この記事では、映画「ハングオーバー!!! 最後の反省会」について解説します。2013年公開のこの映画はハングオーバー・シリーズの3作目で、三部作最後の作品となります。今度は二日酔いじゃないよ。その代わり、もっと過酷な運命が、いつものメンバーを待ち受けている。今度は誰が悪いんだ?いや、その前にこの状況を何とかしなくちゃ…
この映画を観るか迷っている方は、後でご提案する ”ジャッジタイム” までお試し視聴する手もあります。これは映画序盤の、作品の世界観と展開が ”見えてくる” 最短のタイミングのことで、作品が気に入らなかった場合に視聴を離脱する目安タイムです。
もし、この映画が気に入らなかった場合でも、このジャッジタイムで観るのを止めちゃえば時間の損切りができます。タイパ向上のための保険みたいなものです。
この映画を初めて観る方のことも考えて、ネタバレなし で、作品の特徴、あらすじ(ジャッジタイムまでに限定)、見どころを書いて行きます。この映画の予習情報だとお考えください。
この映画を観るかどうか迷っている人、観る前に見どころ情報をチェックしておきたい人 のことも考え、ネタバレしないように配慮しています。
最終章にふさわしく、ブラック・ジョークが更にパワーアップしているこの作品。分かっちゃいるけど、つい観てしまうこのドタバタ劇の世界に足を踏み入れてみてください!
ジャッジタイム (ネタバレなし)
この映画を観続けるか、見限るかを判断するジャッジタイムですが、
- 上映開始から23分50秒の時点をご提案します。
ここまでご覧になると、続編として主要登場人物たちの状況がアップデートされ、更に本作品がどういう方向に展開していくのか掴めてきます。判断を下すのに最適なポイントだと思います。
概要 (ネタバレなし)
この作品の位置づけ
「ハングオーバー!!! 最後の反省会」(原題:The Hangover PartⅢ) は、2013年公開のコメディ映画。ハングオーバー・シリーズの第3作目にして、目下のところ(2023年4月現在)シリーズ最終作である。
本シリーズの監督、脚本、製作を務めてきたトッド・フィリップスは、4作目は作らないとは公言していないので、可能性はゼロでは無い。しかし、ここまでの3作は2年おきにコンスタントに制作されてきたこと、3作目から既に10年が経過していることに鑑みると、続編の可能性はかなり低いのではないだろうか(詳細は下の図を見て頂きたい)。
邦題 | 原題 | 公開年 | 監督 | 脚本 | 製作 |
ハングオーバー!消えた花ムコと史上最悪の二日酔い | The Hangover | 2009 | トッド・フィリップス | ジョン・ルーカス スコット・ムーア | トッド・フィリップス ダン・ゴールドバーグ |
ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える | The Hangover PartⅡ | 2011 | トッド・フィリップス | スコット・アームストロング トッド・フィリップス クレイグ・メイジン | トッド・フィリップス ダン・ゴールドバーグ |
ハングオーバー!!!最後の反省会 | The Hangover PartⅢ | 2013 | トッド・フィリップス | トッド・フィリップス クレイグ・メイジン | トッド・フィリップス ダン・ゴールドバーグ |
なお、本作は前二作とはちょっと趣が異なる内容だ。お約束の冒頭のハングオーバー(二日酔い)というプロットではない。一方で、前2作と比較してもかなりブラックジョークがドギツくなっているので、良く言えばパワーアップした作品だし、悪く言えば下品な悪ノリが酷くなっている。好き嫌いがハッキリ分かれるんじゃなかろうか?
商業的成果
上映時間は100分と、三作続けてコンパクトに仕上がっている。製作費は1億3百万ドルで初のビッグバジェット(=1億ドル越えの予算のこと)を確保。世界興行収入は3億6千2百万ドル。もちろんこれだけの興行収入なので、大ヒットには違いないが、大金を掛けた割には・・・というのが関係者の本音なんじゃないだろうか。失速感も否めないので、これで打ち切りは賢明だと思う。
2008年のリーマンショック直後だったから馬鹿馬鹿しい映画がウケたのかな?徐々に世相も変わって来てという影響もあったりして。
トッド・フィリップスのリーダーシップ
本作でも前作に引き続き、トッド・フィリップスが三役(監督・脚本・製作)をこなしている。更に、脚本は前作は3人の共著だったものが、本作ではクレイグ・メイジンとの2人での共著になっている。この辺りからもトッド・フィリップスのリーダーシップが益々濃い作品となっているのが透けて見える。
果たしてそれが吉と出るか、凶と出るのかは、本作品をご覧になって判断していただきたい。
あらすじ (23分50秒の時点まで)
タイ・バンコク郊外の刑務所に収監されていたレスリー・チャウ(ケン・チョン)は、刑務所での暴動に乗じて脱獄を果たす。
最近、アラン(ザック・ガリフィアナキス)の傍若無人ぶりは益々ひどくなるばかりだ。遂には、ペットにすると独断でキリンを購入し、しかも自身が運転する自家用車で檻を牽引して自宅に運ぼうとする。ビールを飲みながら陽気に高速道路をひた走るが、比較的高さの低い立体交差をくぐる際に、キリンの頭がこれにぶつかり、ちょん切れたキリンの頭部が後方に吹っ飛んで、後続車に大規模玉突き事故を起こさせてしまう。
この一件は、鮮烈なニュースとして全国ネットで報道され、アランは雑誌の表紙も飾る。コネと大金をつぎ込んでこの一件の火消しに追われた父親のシド・ガーナ―(ジェフリー・タンバー)は心労が祟り、反省の色を見せないアランへの説教中に心臓発作を起こして急逝してしまう。
父シドの葬儀で喪主の挨拶に立ったアランは、その弔辞で父親の生前の様子を捻じ曲げ、母リンダと姉トレイシーを誹謗中傷する。忍耐の限界に達したガーナー家の関係者は、アランをリハビリ施設に入院させることを決意する。
一族の関係者にフィル(ブラッドリー・クーパー)、スチュ(エド・ヘルムズ)も加わり、アランの義兄ダグ(ジャスティン・バーサ)の仕切りによる、アラン説得の場を持つ。当然難色を示すアランであったが、フィルの「俺たちが施設まで車で送る。アラン、愛してる」という言葉が決め手となって、入院が決まる。
アリゾナの施設に向けて砂漠上のハイウェイを車で進むアラン、フィル、エド、ダグの4人。
だが、突如大型トレーラーに衝突され、降りてきた覆面集団にそのまま拉致されてしまう。首謀者は”黒い方のダグ”(マイク・エップス)とそのボスのマーシャル(ジョン・グッドマン)だった。
マーシャルは、自身の金塊2,100万ドル分をレスリー・チャウ(ケン・チョン)に強奪されたままになっており、これを取り返そうとするも、獄中では手が出せず、脱獄後は足取りが掴めなくなっていた。チャウが獄中で唯一連絡を取り合っていたのがアランと知り、4年前のラスベガスでの”黒い方のダグ”とのいざこざ絡めて難癖を付けて、この4人にアラン捜索を押し付ける。
もちろん断る4人だったが、ダグだけが人質として連れ去られ、残る3人には選択肢が無くなってしまう・・・
果たして3人は、チャウを見つけることが出来るのか?チャウを差し出すことが出来るのか?そして、無事ダグを奪還することができるのだろうか…?
見どころ (ネタバレなし)
プロットの転換
既に述べてきたように、本作は、冒頭に”二日酔い”になって、昨夜の”記憶が吹っ飛んでいる”ことに気付いて…、というお約束の幕開けではない。そういう意味では、正統な”ハングオーバー物”ではない(こんなジャンルがあるのか知りませんがw)。
ただし、新たなギャングが登場してきて、過去の因縁がほじくり出されるなど、シリーズものならではの面白さが発揮されている!三作目として、この辺りを素直に楽しむのが、この映画の正しい鑑賞法なんだと思う。
更に、キリンのくだりとか、父親のくだりとか、ブラックジョークの色が強くなってきている。この点は、この作品に対する好き嫌いが分かれるところなので、ご自身で観る観ないをご判断いただきたい。
アラン (ザック・ガリフィアナキス) の比重
三作目を迎えて、ザック・ガリフィアナキス扮するアランの比重が更に大きくなってきていると思う。1作目では、親友3人組の招かれざるキワモノの客という立ち位置だったし、ダグを捜索する3人組に次から次へと降りかかる火の粉に対して、3人が三者三様の反応をするのが面白い、特にアランの特異な言動がメチャクチャという構図だった。
俳優 | 役名 | メモ |
ブラッドリー・クーパー | フィル・ウィネック | イケメン中学教師。愛妻家だが、パーティー、ギャンブル好き。 |
エド・ヘルムズ | スチュアート・”スチュ”・プライス | 歯科医。生真面目だが見栄っ張り。 |
ザック・ガリフィアナキス | アラン・ガーナー | チビデブ。コミュ障。トラブル・メーカー。トレイシーの弟 |
ジャスティン・バーサ | ダグ・ビリングス | まともな好青年。アランの姉のパートナー |
ケン・チョン | レスリー・チャウ | 謎のアジア人 |
ジェフリー・タンバー | シド・ガーナー | トレーシーとアランの父親 |
サーシャ・バレス | トレイシー・ガーナ― | ダグのパートナー |
でも三作目まで来ると、アラン(とチャウ)が台風の目と言うか、震源地と言うか、とにかくアラン(とチャウ)に引っ掻き回される映画ですね。親友三人組は、それぞれのパートナーとの生活の充実ぶりも演出されていて、3人は大人になって来ているのに、どうしてアランはいつまでも・・・?という構図を強調していますね。
ちなみに、劇中では42歳設定だそうです。
自分が42歳の時ってどんなだったっけかな?w
スケールアップ
ネタバレしないために、詳細な記述は避けますが、予算も沢山ついて、確実にスケールアップした仕上がりになってますね。1作目の、予算の制約もあり、昨夜一晩の間に登場人物たちの半径5メートル圏内で、こんなドタバタが起きてたんだ!という面白さとは一線を画して、様々なロケ地と大掛かりなセットを使って、大規模な騒動に巻き込まれて行く感が、流石ハリウッド映画という感じです!
規模がデカいから面白いって訳じゃないところが難しいですよね・・・
音楽
このハングオーバー・シリーズ、3作続けてクリストフ・ベックという人が担当しています。しかし、この3作目が一番劇中で音楽が果たす役割が大きいような気がするのは気のせいでしょうか?ビリー・ジョエルの「マイ・ライフ」とか。
ストーリーが終わった後のエンドロールで、フィル・コリンズの「Into The Air Tonight」という曲が流れますが、これがとても印象的です。しかも敢えて、この曲のもっともドラマティックなパートである3分40秒辺りから再生されています。
この曲は、フィル・コリンズがバンド”ジェネシス”から離れてソロ活動を行った際の、最初のシングルですね。1980年代に一世を風靡したアメリカ・ドラマ「Miami Vice」(邦題:特捜刑事マイアミ・バイス) の第1話(パイロット)で使われたことでも有名です。
まとめ
ネタバレを避けようとすると、なかなかお伝えし切れない点が結構出て来てしまったのですが、この作品が前2作とは趣がことなること。スケールがとても大きくなったことがお伝え出来ていれば幸いです。
この作品に対する☆評価ですが、
総合的おススメ度 | 3.0 | 益々お勧めは出来ないですwww |
個人的推し | 4.0 | 個人的には嫌いじゃないです! |
企画 | 3.5 | 頑張った! |
監督 | 3.5 | 本作で最終章にしたので良きでしょう |
脚本 | 3.5 | アラン/チャウの2変態頼み? |
演技 | 4.0 | 演技はそれぞれ素晴らしい! |
効果 | 4.0 | ちゃんとリアリティが高いです |
面白いです!面白いですけど、これを面白がってる自分って大丈夫かな?とちょっと心配になりますw
繰り返しますが、ブラックジョークを笑い飛ばせる方なら楽しめると思います。スケールアップした演出で押し切ってくる感もあるので、そういう目線で観れば十分楽しめると思います。
1作目、2作目無しで、いきなりこの3作目単独だったら詰まらなく感じていただろうけど、ちゃんと経緯が描かれた上でのこの作品なので良しとしましょう。そういう意味ではシリーズ物って強いですね。
3つトータルで考えると、メチャクチャ面白いです、やっぱり!