話題の記事続編なのに1作目の質を超えた映画5選

【ネタバレなし】グッド・ウィル・ハンティング(あらすじ、意味、名言)

この記事でご紹介する「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」は1997年の青春ドラマ映画。天才的な頭脳を持ちながらも、孤児で幼少期のトラウマを抱えるワルの青年、ウィル・ハンティングが、妻に先立たれた心理学者ショーンとの対話を通して、次第に心を開いていく物語。

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

この映画の脚本はオリジナル脚本で、出演のマット・デイモンとベン・アフレックが書き上げた物。これを”ポートランド三部作”で知られるガス・ヴァン・サントが映画化。ロビン・ウィリアムズの名演技も光り、アカデミー脚本賞、助演男優賞に輝いた。1990年代を代表する青春映画の一つ。

この映画をまだ観ていない方、2回目以降の方、一緒に予習情報を仕入れて、より味わい深くこの映画を鑑賞しませんか?

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

この映画を観続けるか、見限るかを判断するジャッジタイムですが、

  • 上映開始から27分50秒のタイミングをご提案します。
27分50秒

ここまでご覧になると、この映画のテイストが掴めますし、主要登場人物の関係性も見えてきます。そして、主人公が社会や大人をどういう目で見ているかもつかめてくると思います。この先を観るか判断する最短のタイミングだと思います。

概要 (ネタバレなし)

この作品の位置づけ

「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」(原題:Good Will Hunting) は、1997年公開の青春ドラマ映画。天才的な頭脳を持ちながらも、幼少期に受けた虐待によるトラウマから問題行動ばかり起こすウィルが、保護観察を担当した心理学者ショーンと交流する内に、徐々に精神的に成長して行くという物語。

一言で言っちゃうと、それだけの話なのだが、脚本は映画オリジナル脚本であり、出演したマット・デイモンとベン・アフレックが創作・執筆している。そしてこれが、少年から大人になる20歳前後の若者の友情、恋愛、葛藤、そして誰かを信じて身を委ねるまでの逡巡を、これでもか!と生々しく描き出して行く。

監督は、ポートランド三部作で知られるガス・ヴァン・サント。ヴァン・サント監督が、温かな映像と、奇をてらわない手堅い演出で、この情緒豊かな脚本に裏打ちされた俳優陣の確かな演技を、見事に引き出して行く。

あわわっち

「リアリティ・バイツ」と並んで、1990年代を代表する青春映画だと思うんですよね

タイトル ”グッド・ウィル・ハンティング” の意味

この映画のタイトル ”グッド・ウィル・ハンティング” の意味が、日本人の我々には今一つピンと来ないと思う。そこで、英単語を意識しながら解読にチャレンジしたい。

まず、グッド・ウィル(Good Will)というのは、直訳すると ”良い意思” となり、すなわち ”善意” とか ”好意” という意味になる。この映画では、主人公のウィルを取り巻く、無償の善意や、大人の恣意的な善意。近視眼的な好意や、将来を見据えた好意が描かれて行く。そういったニュアンスが含まれているのだと思う。

また、主人公の名前は、ウィル・ハンティング(Will Hunting)という。後述するHuntingとも掛けて、意図的にこの氏名にしたんだと思う。

Huntingで連想するのは、ハンティング(狩り)やヘッド・ハンティングではないだろうか?要は、”探し求めて手に入れる” というニュアンスの単語である。ウィル少年の天才的な頭脳を目当てにしたヘッド・ハンティングが描かれたり、ウィル本人が自己のアイデンティティを追い求めて行ったり、そういうニュアンスが込められているんだと思う。

整理すると、Good + Will + Hunting の3つの単語を、区切るところを変えて単語・熟語を作って行くと、上述のように意味が二重、三重に発生するように、タイトルを付けたと思われる。

芸術的評価

この作品はアカデミー賞7部門にノミネートされ、助演男優賞(ロビン・ウィリアムズ)と脚本賞(マット・デイモン、ベン・アフレック)を受賞した。

この年の第70回アカデミー賞は、最多11部門を獲得した「タイタニック」を軸に展開された(ノミネートは最多14部門)。そこに「恋愛小説家」と「L.A.コンフィデンシャル」と、この「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」が絡み、三つ巴、四つ巴の争いを展開するという激戦の年だった。そんな年にもぎ取ったこの2部門は非常に価値が高い。

商業的成功

この映画の上映時間は127分。極めて標準的な長さである。製作費は1千万ドルで、世界興行収入は2億6千万ドルとい言われている。実に26倍のリターンをもたらしたことになる。

26倍のリターン

絶対額としても大ヒットだし、利益率も高い。いかにこの物語が、シンプルでありながら、世界中で幅広い観客層に共感され、支持を受けたかの証左だと思う。

あらすじ (27分50秒の時点まで)

ボストンのボロ屋で独り暮らしをするウィル・ハンティング(マット・デイモン)は、普段からチャッキー(ベン・アフレック)を含む地元のワル仲間4人組でつるんでいる。しかし、ウィル(マット・デイモン)の正体は天才児で、本は速読が出来るし、高度な学術書でも、読んだそばから内容を暗記できるほどの頭脳を持っている。

この貧乏暮らしのウィルが日銭を稼ぐために選んだバイト先は、MIT (マサチューセッツ工科大学) で、自宅から電車に数十分も揺られて通い、清掃員として働いている。

ある日このMITで、フィールズ賞(=数学のノーベル賞と言われる権威ある賞)受賞実績を誇る高名な数学者ジェラルド・ランボー教授(ステラン・スカルスガルド)が、大学院生にも解くのは難しい数学の証明問題を廊下の黒板に掲示する。

これを見かけたウィルは、知的好奇心に負けてこの問題をコッソリと解いてしまう。

驚いたのはランボー教授だ。自身が学生時代に大変苦労して解いたこの難題は、学生には解けない、もしくは解くのに当分日数がかかると高を括っていたのに、わずか数日間でいつのまにか解法が書き込まれていたからだ。

次週の授業で、数学の天才の正体が判明することを期待したランボー教授以下、MIT の数学科関係者。しかし、大教室で教員や学生たちが互いの顔を見合わせる中、その正解者は名乗り出ない。

それもそのはず、その間ウィル(マット・デイモン)は、仲間と一緒に別の不良仲間と乱闘騒ぎを起こし、警察に拘留されていたのだ。

これを無言の挑戦と受け止めたランボー教授は、今度は教授陣が解くのに2年掛った超難問を黒板に掲示する。

ところが、仮釈放されたウィルはこの問題もあっさりと解き、そして今度は、黒板に解法を書き込んでいる姿をランボー教授に目撃されてしまう。しかし、追ってくる教授を巻き、その場から足早に退散するウィル。

この一件でMITの清掃員の職を辞することにしたウィルは、チャッキー(ベン・アフレック)たちいつもの4人組で、ハーバード大の学生のたまり場になっているバーに繰り出す。

バーに着くと早速チャッキーが、ハーバードの学生のふりをして女学生のナンパに取り掛かる。しかし、チャッキーを不良と見抜いた、長髪をなびかせた金持ちの鼻持ちならないハーバードの男子学生クラークが、知識量の差でチャッキーに恥をかかせようとする。

この一連の様子を脇で見守っていたウィルは、この会話に割って入り、逆にクラークに対して圧倒的な知識量を披露した上で「人の言葉の受け売りじゃなくて、自分の頭で考えろ!」と返り討ちにし、かつ「文句があるなら表に出ろ」と最後通牒を突き付ける。こうして、文武でクラークを圧倒して引き下がらせる。

この胸のすくような応対を目の当たりにした女学生スカイラー(ミニー・ドライヴァー)は、ウィルに一目惚れし、バーからの帰り際に、ウィルに自室の電話番号をそっと渡たす。

ウィルの傷害罪、公務執行妨害の公判が始まると、弁護士を雇う金もコネもないウィルは、自身の憲法・法律知識を総動員し、詭弁を用いて自己弁護を試みるが、初犯でないこと、反省の色が見えないこと、そして、以前も同様の手口で公判を混乱させたことから、判事は保釈請求を棄却し、5万ドルという高額の保釈金を設定してしまう。

そこに現れたのがランボー教授である。教授は自身の名声を使って判事に直接交渉をし、監督付き保釈の同意を取り付けたのだ。

その ”監督” の内訳は2つで、1つは、週1回ランボー教授と数学の問題を解くこと、もう1つは、週1回心理学者のセラピーを受けること。ランボー教授は、ウィルの数学の才能に惚れ込み、ウィルを手なずけようとしてきたのだ・・・

保釈のためにこの条件を受け入れるウィルであったが、果たしてウィルとランボー教授の関係はこのまま上手く行くのだろうか・・・?ウィルは、素直にセラピーを受けるのだろうか・・・?

見どころ (ネタバレなし)

この作品の見どころを3つの観点に絞って述べてみたいと思います。どれもネタバレなしで書いておきます。これからこの映画を観る人がより味わい深くこの作品を鑑賞するお手伝いが出来ると嬉しいです。

各俳優(キャスト)の演技

まずお伝えしたいのは、各俳優さんの手堅い演技です。素晴らしいです。特に、各キャラクターが、この映画のどのテーマを引き受けているかが、割とハッキリしている作品なので、そこを予習しておきましょう。

マット・デイモン – ウィル・ハンティング

天才的な頭脳を持ちながら、実の親、里親から受けた虐待からトラウマを抱え、地元のワル仲間とつるんで暮らす無軌道な若者を熱演しています。

この映画の”葛藤”、”自分探し”を最も大きなウェートで引き受けるのが、主人公のウィルです。

ベン・アフレック – チャッキー・サリヴァン

ウィル少年の相棒的地元のワルを演じるのがベン・アフレック。本人たちも大親友なこともあって、息の合った演技を見せてくれます。「あらすじ」を書いた冒頭28分間以降も、存在感を増して行くので目が離せません。

この映画の”友情”の部分を一手に引き受けていく感じです!単に今が楽しければそれで良い!っていう安っぽい近視眼的な友情とは一線を画します・・・

あわわっち

このチャッキーを見ていると、”仲間”ってイイよなって本当に思います。

スカイラー – ミニー・ドライヴァー

ミニー・ドライヴァーが、前出演作「スリーパーズ」(1996年) に引き続き出色の演技を見せてくれます。

この映画の”恋愛”の部分を一手に引き受けるのが、このミニー・ドライヴァー扮するスカイラーです。もちろん、愛しているからの”戸惑い”も出てきます・・・

男ばっかりが出て来るこの映画において、”女性の目線”が加わることで、見過ごされそうな物語のメリハリが強調されるというご利益もあるように思います。

あわわっち

ハンカチの準備を・・・

ステラン・スカルスガルド – ジョン・ランボー教授

独善的で傲慢な奴の役をやらせたら、この人の右に出る人は居ないんじゃないかっていうぐらいのハマり役です。

大人目線で考える、青年、少年に対する正しい”好意(Good Will)”の部分を、この人が一手に引き受けて行きます。

ロビン・ウィリアムズ – ショーン・マグワイヤ

「あらすじ」を書いた冒頭30分には、この映画で一番のギャラを受け取ったと思しき、ロビン・ウィリアムズ扮するショーン・マグワイヤが登場しないというのが、この映画の凄いところなんです。この物語の”交流”、”信頼”のパートを受け持つのが、このロビン・ウィリアムズです。

もぉー、アカデミー助演男優賞の演技は凄いです!野暮なので皆まで申しません。ご自身の目でお確かめください!

あわわっち

ハンカチをもう1枚ご準備ください・・・

キャラクター間の化学反応

この映画の味わい深いところは、上述5人の主要キャラクターの個々の演技が素晴らしいだけでなく、それぞれのキャラクターが絡み合うことで、描かれる心情がより鮮明に浮き彫りになって行く点です。この増していく厚みが凄いです!

しかも、それらは、演者の個人的な力技で顕在化するというより、脚本に元々しっかりと埋め込まれていた時限爆弾が、意図したタイミングで爆発するという印象を受けます。

例えば、天才ウィルの未来を守るための方針について、ランボー教授(ステラン・スカルスガルド)とショーン(ロビン・ウィリアムズ)の意見が対立します。

これが、才能豊かなウィルを巡る一種の三角関係のようにも見えてくるし、学生時代からの旧友である二人の愛憎関係の代理戦争のようにも見えてきます。こうしたウィル以外のサイドストーリーの温度感もさりげなく上がって行きます。

また、ウィルは誰にも本当の意味では心を開こうとしません。それは、相棒のチャッキー(ベン・アフレック)に対しても、恋人のスカイラー(ミニー・ドライヴァー)に対しても同様です。

彼にとって大切な存在であるこの2人に対しても、心の奥底で抱えている思いを打ち明けられないウィルの内面が、この3人が絡み合う構図を準備することで、その葛藤がより根深いモノとして浮き彫りになって行きます。

2つだけ例を先出ししてしまいましたが、個々のキャラクター作りも強固な上に、鮮明な人間関係の描写も加わり、心の機微が浮かび上がる構図が巧みに機能していきます!

あわわっち

大学の戯曲の課題で、この初期プロットを書いたマット・デイモンやばい!

名言

この映画には数々の名言が出てきます。色々ご紹介したいのですが、ネタバレになってしまうので、グッと堪えます。

一つだけ、”You don’t know about real loss, ‘cause it only occurs when you’ve loved something more than you love yourself.” を紹介させてください。

「君は本当の喪失感というものを知らない。それは、自分自身を愛する以上に何かを愛した時に初めて起こることだから(君は、まだそんなにも何かを愛したことがないだろう?)」

というニュアンスです。物語は、何か(誰か)を愛することの本質に迫ってきます。楽しみにしていてください!

まとめ

いかがでしたか?

初見からこの名作を存分に味わっていただきたくて、普段以上に盛り込んだ予習情報になっちゃいました。でも、この作品の核心の部分、本当の奥深さは全然ネタバレしてませんので、お許しください。

この作品に対する☆評価ですが、

総合的おススメ度 4.5 イチオシです!!
個人的推し 4.5 同上
企画 4.5 戯曲的な人間関係が美しい
監督 4.0 過不足ない演出が好感度高い!
脚本 4.5 実は結構テンポが良いんですよね
演技 4.5 全員素晴らしい!
効果 4.0 色味が好き!
こんな感じの☆にさせて貰いました

このような☆の評価にさせて貰いました。

上記の「見どころ」にも書きましたが、ウィルという主人公を軸に、主要キャラクターが相互に絡み合うことで、この映画の主題は鮮明に浮かび上がって行きます。是非是非、ハンカチかティッシュを準備してご覧になってみてください!

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