映画の主題歌は、その映画作品のテイスト、コンセプト、ブランド・イメージを増幅させる非常に重要なキー・アイテムですよね。1970年代だと「スター・ウォーズ」、「イージー・ライダー」。1980年代だと「インディ・ジョーンズ」、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」と、時代を彩る名作映画が、その印象的な主題歌に支えられてきました。
ところが、1990年代に入ると、あまりにも主題歌が印象的過ぎて、その歌がその映画の挿入歌なんじゃなくて、もはや映画本体の方がその主題歌のMusic Video (Promotion Video) なんちゃうか?って映画 – 主題歌コンボが立て続けに出現しました。
この記事では、そんな立場逆転(?)映画3選をご紹介します(※この記事はネタバレありなのでご注意を!)
ボディガード – The Bodyguard
1992年公開のサスペンス映画である「ボディガード」(原題:The Bodyguard) は、ホイットニー・ヒューストン扮する大人気女性歌手が、脅迫者から命を狙われたことから、元シークレット・サービスのプロのボディガード(ケビン・コスナー)を雇い、2人は当初反発し合っていたものの、徐々に惹かれ合って恋仲になり、でも警備上私情は禁物ってことになって距離を置いたけど、最後はケビン・コスナー扮するボディガードがキッチリ命懸けで暗殺者から歌姫を守るって話。
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そして、2人はそのままくっ付くのかと思いきや、それぞれのプロフェッショナルの道へと戻って行くことを決意する。
それでもって、「はい、さようなら」となるかと思わせてからのぉ~、ホイットニー・ヒューストンがケビン・コスナーに駆け寄って、熱い抱擁とキスをして別れるという至宝のクライマックスが準備されている。
こうして、画面上ではそれぞれのプロの生活に戻った様子を描きながら、ホイットニー・ヒューストンが切なく歌い上げる「I will always love you (= 私はこれからもあなたをずっと愛している)」がカブせて流されるという構成。コレ、どっからどう見ても Music Video (Promotion Video) やろ!って話。
しかもこの録音、ホイットニー・ヒューストンの本物のバックバンドを呼んで、無編集・無修正でライブ録音したという魂のこもった歌唱。まだこの Music Video 、じゃなくてこの映画をご覧になったことが無い方は、是非一度ご視聴ください(オチ言っちゃったけど)。
タイタニック – Titanic
1997年公開の恋愛映画である「タイタニック」(原題:Titanic) は、かの有名な豪華客船タイタニックの処女航海に乗り合わせた、売れない画家ジャック(レオナルド・ディカプリオ)と没落した名家の令嬢ローズ(ケイト・ウィンスレット)とが、身分の違いを乗り越えて運命的な恋愛をするという話。
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二人は、全てを投げ捨てて将来を共にする決意をするが、史実通りにタイタニックは沈没し、ジャックは極寒の海上で、自らの命と引き換えにローズを守る。そして、ローズはジャックへの想いを胸に秘めながら、ジャックの分まで人生を懸命に生き抜き、生きる喜びをこの上なく体現するチャーミングな老女になっていく。
このエンディングの一連の流れでバックに流れる主題歌が、セリーヌ・ディオンが力強く歌い上げる「My Heart will go on (私のハートは続いて行く)」だ。コレ、どっからどう見ても Music Video (Promotion Video) やろ!って話(本日2回目)。
ウルトラ大ヒットした(世界で22億ドル売り上げた!)この超大作で、上映時間は194分もあるのに、極論すれば、タイタニック号の先端でジャックがローズをバックハグするシーンと、この主題歌を聴けば、何となくこの映画を観た気になれるなんて身も蓋も無い揶揄もある (笑)。それぐらい、この映画におけるこの主題歌の比重は大きい。
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ひょっこり空き時間が200分ぐらい出来ちゃった人は、是非この映画をご覧になってください(オチ言っちゃったけど)。
アルマゲドン – Armageddon
1998年公開のSFアクション映画である「アルマゲドン」(原題:Armageddon) は、突如として地球衝突軌道にテキサス州と同じ大きさの小惑星が出現する。何とかその小惑星を、衝突軌道から逸らさないと地球上の全生物が死滅しちゃうぞってことで、石油採掘のプロたちが急造宇宙飛行士になって、その小惑星にスペースシャトルで飛んでいき、小惑星表面に得意のスキルで深い穴を掘り、核爆弾を埋め込んで爆破するという奇想天外な話。
白羽の矢が立つ業界ナンバーワンの石油掘削団のリーダに扮するのがブルース・ウィリス。その美人一人娘がリヴ・タイラー。そして、その娘の恋人が掘削団の若手ベン・アフレックという人間関係が絡んでくる。この男二人を含めた凄腕の掘削団は、心配するリヴ・タイラーを地球に残してスペースシャトルに颯爽と乗り込む(カッコイイ!)。
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でもって、いざ核爆弾を起爆するって段になって、トラブルで遠隔操作は不能!誰か一人が犠牲になってその場で起爆ボタンを押さなあかんという事態が発生する(おいおいおい!)。公平なクジ引きでその英雄的犠牲者はベン・アフレックに決まるが、土壇場でブルース・ウィリスが身代わりになり、ベン・アフレックに「お前は自慢の娘婿だ」とカッコつける(渋い!)。
残された僅かな時間の中で、ブルース・ウィリスは地球に置いてきた愛娘リヴ・タイラーにビデオ通話で別れを告げるが、ブツっと通話が途絶えてサヨウナラ(辛い…)。
こうして地球と人類は絶滅の危機を脱し、新たな夜明けを迎える。生きることの意義に、そして犠牲になった勇者たちに思いを馳せながら、リヴ・タイラーとベン・アフレックは結婚式を挙げる。ここで流れてくるのが Aerosmith が熱く奏でる「I don’t want to miss a thing (=何一つ見逃したくない)」である。
生き残った者たちは、その責任として、全ての ”生” の一瞬、一瞬を噛み締めて生きるべし!と迫って来る。コレ、どっからどう見ても Music Video (Promotion Video) やろ!って話(本日3回目)。
マイケル・ベイ監督の作り出すアクション・シーンが、様々なツッコミどころ隠蔽しながら駆け抜ける150分。この超大作を是非一度はご覧になってみてください(オチ言っちゃったけど)。
まとめ
という訳で、1990年代には、映画の主題歌というより映画本体が主題歌のMusic Video ちゃうか?って目を疑う(耳を疑う)作品が散見された。
これらの作品の共通点は、
- 恋愛絡みでアクションが派手な映画である
- 自己犠牲的なヒーローイズムがある
- 長い上映時間のオチに主題歌がカブさってくる
- 歌詞の内容とストーリーがリンク
- そして、その人を永遠に想い続ける余韻を残す
となる。
「ボディガード」「タイタニック」「アルマゲドン」。
初見の人は是非観てみてください!(オチ言っちゃったけど)。既に観たことある人は、今一度どうぞ!
断っておきますが、3作品とも大好きな映画です!