この記事では、映画「ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える」の解説をします。2011年公開のこの映画は、ハングオーバー・シリーズの第2作目!そう、またヤラカシタ!しかも、タイで!楽園のような島のビーチで焚き火を囲んで語らってた筈なのに、起きたら見知らぬ小汚いホテルの一室…
この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。
もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。
この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴、あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。
この映画を観るかどうか迷っている人、観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人 のことも考え、ネタバレしないように配慮しています。
タイの喧騒を舞台に、今度はどんな”二日酔い”騒動が巻き起こるのか、一緒にこのハチャメチャな世界に足を踏み入れてみますか?
ジャッジタイム (ネタバレなし)
この映画を観続けるか、見限るかのジャッジタイムですが、
- 上映開始から、33分10秒の時点をご提案します。
ちょっと長めですが、この話の展開が飲み込めてくるのがこの時点なので、この辺りまでお付き合いいただいて判断されるのが良いと思います。
概要 (ネタバレなし)
この作品の位置づけ
「ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える」(原題:The Hangover PartⅡ) は、2011年公開のコメディ映画。ハングオーバー・シリーズの第2作目で、本作品もなかなかのハチャメチャぶりで、かつ下品な内容になっている。なので、こういう作風がお好きならゲラゲラ笑えると思うし、お嫌いな方はそもそもご覧になる必要は無いと思う。
どんな映画かと言うと、前作に引き続き”ハングオーバー”=二日酔いを軸にした話である。白人アメリカ人男性と、タイ系アメリカ人女性が、女性の両親のルーツであるタイのある島で結婚式を挙げることになった。ところが、新郎含む数人が、式の前日にビーチでビール1本を飲んだ以降の記憶を失い、気付いたらバンコクのオンボロホテルで目覚める。オマケに1人は行方不明になる始末というコメディだ。
前作の二番煎じ作品であることは正直否定しないが、上映時間は102分とコンパクト(1作目は108分)に仕上がっており、8千万ドルの製作費に対して5億8千7百万ドルと、前作(4億6千7百万ドル)を上回る特大ヒットを記録した。面白いもんは面白いんだからそれで良いんじゃないか?と楽しむのが、この作品の正しい視聴方法なんだと思う。
下品さバカバカしさ、全部ひっくるめて楽しんじゃいましょ!
トッド・フィリップス色
前作「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」(原題:The Hangover) では、監督と製作を二役を務めたトッド・フィリップスが、本作品では、脚本も加えて三役を担当している。つまり、トッド・フィリップス色が強くなっている作品となっている。
邦題 | 原題 | 公開年 | 監督 | 脚本 | 製作 |
ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い | The Hangover | 2009 | トッド・フィリップス | ジョン・ルーカス スコット・ムーア | トッド・フィリップス ダン・ゴールドバーグ |
ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える | The Hangover PartⅡ | 2011 | トッド・フィリップス | スコット・アームストロング トッド・フィリップス クレイグ・メイジン | トッド・フィリップス ダン・ゴールドバーグ |
ハングオーバー!!!最後の反省会 | The Hangover PartⅢ | 2013 | トッド・フィリップス | トッド・フィリップス クレイグ・メイジン | トッド・フィリップス ダン・ゴールドバーグ |
脚本も担当と言っても共著なので、脚本執筆の段階から監督の意向を直接的に反映することになったという程度なのかもしれないけど、この辺りがどう影響しているのかは、ご自身の目でご確認ください。
あらすじ (33分10秒時点まで)
歯科医のスチュ(エド・ヘルムズ)が結婚することになった。お相手はタイ系アメリカ人のローレン(ジェイミー・チャン)だ。新郎スチュは、新婦ローレンの両親の顔を立て、彼女の家族のルーツであるタイで結婚式を挙げることにした。
スチュ、フィル(ブラッドリー・クーパー)、ダグ(ジャスティン・バーサ)の親友3人組の間で、ラスベガスでの失敗を踏まえ、バチェラー・パーティー(=新郎が独身最後の夜に仲間と羽目を外す儀式的なパーティー)を開くべきかという論争をしている内に、トラブル・メーカーのダグの義弟アラン(ザック・ガリフィアナキス)もスチュの結婚式に誘わざるを得ない状況になる。
それぞれの思いを胸にタイへと向かうスチュ(エド・ヘルムズ)、フィル(ブラッドリー・クーパー)、ダグ(ジャスティン・バーサ)、アラン(ザック・ガリフィアナキス)の4人であったが、このフライトには想定外の同行者が一名加わった。それは新婦ローレンの弟テディ(メイソン・リー)だ。
テディは、まだ16歳なのにスタンフォード大学の医学部に通う天才児で、見た目も爽やかなイケメン少年だ。これに猛烈な対抗意識を燃やし、とたんに嫌がらせを開始するアラン(ザック・ガリフィアナキス)。
現地のタイの美しい島では、式の前夜祭が盛大に執り行われる。ところが、大富豪の新婦の父親フォーン(ニルット・シリジャンヤー)は、新郎スチュ(エド・ヘルムズ)を毛嫌いしていて、公衆の面前でスチュを侮辱することも厭わない。
気分直しに、1杯だけと言う約束で、ビーチで焚火を囲みながら、未開封で安全なビールで乾杯する、フィル、アラン、スチュ、ダグ、テディの5人。ところが朝を迎えると、フィル、アラン、スチュの3人は、見知らぬオンボロホテルの一室で目が覚める。酷い二日酔いで昨夜の焚火以降の記憶が全くない。
ダグは元のホテルで無事に過ごしていることが携帯電話で確認できたが、テディの姿がどこにも見当たらない。テディの両親も騒ぎ出しているとダグからも聞かされる。更に悪いことに、3人がいるボロアパートは、島から遠く離れたバンコクであることが判明。
果たして、フィル、アラン、スチュの3人はテディを見つけ、結婚式までに揃って島に戻ることが出来るのだろうか・・・
見どころ (ネタバレなし)
舞台はバンコク
前作「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」では、ドタバタ劇の舞台はラスベガスであった。本作では、タイ国でありバンコクだ。東南アジアのテイストがダダ漏れのこの街で、危険な香りがプンプンするドタバタ劇を楽しんで頂きたい。
特に、タイの南国の美しい景色とバンコクの喧騒とのギャップも強烈なので、退屈しないこと請負だ!
今回結婚するのはスチュ
本作で結婚する役回りはスチュ(エド・ヘルムズ)だ。見栄っ張りで事なかれ主義のスチュが、本作では新郎として大いにフィーチャーされるので、そこを楽しみにして頂きたい。その辺りを強調する意味もあってか、新婦の父親の大富豪がこれでもかスチュを面罵する描写も、ストーリーの火付け役として楽しい。
俳優 | 役名 | メモ |
ブラッドリー・クーパー | フィル・ウィネック | イケメン中学教師。愛妻家だが、パーティー、ギャンブル好き。 |
エド・ヘルムズ | スチュアート・”スチュ”・プライス | 歯科医。生真面目だが見栄っ張り。 |
ザック・ガリフィアナキス | アラン・ガーナー | チビデブ。コミュ障。トラブル・メーカー。トレイシーの弟 |
ジャスティン・バーサ | ダグ・ビリングス | まともな好青年。アランの姉のパートナー |
ケン・チョン | レスリー・チャウ | 謎のアジア人 |
ジェフリー・タンバー | シド・ガーナー | トレーシーとアランの父親 |
サーシャ・バレス | トレイシー・ガーナ― | ダグのパートナー |
前作では、新郎ダグのキャラクターがちょっと弱いような気がしていたので、本作ではその辺りの物足りなさは無いと思う。
新キャラ”テディ”とアラン
本作で行方不明になるのはテディだ。劇中では16歳ということになっている。劇中では序盤に、勉学も出来て、音楽的才能にも恵まれ、おまけに見た目も性格も良いという丹念な描写が続く。大富豪の父親からも自慢の息子として溺愛され、差し詰めアジアのプリンス像といった感じだろうか。
状況としては、義父に好かれようと必死な新郎が、義父の大のお気に入りの未成年の義弟を連れ回している内に、行方不明にさせてしまうという困ったシチュエーションだ。「またやっちまった」のみならず「こりゃやっべーぞ!」という焦燥感にご注目!単に新郎と義父のありがちなぎこちない関係性に頼るのではなく、そこに神童のような義弟を絡めてくる工夫が素晴らしい!
そして、この新郎の”義弟”というポジションは、前作のアランのポジションである。それでなくても人間的に問題大ありのトラブル・メーカー・アランが、このテディに嫉妬しまくるという構図も絡まって来て、連載漫画に単に新キャラが登場したというのとは一味も二味も違う、人間関係の絡み合いが楽しい。
トッド・フィリップスとザック・ガリフィアナキスのコンビ
前作「ハングオーバー!」(2009) と 本作「ハングオーバー‼」(2011) の間に、実はトッド・フィリップスとザック・ガリフィアナキスのコンビは、「デュー・デート ~ 出産まであと5日! 史上最悪のアメリカ横断 ~」という映画を撮っている。
妻の出産に駆け付けようとする夫(ロバート・ダウニー・Jr. )が、ザック・ガリフィアナキス扮する変人イーサンにその道中を妨害されるという話なのだが、そのイーサンのハチャメチャぶりは、ハングオーバー・シリーズのアランと構図としてはソックリである。
お伝えしたいのは、トッド・フィリップスとザック・ガリフィアナキスは、本作「ハングオーバー‼」では、単に前作「ハングオーバー!」の続編というのみならず、更にもう一作挟んでいて、お互いの持ち味を存分に理解しているという点だ。
続編であることの良し悪し
既に書いたように、前作の柳の下のドジョウを狙った感は否めない。そういう意味では続編であることのデメリットはある。一方で、あまりにも鮮烈だった1作目で、お約束的な描写が瞬間的に成立したのも事実で、そこをどう踏襲しているのか、どう裏切って来るのかという、続編ならではの楽しみ方が出来るのは実に愉快である。
上映時間も102分とコンパクトなので、この作品ならでは気怠いシーケンス(← 二日酔いならではの気怠さが見事に表現されている!)と、高速展開されていくシーケンスとのギャップも楽しみながら、あっという間の1時間42分を駆け抜けられるのではないだろうか?
まとめ
この作品に対する☆評価ですが、
総合的おススメ度 | 3.5 | 相変わらず下品ですw |
個人的推し | 4.0 | 前作ほどの衝撃は受けないけど面白い! |
企画 | 3.5 | 二番煎じは否めないですよねぇ |
監督 | 4.0 | コンパクトにまとまっていて凄い! |
脚本 | 4.0 | 登場人物の人間関係が良く練られている! |
演技 | 3.5 | 企画ありきの作品かも |
効果 | 4.0 | 色々小細工が面白いです! |
面白いです!シリーズものがお好きな方は、素直に続編として楽しんでいただければ、特にガッカリ感は無いと思います。ただ、相変わらず下品な作品なので万人にはお勧めしないです。
既に書きましたが、登場人物の人間関係が、複雑に絡むように上手に設計されていると感じました。二番煎じ感は否めないけど、単なる二番煎じでは無いところに、大ヒットの理由があるんでしょうか?
前作が4億5千万ドル越え、本作が5億5千万ドル越えと、人々は下品でバカバカしい話を求めているのでしょうか?www