにも有名
- アカデミー最多受賞記録(11部門)を保持(1959年公開の「ベンハー」、2003年公開の「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」と並ぶ)
- 公開時、世界歴代映画興行収入No.1の映画になる(22億ドルを稼ぎ出し、2009年に同じキャメロン監督の「アバター」(30億ドル)に抜かれるまで1位。現在は3位)
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※ クレイジージャーニーというTV番組に、深海探査における日本の第一人者である高井研さんという方が出演された時に、「あいつ(←ジェームズ・キャメロンのこと)、日本で使われている深海探査の総研究費を上回る額を、個人のポケットマネーで費やして深海探査してるんすよ!」と、ジェームズ・キャメロンを「あいつ」呼ばわりして、お怒りになってた(笑)
高井先生が、思わず「あいつ!」って言っちゃってたよ!w
芸術的評価
この映画は、「アメリカ国立フィルム登録簿」(National Film Registry) に登録されている。これは、連邦政府国立フィルム保存委員会(The United States National Film Reservation Board)が毎年25作品を選定するもので、本作品が、アメリカの文化的、歴史的、芸術的に、後世に多大な影響を与えたことが公的機関からも認められた証である。
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そして、アカデミー賞の、作品賞、監督賞、撮影賞、美術賞、主題歌賞、音楽賞、衣裳デザイン賞、視覚効果賞、音響効果賞、音響賞、編集賞の11部門を受賞。1959年公開の「ベンハー」、2003年公開の「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」と並んで、歴代最多部門受賞作です。
見どころ (ネタバレなし)
映画全体の構成
この作品、初見の方は当然ご存知ないと思うが、映画全体が現代(1996年)から過去(1912年)を振り返るという構成になってるのよね。
タイタニック沈没を奇跡的に生き抜き、今や100歳を超えるローズという皺くちゃのお婆さん(※)が、船内で見たもの、聞いたもの、嗅いだもの、触ったものから語り始めて、ついにはタイタニック沈没の真実まで語るという構成になってるんだよね。
この流れが、観る側を一気に84年前に連れて行くストーリーテラーの役目を果たしてて、そして、その物静かだけど生々しい語り口が、船上のひとつひとつの出来事に息吹を吹き込んで、その結果、そんなラブストーリーが沈没事故の裏に隠されていたのね!と、妙に観る側を納得させちゃいます。もうこれ以上は何も申しません。身を委ねちゃってください。
※ このお婆さんの孫役で出て来た女優スージー・エイミスが、ジェームズ・キャメロンの現在の妻(2000年~)。ジェームズにとってこれが生涯で5回目の結婚である。
ジェームズ・キャメロンは、趣味・結婚、特技・離婚だね!
俳優陣の演技
まず何と言ってもジャック役を演じたレオナルド・ディカプリオがカッコイイ。撮影当時22歳。少年のあどけなさや、若者ゆえの奔放さを体現しつつも、この段階で既にキャリア10年だった子役出身のディカプリオが、どうその演技力でこの儚いシナリオに厚みを持たせて行くのかを楽しんで!
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一方相手役のローズを演じたケイト・ウィンスレットはと言うと、一歳年下の当時21歳。端正な顔立ちが良家の子女の役柄に説得力を持たせつつ、まだ3年目の俳優キャリアというある種の危うさが、そのキャラクター作りにどう好影響を与えていくのか。
個人的にはとっても共感できる登場人物だと思うので、当然のことながら注目です。この映画の後に太った、太ったと揶揄された彼女ですが、少なくとも本作品ではその美しさを手放しで楽しめるんじゃないかな。
脇役陣も見逃せません。ローズの母親役のフランシス・フィッシャーや、婚約者役のビリー・ゼインが、キッチリと良い仕事をしてくれるお陰で、ストーリーもちゃんと成立するし、観る側が「キキーっ」とムカつけて、ローズというキャラクターにこちら側の思いを重ねて行くことができます。安心してご覧になってください。
注目のシーン
何と言っても、既に書いた、あまりにも有名な船首のシーンを堪能しちゃってください。ただこのシーンは、絵柄が先行してこの作品のシンボル的な位置づけになっちゃってますが、シナリオ上でも大変重要なシーンなので、そのストーリーの流れも楽しんで!
自分が生まれる前に公開された作品だけど、このシーンはホントに有名だよね!
ディカプリオ扮する若き無名の画家であるジャックが、劇中でスケッチをするシーンが出てきますが、それらは全てキャメロン監督の手によるものだそうです。そのキャメロンの生デッサンも楽しんでください。
キャメロンさんは左利き、ディカプリオ扮するジャックは右利きだから、撮った映像を左右反転させて映画で使ってるんだって!
効果の数々
既に述べたように、実写、スケールモデル、CGがシームレスに融合して超豪華客船への没入感を高めてくれます。沈没シーンについては、言葉で述べるのは野暮というもの。とにかくご覧になってください。
世の中が、世界大恐慌どころか、第一次世界大戦も体験していない古き良き時代の、超豪華客船での旅、パーティー、社交界というものが、丁寧に、丁寧にディティールにこだわって描かれています。
主題歌も素敵ですが、船内の随所で催されるパーティーシーンとその音楽、その踊りも素敵です。
アカデミー賞の主要5部門以外にも、合計11部門に輝いたのが、ホント納得です。
その他の情報
筆者の本作に対するおススメ度合いは、 4.0/5.0 です。
おススメ出来ない要素は、上映時間が流石に長ぇーだろってことと、個人的に好きじゃないシーンが1つだけあるという、ただの2点のみです。あとは映画の楽しさがたっぷり詰まった本当に素晴らしい作品です!
アカデミー賞の11部門に輝いたのは、ダテじゃないです!
「アナと雪の女王」のスヴェンとオラフ・・・