この記事では、「ドル箱三部作」の3作目「続・夕陽のガンマン / 地獄の決斗」について解説します。ストーリー的には関連の無い前2作と比較してどんな違いがあるのか?日本でも根強い人気を誇るこの作品。クエンティン・タランティーノも個人的にフィルムを所蔵しているという本作について、有名なテーマ曲も含めて書いていきます。
この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。
もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。
この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。
この映画を観るかどうか迷っている人、観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人 のことも考え、ネタバレしないように配慮しています。
ジャッジタイム (ネタバレなし)
本作における、そのまま見続けるのか、見るのを止めるのかのジャッジタイムですが、
- 上映開始から28分00秒をご提案します
ここまで行けば、役者が出揃って「あっ、こういう話なのね」というのが見えるので「この映画好きだわー」か「やっぱりこういうの無理かも・・・」の判断が付くかと思います。まずは28分間観てみてください。
概要 (ネタバレなし)
ドル箱三部作のトリ
続・夕陽のガンマン (原題: The Good, The Bad and The Ugly)は、1960年代にイタリアで500本以上製作された西部劇映画(通称マカロニ・ウェスタン)の中核をなすドル箱三部作のトリを務める3作目で、1966年に製作された。
※ マカロニ・ウェスタンとドル箱三部作については、以下の記事にまとめてみました。
本作品でも他のドル箱三部作と同様に、主演のクリント・イーストウッドは、無口で粗野な流れ者の役を演じる。果たして、前2作でイーストウッドのトレードマークとなった、同じ形の帽子、くたびれた革のベスト、模様の付いたポンチョ、細身のジーンズという衣裳は登場するのかは本作を観てからのお楽しみ。
三極化
本作、続・夕陽のガンマンでは、クリント・イーストウッド扮するジョー(ごくまれにジョーという名で呼ばれるが、基本的には「名無しの男」扱い)、「夕陽のガンマン」にも出演したリー・ヴァン・クリーフ扮するエンジェル、本シリーズ初登場のイーライ・ウォラック扮するデュコの3人が、主要登場人物として描かれ、劇中を通して三つ巴状態で終始絡み合っていく。この三極化が本作品の特徴だ。
彼ら3人には劇中でそれぞれ、The Good(善人)、The Bad(悪人)、The Ugly(卑劣漢)というテロップが表示される。これが原題の The Good, the Bad and the Ugly の意味だ。
ドル箱三部作は 1, 2, 3作目と作品を重ねるごとに、主役級が 1, 2, 3 人と増えていくんだ。イーストウッドは自分の台詞がどんどん減らされるって不満だったらしいよ。
見どころ (ネタバレなし)
イーライ・ウォラックの小物感
上述の通り、3人の主役級が出てくる訳だが、中でも The Ugly (卑劣漢) を演じているイーライ・ウォラックの比重がかなり高い。そして、陽気で狡猾で、恥も外聞も無く、とにかくしぶとく生き抜くキャラクターとして描かれる。その何とも言えない小物感溢れる演技に、あなたも目を奪われてしまうと思う。ゴッドファーザー Part 3 のドン・アルトベッロ役で見せた”食えない老人”の演技なんて何のその。正にハマり役だと思うので、大いに楽しんで頂きたい。
イーライ・ウォラックが2005年に出した自伝は「The Good, the Bad and Me」ってタイトル!この映画への思い入れが強いことが分かるね
叙事詩と称されるスケールのデカさ
この続・夕陽のガンマンは、前2作と大分趣が異なると思って観た方が良い。そもそも邦題が勝手に「続」と付けているだけであって、「夕陽のガンマン」とは独立した作品なのだから当然と言えば当然だが、一番の違いは、本作はとにかく(無駄に)スケールがデカいこと。本作の時代設定は前2作以前の時間軸に置かれ南北戦争が描かれる。その結果必然的に戦争絡みのシーンが出てくるため、屋外のやたらと凝ったセットが随所で出てくるし、エキストラも大勢登場するので、そういう目で観て欲しい。
南北戦争を下敷きにしたことの意義が正直良く分からなかったけど、素直に楽しめば良いんだと思う???
モリコーネの音楽
本作でも前2作に引き続きオリジナル楽曲を提供しているエンニオ・モリコーネだが、その成熟度は増す一方だ。印象的な口笛によるメロディーや、荒野を馬で走る疾走感、ガンファイトの緊張感。
音による描写が絵と共にスクリーンから溢れ出てくる。絵を音楽が補足するというより、このモリコーネの音楽を聴くために絵の側がしばしその動きを止めて待ってるんじゃないの?的な、このある種の本末転倒感もひっくるめて楽しんでください。
かの有名なテーマ曲「エクスタシー・オブ・ゴールド」が劇中で流れるのを楽しみにして!
その他の情報
筆者の本作に対するおススメ度合いは、 3.0/5.0 です。
減点対象は、
- 全体的に上映時間が長い(完全版178分・国際版162分)。随所で間延び感は否めないです。
- デカいスケールで描くことで、浮き彫りにしたかった主題って何だったんだろう?
- ドル箱三部作お約束の、主人公たちがボコボコに袋叩きに遭うという暴力シーンが、やはり手放しではおススメできません
- The Ugly(卑劣漢)を演じたイーライ・ウォラック目立ち過ぎ?
という観点からこの☆にしました。