この記事では、レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットが初共演を果たした「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の解説をします。クエンティン・タランティーノの指揮のもと、ブラピがどんな演技をしてアカデミー賞に輝いたのか、レオ様とのケミストリーはどうだったのかを語ってみたいと思います。
この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。
もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。
この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴、あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。
この映画を観るかどうか迷っている人、観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人 のことも考え、ネタバレしないように配慮しています。
1969年に実際に起きたシャロン・テート殺害事件や、マカロニ・ウェスタンに出演するアメリカ人俳優事情など、当時のリアルを下敷きにしたタランティーノ・ワールドの魅力をお伝えできればと思います。是非この作品の世界に足を踏み入れてみてください!
ジャッジタイム (ネタバレなし)
本作における、観続けるか、中止するかを判断するジャッジタイムは、
- 上映開始から21分00秒のタイミングをご提案します。
161分の映画の21分ですので、まだまだ先は長いですが、ここまでご覧になると、この映画の雰囲気、色、そして主人公たちの置かれた状況が飲み込めるので、観続けるか中止するのかの判断が付くかと思います。
概要 (ネタバレなし)
この映画の位置づけ
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は、2019年に公開されたスリラー映画。(2023年3月現在)クエンティン・タランティーノ最新作である。
スリラー映画とは言っても、他に適切なカテゴリーが無いからそう言われてるんであって、全般的にタランティーノ作品特有の、ストーリーの本筋とは関係ない部分も異常に細かく描写される紆余曲折を経ながら、独特な雰囲気でシナリオが進行して行く作品。
クエンティン・タランティーノがいつもの脚本と監督に加え、(他2人と共同とは言え)製作も担当している。1969年に「チャールズ・マンソン・ファミリー」と呼ばれるカルト集団が起こした、女優シャロン・テート殺害事件を下敷きにしながら、ハリウッドの映画界の内情を描いて行く。上映時間は161分です。
ブラッド・ピットに俳優としてキャリア初のオスカー(アカデミー助演男優賞)をもたらした(プロデューサーとしては、「ディパーテッド」で作品賞を受賞済み)。
製作費9千万ドルに対して、世界興行収入が3億7千4百万ドルと、4倍以上のリターンをもたらしている。流石利益率の高いクエンティン・タランティーノである!
あらすじ (21分00秒まで)
かつては「賞金稼ぎの掟」という西部劇シリーズにジェイク・ケイヒル役で主演していたリック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)。演技とは言えガン捌きも見事で、このドラマは毎週木曜日の夜ゴールデンタイムにNBC系列で放映されていた。
当時はテレビ・インタビューを受ける機会もあり、スタント・ダブル(=スタントマン)のクリフ・ブース(ブラッド・ピット)を従えて取材に応じるようなこともあった。
キャリアのピンチを迎えているリック(レオナルド・ディカプリオ)は、クリフ(ブラッド・ピット)の運転で街のレストランへと出かける。単独で出かけないのは、酒に溺れ飲酒運転で事故を起こし、免許を取り消されたからだ。
レストランでは、待ち合わせ相手の映画プロデューサー、マービン・シュワーズ(アル・パチーノ)と会談をする。
マービンは、もともとリックがお気に入りの俳優である様子。リック(レオナルド・ディカプリオ)に対して、現在のようにドラマで単発出演の悪役を続けるのは、キャリアがジリ貧になるだけだと、事細かに説明する。
そして、ブランドイメージが回復不能なぐらい傷つく前に、マカロニ・ウェスタンに出演しないか?とオファーする。
レストランを後にしたリック。マービンの指摘は全て的を射ていて、一切の反駁が出来なかった。加えてマカロニ・ウェスタンを下に見ていたこともあり、いよいよ自分のキャリアも終わりかと泣き言を言う。
人目も憚らず泣こうとするリック(レオナルド・ディカプリオ)を車に押し込み、急ぎその場を走り去るクリフ(ブラッド・ピット)。車中でも、クリフはリックを必死に励ます。
途中、ヒッピーの中でも異彩を放つ集団とすれ違ったりしながらも、リックの自宅に戻る男2人。
丁度同じタイミングで帰宅した隣家の住人が、時代の寵児ロマン・ポランスキーであることを知ったリックは、この事実に落ち込んだ気持ちが一気に回復する。
翌朝の待ち合わせの段取りを確認し、クリフ(ブラッド・ピット)は、リックの車ではなくその隣に駐車してあったボロボロの自分の車に乗り込み、今度は誰に遠慮することもなく、スタント仕込みの荒い運転で家路を急ぐ。
キャリアのピンチに直面するリックとクリフ。二人の生活、人生にこの後どんなことが起きて行くのか・・・?
見どころ (ネタバレなし)
レオ様とブラピのケミストリー
「ジャンゴ 繋がれざる者」でクエンティン・タランティーノと一緒に仕事をしていたレオナルド・ディカプリオ。一方で「イングロリアス・バスターズ」でタランティーノとタッグを組んでいたブラッド・ピット。2人はこの映画が初共演することになりました。そのケミストリーをまずは大いに楽しんでください!
ちなみに、ブラッド・ピットにキャリア発のオスカーをもたらしたのは、俳優としてはではなく、プロデューサーとして受賞したアカデミー賞作品賞で、対象作品は「ディパーテッド」でした。そして、何と!この映画に主演してたのがレオナルド・ディカプリオですね。
そして、ブラピは、この「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で、今度は俳優としてアカデミー助演男優賞に輝きます。この映画の主人公はあくまでもリック・ダルトン役のレオナルド・ディカプリオ。ブラッド・ピットは助演俳優としても、劇中のスタント・ダブルとしてもレオ様(リック)をサポートして行きます。
特に、独特の間から感じさせる自信と余裕。ちょっとした表情やさりげない仕草で見せる微妙なニュアンス。そして、機会はそんなに多くないですが、タランティーノ特有の台詞まわしにもキッチリ合わせる喋り口調。物語が求める役割を完璧にこなしていると言えるんじゃないでしょうか?
脚本が良いのか演技が良いのか、多分両方なんでしょうが、割と物静かな性格なのに、強く印象に残る大変魅力的な人物像です。この映画の一番の見どころだと思います。本当に楽しみにしていてください!
この結果から言えることは、ブラピにとってレオ様は、幸運のラッキーボーイだってことかな?
一方のレオナルド・ディカプリオは、自信喪失気味で、気分の浮き沈みが激しく、不安定なキャラクターを見事に演じ切ってきます。ブラッド・ピット扮するクリフとレオナルド・ディカプリオ扮するリックが映し出す静と動の構図が、この作品における2人の一番のケミストリーだと思います。
レオ様扮するリックに妙に感情移入しちゃうんですよね・・・
マーゴット・ロビーが眩しい
本作は、実際に起きた”女優シャロン・テート殺害事件”を下敷きにしているのは既に述べた通りです。そのシャロン・テートに扮するのがマーゴット・ロビーです。
彼女の身に劇中でどんなことが起きて行くのかは、もちろんここでは述べません。
ここで言いたいのは、時代の寵児ロマン・ポランスキーが連れている美人(←もちろん、こんな”トロフィー・ワイフ”的な表現が時代の価値観に合わないことは認識した上で敢えて書いております・・・)がマーゴット・ロビーなので、その眩しいほどの美しさのお陰で、この演出に説得力が出るのは事実な訳で・・・
もちろん物語が進んで行く中で、その外見的な美しさだけではなく、シャロン・テートというキャラクターの内面も掘り下げられて行きます。何せ「シャロン・テート殺害事件」を下敷きにした作品なので、マーゴット・ロビーが描き出すシャロン・テート像は要チェックです!
是非ご自身の目でご覧になって確認してみてください!
脇を固める役者陣
アル・パチーノ、カート・ラッセル、ダコタ・ファニング、マイケル・マドセン等、タランティーノ作品常連の人も、そうでない人も、脇を固めている役者陣が豪華です!
特に、あらすじで紹介したマービン・シュワーズ役のアル・パチーノは、流石の役作りって感じで存在感、説得力が凄いです!あらすじにも書きましたが、このストーリーの火付け役です。
アル・パチーノが、口調は穏やかだけど一筋縄では行かない映画プロデューサーを怪演することで、ディカプリオ扮するリックの”動”に真実味をもたらします。楽しみにしていてください!
常連カート・ラッセルもちゃんと出てきますよ!
我々父子の大のお気に入り、カート・ラッセルが出て来て嬉しいです!しかもいつもの感じだし。タランティーノ作品には不可欠ですw
あとダコタ・ファニングが、結構な怪演をするので要チェックです!
タランティーノ本人の出演
クエンティン・タランティーノ自身も、いつもの劇中アイテムに絡めて、あるシーケンスに出てきます。ただし、声だけの出演ですから、集中して探してください!
あの癖のある演技が、結構癖になるんですよね・・・w
でも今回は声だけか・・・
その他の情報
この作品に対する☆評価ですが、
総合的おススメ度 | 3.5/5.0 | 途中ちょっとダルさを感じるかも・・・ |
個人的推し | 4.0/5.0 | 何にフォーカスして楽しんで良いのかちょっと??? |
企画 | 3.5/5.0 | テーマが判り辛い |
監督 | 4.0/5.0 | 要所、要所の緊張感は流石! |
脚本 | 3.5/5.0 | 企画と同様、ちょっとフォーカスがぼやけ気味? |
演技 | 4.5/5.0 | ワガママ俳優役レオ様の演技が光る! |
効果 | 4.5/5.0 | 劇中劇へのこだわりが半端じゃない! |
- 全般的に161分という尺が、ちょっと長いかなという印象です。
- 前作「ヘイトフル・エイト」が、「西部劇」と「密室ミステリー」の掛け合わせだったのに引き続き、本作品では「シャロン・テート事件」と「映画界の内情」の掛け合わせに挑んだという理解なんですが、この2つの親和性がそんなに高くなくて、上手く融合できなかったのかも知れない・・・
皆さんの目にはどんな風に映る作品なんだろう・・・?
ブラッド・ピットが俳優として初のオスカー受賞。アカデミー助演男優賞です(プロデューサーとしては「ディパーテッド」で作品賞を受賞済み)。ちなみに本作品は、アカデミー監督賞・脚本賞にノミネートされていました。