インディ・ジョーンズ・シリーズ最新作にして第5作目、「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」が、2023年6月30日に全世界同時公開されました。
この作品を映画館で観ようかどうか迷っている方向けに、作品の概要と共に、実際に映画館で観て来た感想をお届けします。あくまでも筆者個人の見解ですので、参考情報として捉えて頂ければと思いますが、お役に立てると嬉しいです。キャスト一覧表などの情報もお届けします。
概要 (ネタバレなし)
この作品の位置づけ
「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」(原題:Indiana Jones and the Dial of Destiny) は、2023年6月30日に公開されたアクション・アドベンチャー映画。インディ・ジョーンズ・シリーズの最新作であり、シリーズ5作目の作品である。主演は、本作も引き続きハリソン・フォードが務めている。本作公開時には御年80歳。
# | タイトル | 公開年 | 製作 | 脚本 | 監督 | 製作総指揮 |
1 | レイダース/失われたアーク 《聖櫃》 | 1981 | フランク・マーシャル | ローレンス・カスダン | スティーブン・スピルバーグ | ジョージ・ルーカス ハワード・G・カザンジャン |
2 | インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説 | 1984 | ロバート・ワッツ | ウィラード・ハイク グロリア・カッツ | スティーブン・スピルバーグ | ジョージ・ルーカス フランク・マーシャル |
3 | インディ・ジョーンズ/最後の聖戦 | 1989 | ロバート・ワッツ | ジェフリー・ボーム | スティーブン・スピルバーグ | ジョージ・ルーカス フランク・マーシャル |
4 | インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国 | 2008 | フランク・マーシャル | デヴィッド・コープ | スティーブン・スピルバーグ | ジョージ・ルーカス キャスリン・ケネディ |
5 | インディ・ジョーンズと運命のダイヤル | 2023 | キャスリン・ケネディ フランク・マーシャル サイモン・エマニュエル | ジェズ・バターワース ジョン=ヘンリー・バターワース ジェームズ・マンゴールド | ジェームズ・マンゴールド | スティーブン・スピルバーグ ジョージ・ルーカス |
1作目は唯一タイトルに”インディ・ジョーンズ (Indiana Jones)”という主人公の名前が付かない「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」(原題:Raiders of the Lost Ark) である。
インディ・ジョーンズあるあるだが、この事実を忘れると「インディ・ジョーンズ」というキーワードで検索しても1作目がヒットしないwww
上の表を眺めて貰うと分かるように、製作陣には結構大きな変更がある。まず、長らく本シリーズを牽引してきた2人の巨匠、スティーブン・スピルバーグ(公開時76歳)とジョージ・ルーカス(公開時79歳)は、ディズニー公式サイトによると製作総指揮と表記されている(Wikipediaには、スティーブン・スピルバーグは製作と記述されている)が、正直一線を退いている。
では、代わって本作を牽引するのは誰かというと、それはジェームズ・マンゴールド(60歳)だ。彼が脚本(3人で共著)と監督を務めている。過去にも「17歳のカルテ」「ニューヨークの恋人」「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」「フォードvsフェラーリ」などの監督・脚本を務めてきたベテランだ。
こうした製作陣の刷新は、スピルバーグの「新しい製作者に任せたい」という意向を受けたもので、この結果フランク・マーシャル(公開時76歳)が、全作品に深く関わってきた唯一の関係者となることが見て取れる。
公開日
公開日は、2023年6月30日(金)で世界同時公開である。既に公開済み!
公開日は、延期に継ぐ延期で、経緯を端折って説明すると、当初は2019年7月19日だったものが、最終的にこの2023年6月30日に落ち着いた。
キャスト
キャストを整理してみよう。
俳優 | 役名 | メモ |
ハリソン・フォード | インディアナ・”インディ”・ジョーンズ | 本作の主人公、考古学者、大学教授、冒険家 |
マッツ・ミケルセン | ユルゲン・フォラー | 元ナチスのロケット科学者。第二次大戦後アメリカに渡る。ある古代の遺品に並々ならぬ執着を見せる |
フィービー・ウォーラー=ブリッジ | ヘレナ・ショー | インディの友人バジルの娘。インディがゴッドファーザー(名付け親) |
イーサン・イシドール | テディ | 少年だがヘレナの親友で相棒 |
アントニオ・バンデラス | レナルド | インディの旧友。潜水士。インディの調査を助ける |
ボイド・ホルブルック | クレーバー | フォラ―の側近の部下 |
シャウネット・レネー・ウィルソン | メイソン | 政府のエージェント |
トーマス・クレッチマン | コロネル・ウェバー | |
カレン・アレン | マリオン・レイブンウッド | インディの恩師の娘。前作でインディと結婚する。2人の間にはヘンリー3世/マットという息子がいる |
トビー・ジョーンズ | バジル・ショー | 通称”バズ”。イギリスの考古学者でインディの友人、ヘレナの父親 |
オリヴィエ・リヒタース | ハウケ | フォラーの部下、強力な戦闘員 |
ジョン・リス=デイヴィス | サラー・モハメッド・ファイセル・エル=カヒール | インディの古くからの友人で、エジプトでは「エジプトの発掘王」と謡われていた |
マーク・キリーン | ポンティマス | 古代の兵士 |
ナセル・メマルジア | アルキメデス | 古代の天才科学者 |
マーティン・マクドゥーガル | ダーキン | |
ジル・ウィンターニッツ | 役名不明 | |
アンソニー・イングルバー | 役名不明 | |
アンディ・ミリガン | 役名不明 | |
ジョン・モラン | 役名不明 |
主人公インディ・ジョーンズ役にハリソン・フォード、敵役にマッツ・ミケルセン、ヒロイン役にフィービー・ウォーラー=ブリッジが配されている。それに加えて、お馴染みのサラ―役のジョン・リス=ディヴィス、マリオン役のカレン・アレン登場はファンにはたまらない。
アントニオ・バンデラスもインディの旧友役で登場する。
あらすじ (序盤のみ)
1944年のドイツ。第二次大戦に敗色濃厚のドイツであったが、ナチスはヒトラー総統の命令で、依然として中世、古代の貴重な遺品を集めまくり、ヒトラーの元に届けていた。
インディ・ジョーンズ(ハリソン・フォード)は、友人のバジル・”バズ”・ショー(トビー・ジョーンズ)と共に、ナチスが略奪した「ロンギヌスの槍」を奪還しようとするが、両者ともナチスに捕縛されてしまう。
何とかナチスの元から脱出する二人であったが、このナチス略奪隊に同行していたユルゲン・フォラ―(マッツ・ミケルセン)というロケット科学者が持っていた「アンティキティラのダイヤル」を奪取し、そのまま逃走することに成功する。
時は1969年へと移る。アメリカ中がアポロ11号の月面着陸成功に湧く中、インディはひっそりと教職からの定年退職を迎える。そこに、すっかり大人に成長した”バズ”の娘ヘレナ(フィービー・ウォーラー=ブリッジ)が現れ、「アンティキティラのダイヤル」についての調査を再開したいと、インディに持ち掛ける。
ところが、このヘレナは、ある工作員の集団に尾行されており、インディもヘレナと接触したことで、尾行の対象になってしまう。
果たして、2人の運命はどうなってしまうのか?「アンティキティラのダイヤル」とは何なのか?どんな力を秘めているのか?
見どころ (ネタバレなし)
見どころを書いてみたいと思います。ただし、事前情報による先入観を持ちたくない方は、こちらは読まないでください。率直な感想と、その根拠を述べていますので、ご鑑賞の邪魔になる可能性があります。
映画館で鑑賞した感想
映画館で視聴した筆者の感想を記しておきます。ごくごく個人的な感想ですので、あくまでも参考情報程度に捉えていただければ幸いです。ちなみに筆者は、IMAX シアターで鑑賞したので、映像、音響のインフラが存分に整った環境で観た上での感想となります。
単刀直入に言うと、全く面白くありません。
既に映画館で2回観ましたが、2回とも面白いと感じなかったです。
筆者のような、インディ・ジョーンズ・シリーズの大ファンで、最新作は必ず映画館で鑑賞するぞ!と決めていた方以外は、観なくて良いと思います。お金と時間の無駄です。後でサブスクで観れば十分です。
この映画の魅力は、ある1点(←ネタバレになるので割愛します)を除くと、大画面、大音量でのアクションシーンだけしかないです。「サブスクで観たら、それも無くなっちゃうじゃん!」と思われるかもしれませんが、”その通りです”。
つまり、映画館で観ると”金返せ”状態。サブスクで観たら魅力はほぼゼロ(になるだろうと評価している)なので、解がありません。
残念としか言いようがありません…
インディ・ジョーンズの動き
本作でも、インディ・ジョーンズ役には多くのアクションが求められたことが既に報じられていて、ハリソン・フォードは撮影時に、とても70代とは思えない動きを見せたといいます。
インディ・ジョーンズというキャラクターは、1899年7月1日生まれという設定なので、1969年が舞台なら70歳になるという計算です。よって、総論実年齢と近しいキャラクター設定となっています。これはスピルバーグの”製作時点の年齢で出演すべき”という意向に合致しています。
とは言え、ハリソン・フォードには、CGによりディ・エイジング加工を施したり、スタント・ダブルによるスタント・アクションに、モーション・キャプチャによる顔のはめ込み処理が施されたと報じられており。”動き”としては、生き生きとしたインディ・ジョーンズ像が描かれています。
しかし、そもそも70歳だろうが80歳だろうが、身体はスタント・ダブルだろうが、教職を定年退職する年齢のキャラクターが冒険活劇を繰り広げるという設定に、やっぱり無理があると言わざるを得ません。インディ歳を取り過ぎです。ワクワクできません…
キャラクター作り
冒険のヒロインのヘレナ役にフィービー・ウォーラー=ブリッジ。ヘレナの相棒の少年キャラクターにイーサン・イシドールが起用されていますが、演出という観点からも、演技と言う観点からも、とにかく役作りが甘すぎて、全くと言って良いほど、このキャラクターに感情移入ができず、ことごとく共感ができません。
敵役にマッツ・ミケルセンが起用されていますが、こちらもキャラクター作りが甘すぎて、マッツ・ミケルセンが持つ”怪演”パワーが全然引き出せていません。得体のしれない敵と闘っているという構図が成り立っていません。
アントニオ・バンデラスに至っては、ただの無駄遣いです。
脚本
作中、色々色々な出来事が次々と描かれて行きますが、どうにもこうにも既視感が拭えません。どのシーンも”どこかで観たような気がする”設定や画面構成が続いて行きます。
「トゥルー・ライズ」(ジェームズ・キャメロン監督、アーノルド・シュワルツェネッガー主演)と「ボーン・アイデンティー」(マット・デーモン主演)と「テネット」(クリストファー・ノーラン監督)と「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」とを足して10ぐらいで割った感じです。
昨今のウォルト・ディズニー・ピクチャーズ作品にありがちな、”面白そう”な要素を間断なく盛り込んだ結果、”パンチに欠ける刺激”がダラダラ、ダラダラと続いて面白くなくなったパターンです。メリハリに乏しいです。
また、インディ・ジョーンズ・シリーズ独特のウィットに富んだユーモアも影を潜めています。笑うところが非常に限られています。
音楽
音楽はもちろん、ジョン・ウイリアムズが担当している。
皆さんはご存じだろうか、まずかの有名なインディ・ジョーンズのテーマ曲は”Raiders March”というタイトルであることを。
そして、この曲は2つの曲がくっついて出来上がっていることを。
- 曲の冒頭~35秒まで流れるお馴染みのメロディー
- 35秒~1分15秒まで流れるもう一つのメロディー
がその構成要素だ。
これには誕生秘話があって、1作目の「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」を製作している際に、スピルバーグがジョン・ウイリアムズに主題歌の作曲を依頼した。この依頼に対してジョン・ウイリアムズは、上述の1と2のメロディーを作曲し、どちらか一方を選んで貰うつもりで提示した。
ところがスピルバーグは、このどちらのメロディーも甲乙付けぐらい気に入り、どちらも採用されて、両方が繋ぎ合わされたこの曲が出来上がったというわけだ。
まとめ
2023年6月30日に世界同時公開された、インディ・ジョーンズ・シリーズ最新作、シリーズ5作目の「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」について、映画館(IMAX)で観て来た感想を述べました。
この作品に対する☆評価ですが、
総合的おススメ度 | 2.0 | 全く面白くないです |
個人的推し | 2.5 | 本シリーズを全作観ると決めた方のみ観れば良いと思います |
企画 | 2.0 | 主役の年齢的に、この企画が無理だったということかも |
監督 | 1.5 | 独創的なアイデアが乏しい… |
脚本 | 2.0 | 半分ぐらいの尺で良いんじゃないだろうか |
演技 | 2.0 | 感情移入が出来ない… |
効果 | 3.0 | CGは凄いが、過剰なアクション |
素人が偉そうに何様?というようなことばかり書いてきて、大変大変僭越なんですが、自分の稼いだお金を支払って観てきた映画が全く面白くなかったという事実は変わらないです。
本作品で脚本(3人で共著)と監督を務めたジェームズ・マンゴールドの仕事ぶりに、創造性、独創性が全く見出せませんでした。この「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」は諦めるとして、「スター・ウォーズ」の新三部作の1作目もこのマンゴールドが務めていると報じられており、そちらも期待できないとなると、被害は甚大です…
勝手なことばかり書いて本当にすみません。でも、読まれた方のお金の無駄遣いを防げると幸いです。