話題の記事続編なのに1作目の質を超えた映画5選

【あらすじ・ネタバレなし】ジェイソン・ボーン(2016年公開シリーズ最新作)

この記事では2016年公開の「ジェイソン・ボーン」について解説します。2023年4月現在シリーズ最新作。

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

前作「ボーン・アルティメイタム」から9年。新たなキャスト達がどんな味を出してくれるのかを語って行きます。是非この作品の世界に足を踏み入れてみてください!

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

この映画を観続けるか、中止するかを判断するジャッジタイムですが、

  • 上映開始から、21分10秒のタイミングをご提案します

ここまでご覧になると、本作ではどんなことが描かれて行くのか、おぼろげながらにつかめると思います。観続けるか判断に迷う場合は、ここまでご覧になってから決めるのが良いと思います。

概要 (ネタバレなし)

この作品の位置づけ

「ジェイソン・ボーン」(原題:Jason Bourne) は、2016年公開のサスペンス・スパイ・アクション映画。ボーン・シリーズの第5作目。

#映画タイトル公開年主演ロバート・ラドラムの原作出版年
1ボーン・アイデンティティ2002マット・デイモンThe Bourne Identity1980
2ボーン・スプレマシー2004マット・デイモンThe Bourne Supremacy1986
3ボーン・アルティメイタム2007マット・デイモンThe Bourne Ultimatum1990
4ボーン・レガシー2012ジェレミー・レナ―The Bourne Legacy 2004
5ジェイソン・ボーン2016マット・デイモン原作無し
ボーン・シリーズの一覧表

エリック・ヴァン・ラストバダー(Eric Van Lustbader) がLudlum Brand の下で執筆。
内容は、原作と映画で全く異なる

ボーン・シリーズは上の表にあるように、4作目にジェレミー・レナ―を主演に立てて、スピンオフ作品「ボーン・レガシー」を製作したが、興行的にはそれほど振るわなかったため、マット・デイモンを主演に復帰させて、3作目「ボーン・アルティメイタム」に続くストーリーを製作したのが本5作目「ジェイソン・ボーン」だ。

本作ではポール・グリーングラスが、3作目以来の監督復帰を果たし、シリーズで初めて製作、脚本にも携わっている。なお、マット・デイモンもシリーズで初めて製作に名を連ねている(下の表)。

#作品名公開年製作脚本監督
1ボーン・アイデンティティー
(主演:マット・デイモン)
2002ダグ・リーマン
パトリック・クローリー
リチャード・N・グラッドスタイン
トニー・ギルロイ
ウィリアム・ブレイク・ヘロン
ダグ・リーマン
2ボーン・スプレマシー
(主演:マット・デイモン)
2004パトリック・クローリー
フランク・マーシャル
ポール・L・サンドバーグ
トニー・ギルロイ
ブライアン・ヘルゲランド
ポール・グリーングラス
3ボーン・アルティメイタム
(主演:マット・デイモン)
2007パトリック・クローリー
フランク・マーシャル
ポール・L・サンドバーグ
トニー・ギルロイ
スコット・Z・バーンズ
ジョージ・ノルフィ
ポール・グリーングラス
4ボーン・レガシー
(主演:ジェレミー・レナ―)
2012パトリック・クローリー
フランク・マーシャル
ベン・スミス
ジェフリー・M・ワイナー
トニー・ギルロイ
ダン・ギルロイ
トニー・ギルロイ
5ジェイソン・ボーン
(主演:マット・デイモン)
2016フランク・マーシャル
マット・デイモン
ポール・グリーングラス

グレゴリー・グッドマン
ポール・グリーングラス
クリストファー・ラウズ
ポール・グリーングラス
ボーン・シリーズの製作陣

”ボーン・シリーズ”の2作目と3作目は、トニー・ギルロイポール・グリーングラスのコンビが牽引力となって製作されたと言って良いだろう。しかし、4作目はトニー・ギルロイ色が強く、この5作目はポール・グリーングラス色が一気に強まったことになる。果たしてこの采配が吉と出るか凶と出るか。

上映時間は124分。1億2千万ドルの製作費(ビッグ・バジェット!)で、世界興行収入4億1千5百万ドルを売り上げる大ヒットを記録した!前作「ボーン・レガシー」(世界興行収入2億7千6百万ドルの売上)からのV字回復で、ユニバーサル・ピクチャーとしてはしてやったりだろう。

マット・デイモンを主演に据えたボーン・シリーズの続編製作の噂が全く立ち消えない要因には上記のような背景がある。

あらすじ (21分10秒の時点まで)

前作で全ての記憶を取り戻したジェイソン・ボーン(マット・デイモン)。

元の自身の身分はデヴィッド・ウェッブ大尉であったこと。志願してCIAのスパイになったこと。そして、任務、もしくは正当防衛だったとは言え、多くの命を殺めてきたこと。今ではそんな罪悪感から、ボーンは過去の記憶がフラッシュバックするのだった。

流れ着いたギリシャで、地下格闘技をして日銭を稼ぐような生活をするジェイソン・ボーン(マット・デイモン)。

他方、アイスランドのレイキャビクで、ハッカー集団に紛れてCIAのシステムをハッキングするニッキー・パーソンズ(ジュリア・スタイルズ)。ニッキーは、CIAの新旧の秘密作戦の資料のダウンロードに成功し、その中にジェイソン・ボーンの父親と思しきリチャード・ウェッブの名前を見つける。

リチャード・ウェッブは、初期の“トレッドストーン”に深く関与し、デヴィッド・ウェッブはその息子として、作戦に志願する前から当局の関心を引いていたようだ。

CIA本部では、このハッキングを検知し、ヘザー・リー(アリシア・ヴィキャンデル)の指示の下、直ちにアクセスを逆探知をした結果、レイキャビクのハッカー拠点からアクセスされていることを突き止め、この拠点ごと停電状態にし、ハッキングを遮断する。

リーは更なる調査を続け、ハッカー集団の構成員について不完全ながらも属性情報を入手し、これをアイスランドに入国した者の情報とを突合させることで、件のハッカーは元CIA諜報員のニッキー・パーソンズであることを突き止める。そして、彼女がジェイソン・ボーンの関係者であることも知る。

ハッキングの被害状況、ハッカーの正体、そしてジェイソン・ボーンの関与が疑われることを、国家情報長官エドウィン・ラッセル(スコット・シェパード)とCIA長官ロバート・デューイ(トミー・リー・ジョーンズ)に報告したリー。紆余曲折はあったものの、デューイ長官から直々の指令を受けて、リーはこの件の指揮を任されることになった。

ただし、デューイ長官は裏で工作員の”アセット”に直接連絡を取り、”アセット”には最優先事項としてジェイソン・ボーン殺害を指示する。

ニッキーは、ジェイソン・ボーンの居場所に姿を見せ、1時間後にシンタグマ広場で落ち合うことを提案して去る。シンタグマ広場ではデモ隊と警官隊が激しく衝突し、大きな混乱が生じており、この騒動に乗じて会談をすることにしたのだ。

しかし、この動きを大枠掴んでいたCIAも工作員を現地に派遣し、ニッキーとその接触相手と思しきジェイソン・ボーンの身柄を拘束しようと、監視の網を徐々に絞って行く。そして、”アセット”は、2人の命を非合法に狙って近づいて行く。

大規模デモの騒乱の中、何とか落ち合えた2人だったが、ほぼ同時にCIAに正確な居場所を特定されてしまい、急ぎその場を立ち去る2人。

足早に歩きながらニッキーは、自身が掴んだ情報を基にジェイソンに問いかける。

”アイアンハンド”という新たな作戦が発動されようとしていること、これを見過ごせないこと、このままの生活ではいつかはジェイソンも死んでしまうこと、そして、かつてのトレッドストーン作戦にジェイソン(=デヴィッド・ウェッブ)の父親が大きく関与していたこと、さらにジェイソンはこの作戦に志願する前から、当局の監視対象であったこと。  

ボーンにしてみれば、父親のリチャード・ウェッブは、一介のCIA分析官に過ぎず、実際の作戦行動とは無関係なはずだった。増して、自身が監視対象だったと聞かされ、寝耳に水なのと同時に怒りが湧いた。

新たに発動される”アイアンハンド”作戦とはどんなものか…?ジェイソン・ボーンはいつまでこんな生活を続けなければならないのか…?ニッキーとジェイソンは目の前の危機を乗り切ることが出来るのか…?

見どころ (ネタバレなし)

進化したテクノロジーの描写

前作「ボーン・アルティメイタム」から時系列的に9年が経過し、世の中は2010年代も後半になり、描写されるテクノロジーもすっかり進化しましたね。

レイキャビクの建屋をラングレーから停電させるという、世界中のネットワークは今や繋がっているんだぞ!という世界観もさることながら、顔の画像という非構造化データを解析して、人物を特定できる、それも一度に大量にという世界が描かれています。

この辺りが、劇中でも言及される”スノーデン”級の情報漏洩への示唆でもあり、世界中どこに逃げてもすぐに見つかってしまう恐怖にも繋がっていて、このストーリーの下敷きになっていると思います。

「あらすじ」でも紹介した、シンタグマ広場での追跡劇においては、登場する二者、ないしは三者を描写するカットを、編集で細かに切り替えることで、状況のリアルタイム性、緊迫感の高まりを見事に表現してます。

増して広場内のシーンでは、デモの喧騒が360度から聴こえるようで、追われる身としての没入感が凄いです!

ジェイソン・ボーンがいかに優れた工作員でも、いつまでも逃げ切れない。だったらCIAと対峙しない限りこの闘いは終わらないという説得力に繋がっていくと思います。

ビルドアップしたマット・デイモン

マット・デイモンが想像以上にマッチョになって登場しますね。地下格闘技で肉弾戦を演じるシーンは中々迫力があります。役作りで相当ビルドアップしたのでしょうか、大きな見どころです。

一方で9年の加齢は隠し切ることが出来ません。脚本で、キャラクター描写の見直し、背景の付与が欲しかったところ。前作から地続きの描き方に留まらずに、もう一工夫新たなキャラクター発掘があっても良かったのではないかと思います。

ポール・グリーングラスのアプローチ

相変わらず、ポール・グリーングラスの描写が冴えています。これは「あらすじ」20分強でもご確認頂けると思います。ハンディカメラを多用した寄り。寄りからのズーム。更に敢えて静かな手振れを加えてキャラクターの心理描写を表すカメラワーク。

相変わらず、画面を緊張感で包むのに大いに役に立っています。本作では特に、9年間という時間を経て、ジェイソン・ボーンが生きることにくたびれている。そして自分を罰するように地下格闘技に身を投じるというシナリオを強く補足するのに使われているように思います。皆さんの目にはどう映るでしょうか?

趣の異なるフラッシュバック

「あらすじ」の20分間だけでもお気づきになるように、本作でもフラッシュバックの技法が随所に見られます。ただし、前作までとはちょっと趣が異なります。前作までは、記憶を取り戻す過程において、断片的な記憶が突如として心理の奥底から飛び出すというフラッシュバックでした。

一方本作では、全ての記憶を取り戻した上でのフラッシュバックなので、任務だっとは言え、あるいは自身や大切な人の身を守るためだったとは言え、多くの命を殺めてしまったという罪悪感から来るフラッシュバックという位置付けに見えます。この辺りの趣の違いが前作とどう描き分けるか、新たにどんな感情をいだかせてくれるのか?も大きな見どころだと思います。

脇を固める俳優陣

ニッキー・パーソンズ役のジュリア・スタイルズが益々存在感を増してますね。ファンには堪らないんじゃないでしょうか。「ボーン・アイデンティー」では、単なる現地の連絡員って感じだったのに、こんなにも存在感を増すなんて!出演者の成長をシリーズを追うごとに楽しめるのも、こういうシリーズ物の醍醐味の一つですよね。

CIA長官にトミー・リー・ジョーンズが起用されています。顔の皺もますます増えて、スゲー渋いオジサンですね。この人が出てくるだけで何か裏があるんじゃないか?って思わせる存在感って凄いですよね。「あらすじ」の20分間だけでも、部下に指揮を任せるって言ったくせに、自分でもどんどん現場に命令を下しているし・・・

秘密工作員”アセット”役のヴァンサン・カッセルも怪しくて良いですね。ボーン・シリーズの中では、この”アセット”というキャラクターと「ボーン・アイデンティー」に出てきた”教授”(クライブ・オーウェン)のキャラクターが好きです。

でも、本作では何より、ヘザー・リー役のアリシア・ヴィキャンデルに注目です。巨大な組織の中で貪欲に仕事を求めて動く野心的な女性が、わざとらしくもなくイイ感じに演出されているんじゃないでしょうか?とにかく、本作はこの人に注目です!

あわわっち

でも、全般的にもう少し脇役のキャラクターを掘り下げて欲しんだよなぁ・・・

音楽

音楽は、引き続きジョン・パウエルが担当しています。デヴィッド・バックリーとの共同ですが。このシリーズ独特の雰囲気を規定するのに、やはりジョン・パウエルの音楽は不可欠ですね。

主題歌は、ちゃんと「ジェイソン・ボーン」版の”Extreme Ways”がアップデートされて2016年にリリースされています。

出演:マット・デイモン, 出演:トミー・リー・ジョーンズ, 出演:アリシア・ヴィキャンデル, 出演:ヴァンサン・カッセル, 出演:ジュリア・スタイルズ, 出演:リズ・アーメッド, Writer:ポール・グリーングラス, Writer:クリストファー・ラウズ, 監督:ポール・グリーングラス, プロデュース:フランク・マーシャル, プロデュース:ジェフリー・M・ワイナー, プロデュース:ベン・スミス, プロデュース:マット・デイモン, プロデュース:ポール・グリーングラス, プロデュース:グレゴリー・グッドマン

まとめ

この作品に対する☆評価ですが、

総合的おススメ度 4.0まぁ普通に面白いですよね
個人的推し 3.5柳の下のドジョウ感は否めない…
企画 3.0もっと想像の先を行って欲しかった・・・
監督 4.0新しい何かが欲しかった・・・
脚本 3.5もっと前日譚にしちゃえば良かったのでは?
演技 4.0みんな手堅い演技を見せていると思います
効果 4.5テクノロジーのリアリティが凄いです!
こんな感じの☆にさせて貰いました

全般的に辛めの採点かも知れません。公開時に凄く期待して観ただけに、「ふ~ん」みたいに思っちゃったんですよね。普通に面白いぐらいの感じ。分かりますかね?

もっと良い意味で期待を裏切って欲しかったんですよねぇ。仕掛けはあるんですけど、どれもどこかで目にしたことがあるような既視感が拭えなかった…

やっぱり原作って大事だなって思いました。ポール・グリーングラスが独りで練り上げた(と思しき)のも良くなかったんでしょうか・・・

あわわっち

それでも興行的には大ヒットしているので、自分の感覚が信じられなくなっちゃいます・・・

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