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【ネタバレなし】オスカー女優と共演「トゥルー・ライズ」(あらすじも)

この記事では、「ターミネーター」「ターミネーター2」を作り上げた、ジェームズ・キャメロンとアーノルド・シュワルツェネッガーのコンビが、”大型アクション・コメディ” という、ありそうでなかった新ジャンルを切り開いた「トゥルー・ライズ」について解説します。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(序盤に限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

2023年開催の第95回アカデミー賞で助演女優賞を獲得したジェイミー・リー・カーティスも出演。「タイタニック」前夜のジェームズ・キャメロンが、どんな ”Lies(嘘)”を我々に仕掛けるのか?そして、それが今でも我々の目にどう斬新に映るのか?

ちょっと一緒にこの作品の世界に足を踏み入れてみませんか?

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

本作品は、目下配信サービスで視聴出来ないため、ジャッジタイムのご提案が叶いません。すみません…

概要 (ネタバレなし)

本作品の位置づけ

「トゥルー・ライズ」(原題:True Lies) は、1994年公開のアクション・コメディ。ジェームズ・キャメロンが製作 (ステファニー・オースティンと共同)・脚本・監督を務めている。主演はアーノルド・シュワルツェネッガーで、「ターミネーター」「ターミネーター2」に引き続いて、キャメロン – シュワちゃん・コンビの3本目の作品となる。

製作費は1億1千5百万ドルで、アメリカ映画史上初めて製作費が1億ドルを突破した作品である!いわゆる”ビッグ・バジェット”と呼ばれる1億ドルの製作費にハリウッドが到達したのは、この1994年だった訳だ。

世界興行収入は3億7千9百万ドルで、1994年の世界興行収入ランキングで言うと、1位「ライオン・キング」(4億2千3百万ドル)、2位「フォレスト・ガンプ」(3億3千万ドル)に次ぐ3位となっている。この年の目玉ヒット作品であったことが分かる。

リメイク作品

この映画は、「La Totale!」というフランス映画(1991年公開)のハリウッド・リメイクに当たる。”La Totale” とは英語で言えば “The Total” であり、「それが全てだ!」というニュアンスを表している。詳細は後述するが、この映画のプロットである、”諜報員であることを家族に隠して活動する男”にとっても、「家族が全てだ!」という思いを映画タイトルでも表現したものだ。

一方でハリウッド版の”True Lies”は、”本当の嘘” という意味であり、”The Total” とは表現している内容は全く異なるけれども、映画のタイトルにちょっと謎かけが入っているという意味では、共通性を感じる。

本当の嘘

さて、本作品のハリウッド・リメイクの発案者だが、Wikipediaには”シュワルツェネッガーが、ジェームズ・キャメロンにリメイクを持ちかけて製作された”と書かれているが、筆者が調べた限りでは、映画プロデューサーのジェリー・ワイントローブが、このハリウッド・リメイクの企画を立ち上げたという情報に行き着いた。果たしてどっちが正しいのだろう?

冒頭のあらすじ

ハリー(アーノルド・シュワルツェネッガー)は諜報機関「オメガ・セクター」のエージェント。弁護士事務所で働く妻ヘレン(ジェイミー・リー・カーティス)と、思春期14歳の娘ディナと暮らしている。ただし、自身が凄腕の諜報員であることは家族にひた隠し、平凡なセールスマンの振りをしている。

自宅で催される予定だった自身の誕生日パーティーも、最優先諜報対象である「真紅のジハド」の対応に追われ、すっぽかすことになるハリー。表の顔と裏の顔の両立が上手く行かない。

夫であるハリーの表の顔しか知らない妻のヘレンは、家庭生活に退屈し、つい刺激を求めてサイモンという男と密会を重ねてしまう。

サイモンは、自身の裏の顔はスパイだと詐称し、スリルを求める人妻の心の隙を突く常習犯。しかしその正体は、冴えない中古車販売員。

妻の様子の変化に勘付き、スパイとしてのテクニックで、密会相手のサイモンの正体は突き止めたハリーであったが、さりとてヘレンとサイモンが密会をしているという現実は変わらず、次回の2人の密会を「オメガ・セクター」のチームを総動員して徹底追跡してしまう。

2人がしけ込んだサイモンの自宅を遂には襲撃し、ヘレンを連れ去り本部の取調室で尋問する。そこでヘレンの行動は本当に出来心によるものであり、夫である自身への愛も再確認できたことから、穏便な方法で解決を図ることにする。

それは、ヘレンを半強制的にスパイに仕立て上げ、リスクが無い任務をあてがうことで、彼女の生活に興奮を与えるという物だ。

後日この作戦を発動させ、ヘレンに、コールガールに成りすましてホテルの部屋に行くよう指示を与えるハリー。実際はこの部屋でハリーが待ち受け、正体がバレないようにヘレンと接触を図るつもりでいた。

コールガールのフリをするよう指示されるヘレン

指示に従いホテルの部屋に現れたヘレンが、コールガールとして想像以上にセクシーな振る舞いをしたため、つい感情に流された行動を取ってしまったハリーは、その場で正体がバレてしまう。

2人が顔を見合わせているところに、「真紅のジハド」が襲撃を仕掛けて来て、2人はそのままテロリスト達に拉致監禁されてしまう。この状況に、ようやくハリーが正真正銘のスパイであることを悟ったヘレン。

夫の凄さに気付く妻ヘレンと、妻を危険な状況に巻き込んでしまった夫ハリー。果たしてこの後二人の身に何が起きて行くのか…???

見どころ (ネタバレなし)

冒頭述べたように、本作品は”大型・アクション・コメディ”の先駆者的作品だと思います。

大型・アクションとアクション・コメディというジャンルは本作以前より存在していました。また一方で、大型・コメディというのは需要が低いと思います。そういう訳で、大型とアクションとコメディの3つの要素がこれだけバランス良く掛け合わされた大型・アクション・コメディというは、本作が映画史で初なんじゃないかと思います(個人の見解)。

しかも、その”大型”度合いが、アメリカ映画史上初の製作費1億ドル突破ですから、どれだけ新たな道を切り開いた作品なのか認識いただけるのではないでしょうか?

細かな要素を見て行きましょう。

アクションシーンの見応え

本作は、何はともあれアクションシーンが非常に見応えがあります。キッチリあります。

ジャームズ・キャメロンとアーノルド・シュワルツェネッガーのコンビが、ターミネーターで作り上げてきた関係性がキッチリと画面に現れてきます。上に書いた「冒頭のあらすじ」の範囲だけご覧になったとしても、銃撃戦を始めアクション・シーンが迫力満点です。

その時間帯以降もそれは続いて行くどころ、どんどんスケールアップして行くので、とにかく期待してみてください!

コメディ要素

まずもって設定が面白いんですよね。

仕事では超有能な夫が、家では妻と娘にちょっと下に見られてる。その結果、妻は別の男に目を向け始めたり、思春期の娘は反抗心を助長させたりしている。でもまぁ、ここまではよくある話。

そこに、有能さの中身として”実は諜報員”としての要素が加味される。ターゲットを秘密裏に調べたり、捕まえたり、必要とあらば殺したりする世界の一流のプロフェッショナルという設定が折り重なってくる。

ごくごく一般的な家庭ドラマの中では、さして映えない笑いやギャグ要素も、この設定によってエッジが立ってきますよね。妻への不信感がスパイとしてのプロ意識に直結したり、娘に対する男親としての悲哀には世界の治安を維持する能力は無力だったり、グーンと面白さが強調されて来る。とにかくこのプロットが際立たせるギャップ、そして笑いを存分に楽しんで欲しいのです。

更に、このプロ・スパイの裏表の構図に加え、退屈した妻に言い寄って来る不埒な男が、”俺は本当はスパイだ”と詐称してくるという追い討ち。しかもそのミステリアスさにウットリしてしまう妻。

退屈した妻、プロとしての裏の顔、それもスパイ、間抜けな間男。二重、三重に仕掛けられてくるこのギミックが、綺麗に1つに収まってくれるので、スッと楽めると思います。

光る俳優陣の演技

アーノルド・シュワルツェネッガー

とにかくアーノルド・シュワルツェネッガーのアクション・コメディ俳優としての才能が開花したのが、この1994年だったんじゃないでしょうか?

これ以前も「ツインズ」や「キンダガートン・コップ」等コメディ作品に主演をして、一定の成功を収めてきたシュワちゃんですが、それらは別にシュワちゃんじゃなくても良かったんじゃね?あるいは、脇役に支えられてたよねという側面は否めなかったように思います。

しかし本作では、シュワちゃんじゃないと出来ない役だし、シュワちゃん演じるハリーというキャラクターが、能動的に周囲のキャラクターと掛け合いをし、結果、独立して自律的に機能していると思います。

ジェイミー・リー・カーティス

「冒頭のあらすじ」の範囲に限定して言及したとしても、ジェイミー・リー・カーティスの演技が素晴らしいですよね。

弁護士事務所に勤めるあまりパッとしない女性従業員。平凡な家庭生活に充足できない主婦。そして、刺激を求めてしまう女性。更にスパイ役(コールガール役)を目一杯演じるセクシーな女。ほんの短い時間の内に、様々な顔を見せてくれます。この猫の目のようにコロコロと表情を変える演技が、上述のこの映画独特のコメディ要素をシッカリと支えてくれています。

「冒頭のあらすじ」の範囲以降も、どんな演技、どんな表情を見せてくれるのか、期待してご覧になってください。

2023年の第95回アカデミー賞で、助演女優賞を獲得したジェイミー・リー・カーティス。45年以上のキャリアの中で、実はオスカー初戴冠なんですよね。この事実が不思議なくらいの表現力です。

彼女のオスカー級の演技が、大型・アクション・コメディを完成させているのは間違いありません!

ビル・パクストン

冴えない中古車販売員を熱演(?)しているのがビル・パクストン。このキャラクターの”偽物感”が本当にリアルなんですよね。実はこの作品のタイトルにもなっている”True Lies”って、このピル・パクストンの演技に付与された称号なんじゃないかとさえ思います。

この”真の偽物”に”盲目的に騙されちゃう人妻”という関係性が成立するからこそ、そこから生まれる夫の苛立ちがちゃんと痛々しいし、無力感がちゃんと哀しいし。その上で観客はこれを一段高い位置から客観視できるから、ちゃんとコメディとして面白くなるんだと思います。

本作品の3年後、1997年の「タイタニック」で、同じくジェームズ・キャメロンが、深海探査プロジェクトのリーダー、ロック・ロベットという非常に重要な役に、彼を起用したのも頷けます。

こんな、底力のある俳優さんが、61歳の若さで急逝するなんて、本当に残念です。

バランスの取れた演出

「冒頭のあらすじ」の範囲以降もご覧になると納得して頂けると思いますが、本作品は、スパイ物、ファミリー・ドラマ、格闘物、そして大規模なアクション物と複数の要素を持ちます。これらをバランス良く演出してみせたジェームズ・キャメロンが、やっぱりスゲーってことになるんじゃないでしょうか?

しかも、圧倒的な存在感が光るアーノルド・シュワルツェネッガーの向こうを張って、ジェイミー・リー・カーティスを配置してみせた。

「エイリアン2」「ターミネーター2」で、既に力強い女性を描くことに定評のあったジェームズ・キャメロンが、ここへ来て、強いだけでなくちょっと天然なキャラクターをカーティスと共に練り上げた。この辺りに特に注目です!

1億ドル以上を費やしたんだから、アクションは凄くてある意味当然。そこに、どこにでも転がってそうな夫婦や父娘の関係性を書き加えて、壮大なストーリーを視聴者の半径5メートルに垂直離着陸させたことが、この映画の最大の成功要因なんじゃないでしょうか?

いつになったらBlu-ray 出るんだ問題

今現在(2023年3月時点)、この作品にはBlu-ray版が無いです。こだわりのキャメロンが、自分のチェックを介さないとリリースを許さない。でも、忙しすぎて、そのチェックは後回しという状態が続いているらしく。DVD版しかありません。

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まとめ

本作の☆評価ですが、

総合的おススメ度 4.0シンプルに面白いです!
個人的推し 4.0健全ですね。推せます!
企画 3.5まぁリメイクですからね・・・
監督 4.0予算使い過ぎ???
脚本 4.5構図のメリハリが効いてます!
演技 4.0ちょっと引っ掛かるところがありまして・・・
効果 4.5アクションシーンの迫力が凄い!
こんな☆にさせて貰いました

面白いです!アクション映画なので暴力シーンはありますが、基本的に健全です。

面白い企画ですが、それは元ネタが面白い訳で・・・

監督の演出は冴えていますが、アクションに関しては予算使い過ぎなのでは・・・?と余計なお世話を焼いちゃいますw

現在になってようやくその演技がアカデミー会員にも評価されたジェイミー・リー・カーティス。その30年前の秀逸な演技力。そして、大型アクション・コメディという新ジャンルを開拓した、ジェームズ・キャメロンとアーノルド・シュワルツェネッガー。是非一度ご覧になって頂きたい作品です!

あわわっち

Blu-ray いつになったら出るんだろう・・・?

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