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【あらすじ・ネタバレなし】エイリアン2(リプリー・バスケス・女優が渋い)

この記事では、「ターミネーター」で一躍名を上げたジェームズ・キャメロンが、その直後に撮ったキャリア初期作品である「エイリアン2」について解説します。

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

強い女性を描き上げることに定評のあるキャメロン監督が、この時期からその手腕を発揮していたのか?オリジナル版と完全版の違いなどを中心に掘り下げて行きます。是非この作品の世界に足を踏み入れてみてください!

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

本作品における、観続けるか、中止するかを判断するジャッジタイムは、

  • 上映開始から44分10秒のタイミングをご提案します
44分10秒

本作品では、大分長いジャッジタイムを設定させてもらいました。というのも、正直”振り”が長い脚本なので、ここまでご覧にならないと、本当の意味で本作品の雰囲気はつかめないと思うんです。

この時間までご覧になって、「好き → 観続ける」「嫌い → 視聴中止」をご判断ください!

概要 (ネタバレなし)

本作品の位置づけ

「エイリアン2」(原題: Aliens) は、1986年に公開されたSFアクション映画。ジェームズ・キャメロンが、原案 (デヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒルと共同)、脚本、監督を担当している。製作は、当時ジェームズ・キャメロンの妻であったゲイル・アン・ハード。

製作総指揮は、ゴードン・キャロル、デヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒルが務めている。前作「エイリアン」の製作も務めていたウォルター・ヒルが、B級映画であった「ターミネーター」の大ヒットに感銘を受け、続編である本作の監督をジェームズ・キャメロンに依頼した

既に述べたように、ジェームズ・キャメロンは製作総指揮も兼務する2人(デヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル)と原案作りから本作に関わり、これを脚本に書き上げ、監督まで務めた。

前作「エイリアン」(原題:Alien) は、なかなか姿を現さないたった一匹の”Alien”に、乗組員が端から殺されていくSFホラー作品だったのに対し、本作「エイリアン2」(原題:Aliens) は、複数のエイリアンと武装した兵士達とが死闘を繰り広げるSFアクション作品となっている。当時のキャッチコピーは「This time it’s war. (今度は戦争だ)」だった。

Skynet と呼ばれる人工知能システムによって制御されるサイボーグ軍と、武装蜂起した人類軍とが闘う世界を「ターミネーター」で創り出したジェームズ・キャメロンに、本作の舵取りが委ねられたのは、ある意味必然と言えるかもしれない。

あわわっち

本作品で海兵隊員が乗る飛行機の形状が、Skynet の飛行機とソックリなんだよねwww

商業面

製作費は18.5百万ドルで、世界興行収入が131.1百万ドルなので、7倍以上のリターンをもたらした大ヒット作である。ウォルター・ヒルが目論んだ通りの結果になったと言えるだろう。

7倍以上のリターン!

芸術的評価

アカデミー視覚効果賞、音響効果編集賞を受賞している。思い出して欲しいのは本作品は1980年代中盤に製作されたということ。CG技術は1990年代と比較しても甚だ未発達で、全てのシーンが実写で撮影されている。詳細は後述するが、そんな制約の中で、これだけの異星の臨場感を出したことは想像力の賜物以外何物でも無いと言える。

あわわっち

予算を与えても、与えなくても、CGがあっても無くても、結局良い仕事をするジェームズ・キャメロンさん!ってことでOK?

あらすじ (44分10秒の時点まで)

ノストロモ号でのエイリアンとの死闘を生き延びた航海士のエレン・リプリー(シガニー・ウィーバー)と猫のジョーンズは、避難船の中で冷凍睡眠(ハイパースリープ)の状態で宇宙を漂って来たが、幸運にも別の宇宙船に発見された。

宇宙ステーションの病室で目覚めるリプリー。会社の同僚バーク(ポール・ライザー)が病室に訪ねてきて、リプリーは57年間も冷凍睡眠していたことを知らされる。

その後リプリーは、会社での尋問会議に呼び出され、(前作で)輸送船を爆破した理由を尋ねられる。エイリアンの存在、仲間の全滅、懸命に説明するリプリーだが、証拠が無いと全く信用して貰えない。

それどころか、(前作の)惑星(本作ではLV-426と呼ばれる)には20年前から地球人が入植し、その数は既に70家族にも上るという。

航海士への復帰が叶わず、倉庫で働くリプリー。そんな彼女のもとへ、バークが海兵隊中尉ゴーマン(ウィリアム・ホープ)を伴いやって来る。何でもLV-426の入植者の消息が途絶えた。海兵隊を派遣して調査するので同行して欲しいと言う。

一旦はこれを断るリプリーだったが、エイリアンに腹を食い破られる悪夢にうなされる毎日と決別するためにこの申し出を受けることにする。ただし条件は、航海士への復帰とエイリアンを見つけても捕獲するのではなく殺すこと。バークがこれに同意したので作戦に加わることになる。

LV-426へと向かう海兵隊員たち。ゴーマン中尉の命令にもまともに耳を貸さない彼らは、リプリーからのエイリアンについての警告にも全く関心を寄せない。

LV-426に着き、調査を進める海兵隊員たち。設備に大きな破損は見られないが、死体も含めて入植者は一人も確認できない。そして、施設の床には、エイリアンの酸性の血液で溶けたと思しき大きな穴も見つかる。

更に医療室には、大きなガラスの水槽で培養されている2体のエイリアン。しかも、まだ生きている。一様に驚く彼らだが、まだ本当の恐ろしさを分かっていない。

そんな時に、もう半分の部隊の所在とは全く異なる方向から、1つの生命体が医療室に近付いていることが”動体探知機”で分かる。近づいてくるのは何者なのか?

そして、この後彼らにはどんな出来事が待ち受けているのだろうか?

完全版との差分

オリジナル版と完全版の違いについて、全てを事細かに文章で説明することは非現実的なので、ジャッジタイムまでの範囲に限定し、ポイントを絞ってリストアップしてみます。

  • 両者の上映時間の違いは、
    • オリジナル版 – 137分
    • 完全版 – 154分

と、完全版が17分程長くなっています。オリジナル版は、ストーリーを最低限成立させるために必要なところを残して、あとは削れるところは削ったという印象ですかね、それでも137分ですけど。完全版の方が、ジックリと意味合いが伝わって来るよねというシーンが追加されていると思います。

完全版で追加されている主なシーケンス

  1. 漂流から回収された後、退院したリプリーが、自身の娘の捜索をバークに依頼するくだり。そしてその真相は、娘は2年前に寿命で他界しており。当然リプリーは57年間の空白の重さを思い、悲しむ。このサイドストーリーは、リプリーのLV-426への派遣の決断に大きな影響を与えていると思われ。この有無により物語の印象が大きく変わると思います。
  2. 会社での尋問会議で、リプリーの航海士としての免許の停止と、刑事罰は免除するが精神科への通院の義務付けを明示的に伝えるくだり。この明示的なやりとりが無くてもオリジナル版では、リプリーの自宅でのバークとの会話から、上記2点を窺い知ることができる。ただし、オリジナル版ではリプリーが自宅に軟禁されているという印象は持たないので、彼女の意思決定の印象は大分変ってきます。
  3. LV-426においてある入植者の家族が、不時着した宇宙船を発見する。会社からの報酬に目がくらんだ父親は、子供たちをその場に残して宇宙船の中に入って行ってしまう。すると案の定(?)父親はエイリアンに取り付かれてしまう。この一連のくだりは、会社がエイリアン発見に依然として高い意欲を持っていることを表しており、少なくとも物語の序盤の印象を大分変えることになると思います。

見どころ (ネタバレなし)

シガニー・ウィーバーの演技

前作「エイリアン」と監督・脚本が替わってコンセプトが変った本作。そんな趣の大きな変化の中で、最も不変な要素が主演であり続けたシガニー・ウィーバーだ。

リプリーというキャラクターには、前作で負ったトラウマがその精神に重くのしかかっており、シガニー・ウィーバーのその演技と、悪夢というフラッシュバック技法で、リプリーの苦悩がシッカリと観る我々に伝えて来てくれますね。このお陰で我々は、前作との断絶や矛盾を感じることなく、今回のストーリーに入り込んでいくことが出来ます。

あわわっち

あんな恐怖体験したらそりゃうなされますわと素直に思えました

また、オリジナル版と完全版で、その描き方の厚みに差はあるものの、57年間の不在の間にもう娘は居なくなってしまっていたというサイドストーリーが、リプリーが未練なく再度LV-426へと向かう理由になっている訳で、この辺りのシナリオの詰め方と、それに呼応するウィーバーの演技とが、物語の説得力を強化していると思います。

あわわっち

「あんなにうなされてたのにどうして?」の回答の1つだと思うんですよね

自宅で(半)軟禁生活を送っていたところに、LV-426への同行条件をクリアして航海士復帰を目指す。強い!前向き!キャメロン監督が思い描く強い女性像を具現化するにあたって、シガニー・ウィーバーはもってこいのパートナーだったと思うんですよね。だって、リプリーのこの一連の心境の変化に、大抵の視聴者は違和感を覚えないと思いますもん。

あわわっち

ジャッジタイム以降にどんな演技を見せるか?見どころはもっともっと出てきます!お楽しみに!!

あっつ

表情やセリフ回しだけじゃなくて、仕草や手や指の動きまで注目してくださいね!

作りもの感が無い

映像を観ていて作りもの感が全然しないんですよね(強いて言えば、スカイネットに似た飛行機が、LV-426の上空を飛行するシーンぐらいですかね・笑)。

まずセットのリアリティが高いんですよね。宇宙船内の寝室、食堂、座席、コックピット。本物感を凄く感じます。これは単にセットが精巧に作られていることもさることながら、照明、カメラワーク、編集技術に拠るところも大きいんだと想像します。

作業スペースは広く機能的で、そして実際に日々使われている躍動感を感じます。飛行機の座席は狭く薄暗く、これから待ち受けている任務への緊張感を否が応でも高めてくれます。見ている我々もその世界にシッカリと巻き込まれて、一緒にドキドキできるのがとても楽しいです。

あっつ

全てCGではないという。アカデミー視覚効果賞を受賞したのも頷けます!

ジェニット・ゴールドスタインの隠れた人気

本作で、女海兵隊員に扮するジェニット・ゴールドスタインが、凄くカッコイイと実はあちこちで評判ですよね。髪も短く、筋骨隆々で、男勝りの言動。ハイパースリープから目覚めた直後から懸垂もしちゃう。銃器も重火器をあてがわれており、隊の先頭を切って敵地に潜入して行きます。

同じ力強い女性の演技でも、シガニー・ウィーバー扮するリプリーの凛とした強さとはまた一味違って、ゴールドスタインが肉体派の強さを示してくれることで、この作品に厚みが加わってきますね。

彼女は元々重量挙げの選手だったそうです。本作が映画デビュー。そして、この後ジェームズ・キャメロン監督に「ターミネーター2」「タイタニック」で起用されていきますね。

あわわっち

T2では、映画序盤に出てくるジョン・コナーの里親の役ですね

アホキャラ2人

マイケル・ビーンビル・パクストンの2人が、海兵隊の中のアホキャラ2人を演じているのが非常に楽しいです!意図的にキャラが被るような役作りをして、隊長のゴーマン中尉に名前を呼び間違えられた演出もあります。是非お楽しみに!

マイケル・ビーンは、キャメロン監督の前作「ターミネーター」でカイル・リース役を演じてたのに何で?と思っていたら、今作の出演は、前任者がドラックトラブルで出演できなくなったことによる、土壇場の代役だったんですってね。

そして、我らがビル・パクストン!ジェームズ・キャメロン映画のアホ役には外せないですね!(良かったらトゥルー・ライズも参照してください)

ジェームズ・キャメロンは、ビル・パクストンのバンド Martini Reachのミュージック・ビデオの監督をしたこともあるんだとか。仲が良いんですね!

いずれにせよ、海兵隊員の一人一人のこういった細かな人物描写が、後の戦闘シーンの厚みに繋がっていくので、この辺りも非常に重要な布石だと思います。

出演:Sigourney Weaver, 監督:ジェームズ・キャメロン
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まとめ

本作の☆評価ですが、

総合的おススメ度 4.0このシリーズ特有のドキドキ感が健在です!
個人的推し 4.5コンパクトなオリジナル版を推します!
企画 4.5SFホラーからSFアクションへの転換は成功だと思います!
監督 3.5もう少しキャラを整理しても良かったかも・・・
脚本 4.0前作も巻き込んだ伏線が効いてて面白いです!
演技 4.0Good
効果 4.5素晴らしいです!
こんな☆にさせて貰いました

面白いです!1作目より面白いかも!というのが非常に重要なポイントだと思います!!

少なくとも、監督が変わったのに、1作目との整合性がキッチリ取れていて、とても上手に着陸してくれてありがとう!という印象です!

アカデミー視覚効果賞、音響効果編集賞を受賞しているのはだてじゃないです!スリリングな映像、没入感、本当に楽しめます!

あわわっち

ジェームズ・キャメロンはこのあと「アビス」を挟んで「ターミネーター2」に向かっていくんですよね

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