この記事では、ターミネーター・シリーズの6作目「ターミネーター:ニュー・フェイト」について解説します。現在(2023年3月現在)最新作です。ジェームズキャメロンとリンダ・ハミルトンが復帰して、本作はどうなったのか?今後の続編製作についても触れます。
この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。
もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。
この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。
この映画を観るかどうか迷っている人、観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人 のことも考え、ネタバレしないように配慮しています。
ジャッジタイム (ネタバレなし)
本作品を観続けるか、観るのを中断するかを判断するジャッジタイムですが、
- 上映開始から25分30秒をご提案します。
ここまで観ると、主要登場人物たちの立ち位置が概ね出揃うので、ジャッジポイントとして良いのではないかと思います。
ただし、この時点までの多くのシーンで登場人物の意図をつかむのに苦労します。
というのも、意図を台詞でハッキリ言うのではなく、その動作によって示唆する演出が多いんですが、その動作がちょっと解りにくい上に、画面が次々と切り替わる編集になってるので、良く意図がつかめないままにストーリーが過ぎて行って(=画面が切り替わって行って)しまいます。
これはこの後も傾向として続くので、この段階でストーリーに没入できない予感がしたら、この25分30秒で離脱して時間の損切りをするのもありかと思います。
概要 (ネタバレなし)
T2の正統な続編
「ターミネーター:ニュー・フェイト」は、2019年公開のSFアクション映画。ターミネーター・シリーズの生みの親であるジェームズ・キャメロンが、原案と製作(それぞれ共同で担当)に復帰している。
この事実もあり、本作は、シリーズ6作目でありながら、「ターミネーター2」(1991年公開・1994年が舞台)に直接引き続くストーリーを描いた物であり、ターミネーター・シリーズの正統な(正当な)続編と言えるかも知れない。
ジェームズ・キャメロンがインタビューでハッキリと次のような主旨のことを答えている。それは「ニュー・フェイト」は、新たな三部作の1作目という位置付けで、T1、T2からの系譜で考えると、3作目、4作目、5作目が続いて行く格好になると。
前提理解
本作のストーリーを追うためには、以下の内容を理解して行く必要がある(注:記述内容は上記ジャッジタイムまでに見えてくることに留めてます)。
- ターミネーター(=高度な人工知能、人間を凌駕する屈強な肉体、人間と区別が付かない外見を持つ)と呼ばれる、人間殺害用のサイボーグが本作でも軸になるが、ターミネーターでも人間でもない第3の存在も明らかに
- 運命は変えられる。つまり、事と次第によっては世界線は切り替わる、が前提の世界観。よって、現在における行動に応じて未来は切り替わり、切り替わった新たな世界線の未来から、タイムマシンを介して現在は干渉を受ける
- インターネット、スマホ、GPS、街中至る所に設置された監視カメラが当たり前の世界(=実際の現代社会と同等)で、AIはこれらから得られるデータに対して人間を圧倒的に凌駕する情報処理能力を発揮する
- 世界線が切り替わった未来における新たな「Judgement Day」とは何か?
興行成績
製作費は1.85億ドルが投じられたが、興行収入は世界で2.61億ドル(=製作費の1.41倍)にとどまった。興行収入は製作費の2~3倍を超えてこそヒット作と扱われる相場から考えると、興行的には大失敗作である。
見どころ (ネタバレなし)
ディープ・フェイク???
映画の最序盤で、ディープ・フェイクも真っ青な特殊撮影技術が登場するので楽しみにして頂きたい!そこでは1998年の世界(T2の舞台から4年後)が描かれるんだけど、撮影ではボディダブル(身体だけ演じる代役)が演じた映像に、T2の映像素材から得た顔画像をコンピューターでサンプリングして当てはめることで、実際には撮影されていないシーンを創り出すことに成功している。これは見ものです!
この特殊映像技術によって、ファン待望のエドワード・ファーロングの少年時代が、映像的には復活してるよ!
リンダ・ハミルトンの復帰
リンダ・ハミルトンが本シリーズに復帰している!しかも、かなぁーり体を鍛え上げて!更に、大阪のオバハン的な肝っ玉母さんキャラに変貌を遂げて!クレジット順も本作ではシュワちゃんより名前が前に出る真の主役だもんね。このキャラクターがどんな味を出してくるのかは是非楽しみにしていただきたいです!
元夫のジェームズ・キャメロンの映画に出ることには抵抗が無かったのかな???
マッケンジー・デイヴィスの魅力
中性的なキャラクターとして、髪の毛をサッパリとショートにしたマッケンジー・デイヴィスが登場します。リンダ・ハミルトンに負けじとバッキバキの身体でカッコいいです!前出演作「タリーと私の秘密の時間」とは全く違う魅力を発揮しています。本作中では、このキャラの個人的ストーリーがシナリオの台風の目になっていくので目が離せないです。
「タリーと私の・・・」と本作の出演で、デイヴィスさんはレズビアン女性のシンボル的な存在になってるんだって。性的嗜好に関係なく、凄く素敵なキャラクター像に仕上がってます!
時代の要請に応じた多様性
本作品では、多様性への配慮を強く感じますね。
既述のリンダ・ハミルトン、マッケンジー・デイヴィスの他にも、本作で命を狙われるダニーも女性(ナタリア・レジェスという女優が演じています)。主要登場人物の中に3人もの女性を配しています。
また、これまで何となく白人 vs. 白人の構図で描かれたターミネーター・シリーズにおいて、ターミネーター(Rev-9型)もメキシコ系(ガブリエル・ルナはメキシコ系アメリカ人)。ターゲットのダニーもメキシコ系(ナタリア・レジェスはコロンビア出身)と言う設定で、人種に少しでも多様性を持たせようとしていますね。
人種の議論とは無関係に、本作ではターミネーターとターゲットのキャラクターの掘り下げが甘いところが、イマヒトツ本作にのめり込めない要因なような・・・
その他の情報
筆者の本作に対するおススメ度合いは、 3.0/5.0 です。
まず、いつもの評価通り、暴力シーンが出てくる点は考慮に入れています。どうしても好き嫌いが分かれるところだと思うので。
それ以外では、
- ジャッジタイムのところでも書きましたが、演者の台詞ではなく動作や仕草で意図を示唆するシーンの多くで、その意味が良く解らないことがありました。演技が悪いのか、監督の演出が悪いのか、編集が悪いのか・・・
- Rev-9型のターミネーターに心理的な恐怖を感じない・・・ ガブリエル・ルナの表現力? 何かスパイダーマンで見たことあるような姿形だし・・・
- ターゲットのダニーにあまり肩入れできない・・・何か彼女のキャラクターに、視聴者として思いを投影する正当性が弱いような・・・
新登場のキャラクターそれぞれを、キチンと描き上げるまで手が回らなかったって感じかも知れません、正直。
続編中止
2023年3月現在の情報。
結論から書くと、このターミネーター:ニューフェイトの続編は作られないことになりました。一言で言うと続編中止。最大の理由は、既述の通り興行的に大コケしたから。ただし、もう少し詳しく状況を見てみると、
- 大コケの要因は需要が無かったから
- ターミネーター・シリーズその物に
- 年老いたアーノルド・シュワルツェネッガー、リンダ・ハミルトンは観たくない
- 新たな需要喚起の失敗(マッケンジー・デイビス 等)
- 中国資本との蜜月の終焉
- 本作品は、スカイダンス・メディア、テンセント・ピクチャーズと中国資本が投入されていた
- 公開年の2019年以降、中国系企業とのビジネスの環境が激変
- ジェームズ・キャメロンにやる気なし
- キャメロン監督は、元々T2でストーリーは完結したと思っている
- 本作品でも、製作とは名ばかりでまるでやる気なし
- T1脚本執筆から35年が経過し、そのジェームズ・キャメロンに商標権利が戻った
と言う訳で、ジェームズ・キャメロンに余程の心境の変化がない限り、続編は作られなさそうです。作られたとしても、全く新しいキャストと内容になるでしょう。
新たな脚本
2023年5月現在の情報として、ジェームズ・キャメロンが ”AI” を題材にした脚本を書き始めたという情報が報じられました。これを受けて、ターミネーター・シリーズの続編か?本作「ターミネーター:ニューフェイト」の続編か?という憶測が飛び交っています。
もし新たな脚本執筆が事実だとして、そのストーリーがどのように映画化されるのかは全く持って不明なため、現段階(2023年5月時点)で「ターミネーター:ニューフェイト」の続編が制作されると捉えるのは、時期尚早のようです。