この記事では、映画「デュー・デート」について解説します。名優ロバート・ダウニー・Jr. を主演に迎え2010年に公開されたコメディ・ロード・ムービー。
この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。
もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。
この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴、あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。
この映画を観るかどうか迷っている人、観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人 のことも考え、ネタバレしないように配慮しています。
コメディ映画のスペシャリスト、トッド・フィリップス監督が、前年2009年に大ヒットさせた「ハングオーバー!」の勢いをそのままに、再びザック・ガリフィアナキスとコンビを組んだ、悪ノリ不協和音コメディの世界に足を踏み入れてみてください!
ジャッジタイム (ネタバレなし)
この映画を観続けるか、見限るかを判断するジャッジタイムですが、
- 上映開始から12分40秒の時点をご提案します。
ここまでご覧になると、「ああ、そういうことね」とこの映画のあらましが理解できると思います。このノリについて行けそうなら続きをご覧ください。「う~む…」ということであれば、ここで離脱することをおススメします。
概要 (ネタバレなし)
この作品の位置づけ
「デュー・デート ~出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断~」(原題:Due Date) は、2010年公開のコメディ映画。邦題でも示唆されているように、アトランタからロサンゼルスまでの”時限付きアメリカ横断旅行”の要素もあるので、いわゆるロード・ムービーの側面も持つ。
主演は、当時既にアイアンマンを2作(「アイアンマン (2008)」、「アイアンマン2 (2010)」)を大ヒットさせて、飛ぶ鳥を落とす勢いだったロバート・ダウニー・Jr. だ。そこに「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」(2009) のアラン役(変な奴キャラ)でブレイクしたザック・ガリフィアナキスをぶつけた格好だ。
“デュー・デート”の意味
“デュー・デート (Due Date)”とは、’出産予定日”のことだ。Due Date とは一般的には”締切日” のことを指すが、妊娠の文脈では出産予定日を指す。なお、出産することを”Delivery” と言ったりもするので、日本人の感覚するとちょっと違和感があるかも知れない。
締切日に配達するって意味?w
「ハングオーバー!」との共通点
この作品を理解するために知っておくべき背景情報は、この「デュー・デート」と「ハングオーバー!」には共通点が非常に多いことだ。両作品とも、
- 監督
- トッド・フィリップス
- 制作
- トッド・フィリップスとダン・ゴールドバーグ
- 音楽
- クリストフ・ベック
- 編集
- デブラ・ニール=フィッシャー
- 制作会社
- レジェンダリー・ピクチャーズ
- 配給会社
- ワーナー・ブラザース
と、もはや共通点云々ではなく、本作品がハングオーバー・シリーズのスピンオフ作品ぐらいに捉えても良いかも知れない。要は、ザック・ガリフィアナキス扮するトラブルメーカー・キャラに、ロバート・ダウニー・Jr. がどう巻き込まれて行くか?を楽しめば良いという寸法だ。
制作サイドは”別物!”と否定すると思いますが…
商業的評価
上映時間は、95分と非常に短く、製作費6千5百万ドルに対して世界興行収入2億1千2百万ドルのヒット作に仕上がっている。キッチリと3.26倍のリターンである!流石ロバート・ダウニー・Jr. !! 数字が取れる人気俳優。
あらすじ (12分40秒の時点まで)
出張でアトランタに来ていた、ちょっぴり不遜なエリート・ビジネスマン、ピーター・ハイマン(ロバート・ダウニー・Jr.)。ロサンゼルスの自宅に残してきた妻サラ(ミシェル・モナハン)の出産に立ち会うべく、帰路を急ぐ。
ピーターは、空港で運転手付きのハイヤーから降りる際に、非常に不愉快な男イーサン(ザック・ガリフィアナキス)と鉢合わせをする。ピーターは、この初対面の男からさっさと離れ、急ぎ手荷物検査を済まそうとするが、イーサンと交錯した際に取り違えて持ってきてしまったイーサンの荷物に、マリファナ吸引パイプが入っており、かつピーターの不遜な態度も加わって、検査員(RZA)とひと悶着を起こす。
何とか機内のファーストクラスの座席に着いたピーターだったが、シートベルトの故障でファーストクラスへとアップグレードされたイーサンが、ピーターの後ろの空席に着いてしまう。
イーサン(ザック・ガリフィアナキス)の引き続く不愉快な言動にイラ立つピーター(ロバート・ダウニー・Jr.)。CAからの指示後も携帯電話の電源を切らずに妻へのメールを書いていると、イーサンが”テロリスト”と間違えられるぞと咎める。この不穏な単語が引き金になり、相変わらずのピーターの不遜な態度も重なって、遂に2人は連邦航空保安局の手で機内から強制連行されてしまう。
当局の取り調べにより誤解が解けたピーターだったが、搭乗拒否リストから名前は削除されず、おまけにロサンゼルスへと既に飛び立った機内に、荷物、パスポート、財布を残してきてしまったために、身元不詳、一文無しになってしまう。
レンタカーも借りられず、妻の出産に間に合うかと焦っていると、既にレンタカーを借りたイーサンが現れ、西海岸までの同乗を提案する。謝罪や罪悪感を一切示さぬイーサンに怒りを覚えるピーターだったが、背に腹は代えられないとこの申し出を受け入れる。
果たして2人は無事にロサンゼルスに到着できるのか?ピーターは妻の出産に間に合うのか?
見どころ (ネタバレなし)
ロバート・ダウニー・Jr. の演技
ロバート・ダウニー・Jr. の演技が流石なんですよね。エリート・ビジネスマンで、隠しきれない傲慢さがそこはかとなく滲み出ちゃう感じ。でも、妻を心から愛していて、彼女との子供が生まれて来るのを心待ちにしている。そんなパワー・エリート兼良き夫を、絶妙なラインで演じてるように思います!
これより良い人のキャラクター設定だと、相手役のザック・ガリフィアナキスが一方的に悪い奴って構図になっちゃうし、これより悪い人のキャラクター設定だと感情移入できないし、ということで、この作品はこの主役に負うところが大きいと思います!
この投稿をInstagramで見る
「アイアンマン (2008)」、「アイアンマン2 (2010)」のトニー・スターク役や、「シャーロック・ホームズ (2009)」のシャーロック・ホームズ役で、この傲慢さと品の良さの絶妙なラインを行き来する役作り法を完成させたんですかね?
嫌な奴だけど憎めない。なかなかできる演技じゃないと思います!
ザック・ガリフィアナキス
対するザック・ガリフィアナキスはどうかと言うと、なかなか微妙なラインなんですよね。というのも、「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い (2009)」から引き続き、人を苛立たせる空気の読めないトラブル・メーカーとしての役作りは満点なんですが…
ハングオーバー・シリーズで、ザック・ガリフィアナキスが演じているアラン・ガーナ―というキャラクターは、金持ちの世間知らずのボンボンで、プライドばっかり高くて嫉妬深い変態的なオタクっていう、プロファイルからして既に針を振り切っているキャラクターなんですよね。しかも、元々の映画の主題から言うと、そのアランとは別の親友3人組のストーリーだし。
よって、ハングオーバー・シリーズでは、フルスロットルで変人キャラクターを演じても、視聴者はちょっと離れた位置からその滑稽な様を客観的に笑える訳です。ところが、本作「デュー・デート」では、主人公がたまたま空港で出会っちゃった男がヤベぇ奴だったという設定なので、空港に紛れ込んでいたイーサンという特異点が、直接的にピーター(ロバート・ダウニー・Jr.)に被害を及ぼしてくるので、視聴者はその沁み出てくる毒素を直接的に浴びちゃうんですよね。
なので絶妙なバランス感覚が本作の方が圧倒的に求められる訳で、その辺りの着地点を上手に見つけられたかな?
是非、皆さんの目でもご確認ください!
ストーリーの起伏
そんなザック・ガリフィアナキスの演技の機微もあってか、ストーリーの方も、若干一本調子のような気が…
十分面白いですし、腹を抱えて笑えるんですけどね。アトランタからロサンゼルスへと向かうロード・ムービーとして、その旅路で何が生まれたか…?何が描かれているか?
こうして皆さんの期待のハードルを下げておくので、これでご覧になると凄く面白く感じてくださるかも!
まとめ (ネタバレなし)
と言う訳で、トッド・フィリップスがハングオーバー・シリーズの三部作を制作している途中で、主演に名優ロバート・ダウニー・Jr. を迎えて撮ったロード・ムービー・コメディについて語って来ました。
十分面白いんだけど、ロバート・ダウニー・Jr. の演技が素晴らしいわりに、ザック・ガリフィアナキスの新境地が見えたか?というところに目が行ってしまいそうです、というお話をさせて貰いました。
そこで、この作品に対する☆評価ですが、
総合的おススメ度 | 3.5 | 100分を切る作品なのでタイパは良いです! |
個人的推し | 3.0 | 1回は観て頂きたい! |
企画 | 4.5 | 企画としては面白い! |
監督 | 3.5 | もう少しメリハリがあっても・・・ |
脚本 | 4.0 | 脚本自体は面白い! |
演技 | 3.0 | 頑張れザック・ガリフィアナキス! |
効果 | 3.5 | 特に可も無く不可も無く |
十分面白いですし、100分を切る短さ、そして、ロバート・ダウニー・Jr. のキャラクター作りが秀逸なので、1回は観て頂きたいですね。
ただ、凄く深みがあるかと問われると・・・2億ドル以上売り上げてるんですけどね。
手応えがあったら続編が作られてると思うんですよね・・・