話題の記事続編なのに1作目の質を超えた映画5選

【ネタバレなし】音楽も美しい「ジョー・ブラックをよろしく」(あらすじも)

この記事でご紹介する「ジョー・ブラックをよろしく」は、1998年公開のドラマ映画。死期を迎えた老人男性の前に現れた若くてハンサムな死神が、寿命を数日間延長する代わりに、その間、正体を隠したまま人間界を案内してもらう物語。老人役にアンソニー・ホプキンス、死神役にブラッド・ピットが扮する。

この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。

もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。

この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。

この映画を観るかどうか迷っている人観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人ことも考え、ネタバレしないように配慮しています。

死神というファンタジー要素がありつつも、生と死、愛、出会いと別離といった人生を形作る普遍的なテーマを扱っている。前作「セント・オブ・ウーマン」でアル・パチーノにオスカーをもたらしたマーティン・ブレスト監督が、本作では2人の名優を起用してどんな演出を見せるのか?

この映画の世界をちょっとだけ一緒に覗いてみませんか?

目次

ジャッジタイム (ネタバレなし)

この映画を観続けるか、見限るかを判断するジャッジタイムですが、

  • 上映開始から32分00秒のタイミングをご提案します。
32分00秒

この辺りまでご覧になると、主要登場人物たちの置かれている状況、この物話の端緒が分かります。この先もご覧になるか判断するのに最適なタイミングだと思います。

概要 (ネタバレなし)

この作品の位置づけ

「ジョー・ブラックをよろしく」(原題:Meet Joe Black) は、1998年公開の映画。死期が迫った老人を死神が迎えに来るプロットを軸にしている点ではファンタジー要素も入っているが、基本的には人生における生と死、恋愛におけるエゴと相手を思いやる気持ちといった普遍的な対立軸を描いたドラマ作。

死期が迫る老人役にアンソニー・ホプキンス、死神役にブラッド・ピットを配して、この2人の周りで起きる出来事を通し、誰もが人生で直面するであろう上述のテーマを、より鮮明に情緒豊かに描いていく。

製作と監督を務めたのはマーティン・ブレスト。ブレスト監督は、「ビバリーヒルズ・コップ」(1984年・105分) 、「ミッドナイト・ラン」(1988年・126分) 、「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」(1992年・157分) と、1980年代から1990年代にかけてヒット作、名作を連発し、そして本作を1998年に制作・公開した。

ブレスト監督は、登場人物を個性的なキャラクターになるよう丹念に掘り下げ、それと同時に、ストーリー全体のテンポを落とし過ぎないよう配慮する監督だが、その辺りのバランス感覚が本作でも十分に発揮されているかが注目点だ。

というのも、本作「ジョー・ブラックをよろしく」は181分と上映時間が長く、マーティン・ブレストのキャリア最長上映時間の作品となっている。

商業的な成果

上述のように本作は上映時間181分と長編作品だ。そして、製作費9千万ドルに対して、世界興行収入は1億4千3百万ドルと、製作費に比して振るわない結果となっている。計算すると1.6倍のリターンしか得られていない。

1.6倍のリターン

これは、広告と配給に必要な費用(一般的にA&P費、Advertisement & Printing 費用と言われる)を勘案するとトータルでは赤字だったと想像される。順当に考えれば、181分という尺の長さが災いしたのではないか?

公開後、航空機内のエンタメ・サービスやTV放送時には、129分の短縮版が用いられることも少なくなかったと聞く。なお、この短縮版に対してはマーティン・ブレストは責任を負っておらず、監督はアラン・スミシー(← 何らかの理由で監督が降板した場合に用いられる架空の監督名。20世紀に用いられていた)がクレジットされている。

あらすじ (32分00秒の時点まで)

一代で大企業を築き上げた大富豪ビル・パリッシュ(アンソニー・ホプキンス)は、もうすぐ65歳の誕生日を迎える。ビルの妻は既に他界しており、彼は忘形見の2人の娘をとても愛している。特に下の娘がお気に入りだ。そんなビルだが、ある晩から耳元でささやくような謎の声に悩まされるようになる。

長女のアリソン(マーシャ・ゲイ・ハーデン)は、父を喜ばせたくて、ニューヨーク郊外にある一家の大豪邸で数日後に迫った父の誕生パーティーの準備に夢中だ。次女のスーザン(クレア・フォーラニ)は、ニューヨーク市内の病院で内科研修医として勤務している。

NY郊外の大豪邸で暮らすパリッシュ一家

姉アリソンの夫クインスも、妹スーザンの恋人ドリュー(ジェイク・ウェバー)も、ビルの会社の重役であり、特にドリューは若手のホープとして、会社の次世代のリーダーと目されている。そして今、ドリューはとある企業との合併契約をまとめようと躍起になっている。

ビル(アンソニー・ホプキンス)は、ドリューの人柄よりも、スーザン(クレア・フォーラニ)から恋人のドリューに対する情熱が全く感じられないことをとても心配している。恋とは、その人無しでは生きて行けないと思わせるぐらい人を狂わせるものであり、そんな経験こそが人生を豊かにすると愛娘スーザンに説くが、彼女はこれを聞き流すばかりだ。

そんなある朝スーザン(クレア・フォーラニ)は、仕事前に寄った市内のコーヒーショップで、たまたま居合わせた、最近街に引っ越してきたというハンサムな青年(ブラッド・ピット)と意気投合し、束の間の会話を楽しむ。二人は惹かれ合うが、連絡先も交換せずそれぞれの職場へと向かう。

コーヒーショップで惹かれ合う2人

ところがその直後、その青年(ブラッド・ピット)は不慮の交通事故に遭い即死してしまう。

時を同じくして、ビル(アンソニー・ホプキンス)は自社の社長室に独りでいる時に、心筋梗塞に見舞われ、激しい胸の痛みに悶絶しながらも、再度昨晩から耳元でささやく謎の声を耳にする。そして声の主に「今日はまだだ」と言われ、発作は収まる。

その晩、ニューヨーク市内の別宅に集まるパリッシュ一家。そこに、ビルを悩ませる謎の声の主が、死んだ青年(ブラッド・ピット)の身体に乗り移り、遂にその姿を現す。そう、声の主は、何千年、何万年という時を過ごし、人の死を扱ってきた死神だったのだ。

市内のパリッシュ邸に青年の姿で死神が現れる

死神は、ビル(アンソニー・ホプキンス)の死期をしばらく先伸ばしにする代わりに、その間ビルに人間界を案内しろと命じる。こうして青年(ブラッド・ピット)の姿をした死神は、ビルとビルの周りの人間と、しばらく生活を共にすることになる。

果たして美男子の姿をした死神は、人間界で何を見、何を感じ、最後にはどんな決断を下すのだろうか・・・?

見どころ (ネタバレなし)

この映画の見どころを3つの観点に絞って書いてみたいと思います。基本的には、見目麗しい作品なので、とにかく観て、聴いて、楽しんで!という映画だと思いますが、こんなことを頭の片隅に置いておいて頂くと、より楽しめるんじゃないかというポイントを厳選してみました。

皆さんがこの映画をより味わい深く鑑賞するお手伝いが出来ると嬉しいです。

キャスティングの妙

死神役に扮するブラッド・ピットと、死期を迎えた老人に扮するアンソニー・ホプキンスは、それぞれが名俳優であることは疑いの余地はないですが、この作品では、2人が共演することで生まれる化学反応を是非味わって頂きたいです。まさにキャスティングの妙だと思います!

というのも、ブラッド・ピットは当時34歳。サー・アンソニー・ホプキンス(1993年にナイトに叙勲)は当時60歳。

撮影時はまだ30代半ばで依然として美貌がキラキラしていたブラピが、25歳以上も歳上のホプキンス卿を相手に回し、死神として問答無用で命令を下す様は、下手なグロテスクな演出よりも遥かに大きな絶望感を私たちに与えてきます。

対するアンソニー・ホプキンスも、死神の死の宣告に対して、狼狽えるでもなく、憤るのでもなく、悲しむのでもなく、命乞いをするのでもなく、これを威厳を持って静かに受け入れる演技は、この名優でないと出せない妙味だと思います。

映画冒頭からこうした独特のケミストリーを起こす、この2人の演技にご注目ください。この辺りは、俳優のポテンシャルを存分に引き出すと言われる、名匠マーティン・ブレスト監督の面目躍如だと思います。

名言に耳を傾けてみる

サー・アンソニー・ホプキンスが演じるビル・パリッシュは、一代で巨大企業を築き上げた大物として描かれます。ただしその姿は、「ゴッドファーザー」(1972年) のビトー・コルレオーネのようなカリスマ・ドン風情とも、「ウォール街」(1987年) のゴードン・ゲッコーのようなハンター・リーダーとも趣が異なります。

ビル・パリッシュは、物静かで思慮深く、高潔で冷静な判断を下すリーダーとして描かれて行きます。しかし同時に、娘たち、特に次女のスーザン(クレア・フォーラニ)に向けるまなざしがとても暖かく、彼女が心から愛する人と結ばれることを切に願う慈愛に満ちた父親でもあります。

そう!ビルは、冷静沈着なリーダー像と、恋愛信奉者の父親像との二面性を持つ、大変奥行きのあるキャラクターなのです。実は、映画前半で素敵な名演説が飛び出すので楽しみにしていてください。というのも、ここで出てくる台詞、表現、言い回しが、この物語の基本線のような役割を果たして行くので重要なんです。お聞き逃しなく!

“Love is passion, obsession, someone you can’t live without.”

愛とは、情熱、執念、その人無しでは生きられないような誰かのこと

ビル・パリッシュ from the motion picture “Meet Joe Black” (「ジョー・ブラックをよろしく」より)
あわわっち

ウィキペディアに、アンソニー・ホプキンスは「ハンニバル・レクターのイメージに反しベジタリアンである」と書いてあって、ツボっちゃいましたwww

美しい音楽

音楽監督をトーマス・ニューマンが務めており、BGM がとても美しいです。

トーマス・ニューマンは「セント・オブ・ウーマン」(1992年) 、「ショーシャンクの空に」(1994年) 、「フェノミナン」(1996年) などで音楽を担当しており、美しい映像に美しい音楽を重ね合わせるのに定評がある音楽監督です。

この作品では、ここ一番という重要なシーケンスでは、アングル、カット、編集の大胆な工夫に、BGMの美しい旋律が加わって、緊張感、没入感を一段と高めてくれるので、こちらも楽しみに待っていてください。ってゆーか、その時には映画に浸っていて気付かないかも知れませんが、それこそが理想です。

まとめ

いかがでしたか?

死神が現れるなんていうちょっと突拍子もないストーリーなんですが、大変シリアスなドラマ作品なんだということが伝わり、是非観てみたいと思って頂けると嬉しいです。

この作品に対する☆評価ですが、

総合的おススメ度 3.0 三時間は流石に長い
個人的推し 3.5 総合力が高い作品
企画 4.0 主演2人のキャスティングの妙
監督 3.0 もう少し簡潔でも良かったのでは・・・
脚本 3.0 周囲のキャラの掘り下げ
演技 3.0 周囲のキャラの演技
効果 4.0 映像、音楽が美しい!
こんな感じの☆にさせて貰いました

このような☆の評価にさせて貰いました。

基本的に好きな映画で、個人的にはおススメしたい作品です。

でも、主要な3人のキャラクター(ブラッド・ピット、アンソニー・ホプキンス、クレア・フォーラニ)が丁寧に描かれている反面、周囲のキャラクターの掘り下げがちょっと足りない気がするのは筆者だけでしょうか。

上映時間が長い割には、その辺りの手薄さが、高い☆評価を付けるのをためらってしまった理由です。

あわわっち

好きか嫌いで言ったら好きな作品です!

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