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天才クリストファー・ノーラン:新作「オッペンハイマー」が正念場なわけ

この記事では、天才の名を欲しいままにしてきたクリストファー・ノーランも、実は新作「オッペンハイマー」を公開する本年2023年が、キャリアの正念場だということを解説します。

というのも、彼のキャリアを商業的な観点から冷静に振り返ると、実は結構ピンチなことが分かります。数字はウソを付かないので。

ただ一方で、ある別の見方で彼のキャリアを振り返ると、7年前に既に新たな一手を打っていることも分かります。

こうした複眼的な分析を通して、本年7月21日に公開される新作「オッペンハイマー」の位置づけ、そこにかかる期待。それらを浮き彫りにして行くというのがこの記事の狙いです。

すなわち、新作「オッペンハイマー」とそれが公開される2023年は、クリストファー・ノーランにとって正念場な訳です。

どう正念場なのか、見ていきましょう。

目次

正念場な理由

では何故、クリストファー・ノーランは2023年が正念場と言えるのか、順を追って見てみよう。

見えてくるあるパターン

まず、クリストファー・ノーランの映画監督デビューから今日に至るまでの遍歴(フィルモグラフィー)を一覧表にまとめたので見てみよう。

クリストファー・ノーランのフィルモグラフィー

この表を眺めながら作品を、制作時期と内容で仕分けてみると、どうやら5つのグループに分けることが出来そうだ。すなわち、

  1. 自主製作期 – 黎明期 (白)
  2. サスペンスを描いていた時期 (緑)
  3. バットマンを描いていた時期 (青)
  4. SFを描いていた時期 (紫)
  5. 直近の時期 (オレンジ)

だ。分かりやすいように、作品名の背景色を色分けしておいた。

自主製作期 – 黎明期 (白)

クリストファー・ノーランは、1998年に「フォロウィング」という超低予算映画でデビューします。

この時には既に、製作、脚本、監督の主要な3役をこなしており、自分のアイデアは自分で具現化するという、ノーラン的手法の原型が出来ていたんでしょう。

ただし、本作品は製作費が6,000ドル。興行収入も約48,000ドル。上映時間も70分と、自主製作映画の延長線上的位置づけで、実は撮影、編集も本人クリストファー・ノーランがこなしています(つまり、1人5役の活躍)。

何でも自分でこなしちゃうノーランさん

一方で、公開前年の1997年に結婚したエマ・トーマスがこの時製作に名を連ね、かつ、この後「プレステージ (2006)」まで継続的に仕事をするデヴィッド・ジュリアンが音楽を担当する等 、この後メジャー路線に羽ばたいた後にもコラボレーションする心強い仲間も集まり始めます。

この時期は、真のプロとしての足掛かりを築いた時期と言えそうです。

サスペンスを描いていた時期

この後ノーランは、「メメント (2000)」「インソムニア (2002)」。(「バットマン ビギンズ (2005)」を挟んで、)「プレステージ (2006)」と、観ている側がヒリヒリするような ”サスペンス物”を、足掛け8年間で3作製作・公開する。これを筆者は勝手に、クリストファー・ノーランのサスペンス三部作と呼んでいる

最初の「メメント (2000)」では、弟のジョナサン・ノーランが書いた短編作品を基に、脚本をそのジョナサンと共同で書き上げている。心強い相棒の登場だ!

短期記憶が10分で消える脳障害を持つ主人公の恐怖を観客にも疑似体験させるために、時系列を徹底して細切れに切って並び替える編集を敢行した。こうして視聴者の頭の中にも、全編見通さないと点と点が繋がらないカオス状態が再現された。こんな大胆な手法で観る者を恐怖のどん底に陥れた。これぞサスペンス

次の「インソムニア (2002)」では、「メメント」の成功を引っ提げて、ハリウッド側から招聘される形で監督のみを務めた。ノルウェー映画のリメイク作の舞台にアラスカを選び、良心の呵責から極度の不眠症に陥る初老の刑事を、陽が沈まない白夜が追い討ちを掛けて行く陰鬱さを見事に映像化した。

憔悴するベテラン刑事。追いつめる知能犯。その様を見つめ葛藤する若手刑事。これら重要な役割に、アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンクという3人のオスカー俳優が配されるというハリウッド側からのプレゼントを、見事余すことなく生かし切って見せた

サスペンス三部作最後の「プレステージ (2006)」では、ヒュー・ジャックマンクリスチャン・ベールを主演に迎え、因縁によりいがみ合う、才能豊かな2人のマジシャンの姿を描いた。

トリックとは「騙され続けたいという深層心理を持つ観客が、真実に目を向けないことで成り立つ物」という哲学が作品の根底にあり、この映画の視聴者は劇中のマジックに目を奪われている内に、クリストファー・ノーランが仕掛けた映画全体の罠にハマってしまうという、高度なトリックショーを実践してみせた。

本作品ではアカデミー撮影賞と美術賞も受賞し、いよいよ映像作家として芸術的な評価も高まって行く

この時期に、この後「ダークナイト ライジング (2012)」まで組むことになる撮影のウォーリー・フィスターと仕事をし始め、編集のドディ・ドーンとは「メメント」「インソムニア」で組み、音楽のデヴィッド・ジュリアンとは、「プレステージ」まで一緒に仕事をする。

こうして、信頼できるスタッフと継続的に仕事をする体制が組めるようになり、優れた脚本を、あらゆる撮影技術、大胆な編集、そして作品意図を増幅させる音楽で料理して、観客を混乱させたり、心理的に揺さぶったり、時に騙したりする映像作家としての地位を確立して行く。

商業的にも、4千万ドル程度の製作費で、キッチリ1億ドル以上の世界興行成績を上げる監督という評価も高めていった時期と言えることも、上述の表から確認して頂きたい。

Dark Knight Trilogy – ダークナイト三部作の時期

メメント (2000)」「インソムニア (2002)」の成功により、ワーナー・ブラザースはバットマン・シリーズのリブート作の作り手に、クリストファー・ノーランを指名する。ノーラン34歳の時である。

キャリアで初めて1億ドル以上の製作費(いわゆる”ビッグ・バジェット”)を得て、バットマンという伝統的なヒーローをノーラン色に染め直す作業に取り掛かる

ノーラン色のバットマン・シリーズ

1作目の「バットマン ビギンズ」では、ノーランは脚本と監督を務め、バットマンの正体ブルース・ウェインが、何故”コウモリ”に固執し、そして何故肉弾戦もあんなにも強いのか、前日譚を丁寧に紡ぎ出すことで新たなバットマン像の確立に成功

興行的には世界興行収入が3億7千万ドルと、製作費1億5千万ドルに比してやや期待外れに終わった感は否めないが、クリスチャン・ベールマイケル・ケインゲイリー・オールドマンモーガン・フリーマンという超名優たちと共に、シリーズの露払いが完璧に出来たのは確かだと思う。

2作目の「ダークナイト」で、シリーズは大化けする。

ヒース・レジャー扮するジョーカーが登場し、「ヒーローとは民衆からの信頼があってこそのアイコンだ」という大衆心理のアキレス腱を、このジョーカーが巧みに突き崩して行く。市民とヒーロー、市民と市民の信頼関係が再三に渡って試される中で、バットマンは”ダークナイト (暗黒の騎士)”に転落せざるを得ない状況に追い込まれて行く。

通常単なるヒーロー・アクションものに留まりがちなバットマン作品。ジョーカーという触媒が加わると、人間の内心に潜む欺瞞や憎悪が、こうもたやすく白日の下に晒されてしまうのか?単なる娯楽作品がドラマ巨編へと昇華されていく

本作の題名「ダークナイト」を取って本三部作が「ダークナイト三部作・Dark Knight Trilogy」と呼ばれるのも頷ける。

本作からノーランは、監督、脚本に加え、原案、製作にも名を連ねる(次作も)。興行成績は、製作費の1億8千5百万ドルに対して、世界興行収入が10億ドルを突破する特大のヒットとなった。

本作が遺作となったヒース・レジャーがアカデミー助演男優賞を獲得し、本作が何故アカデミー賞の作品賞にノミネートさえされないんだ?とノミネート枠数の議論にも発展(翌年からアカデミー作品賞のノミネート枠が5から10に倍増された)。

クリストファー・ノーラン37歳。いよいよ才能が完全に開花した時期と言えるんじゃないだろうか?

3作目「ダークナイト ライジング」に入っても、シリーズは勢いを失わない。アン・ハサウェイトム・ハーディ、マリオン・コティヤール、ジョセフ・ゴードン=レヴィットがキャストに加わり、新たなキャラクターの新たな哀しみがストーリーに織り込まれて行く

特にアン・ハサウェイとトム・ハーディの怪演が光り、ストーリーに厚みが増して行く

「ダークナイト」公開時には、映画シリーズで優れた3作目なんて存在するのか?なんて弱気な発言も目立ったノーランであったが、興行成績は蓋を開けてみると、製作費の2億5千万ドルに対して、世界興行収入が10億8千万ドルと前作を上回り、今現在(2023年3月)でもクリストファー・ノーランのキャリア最大のヒット作であり続けている。

このダークナイト3部作を経て、

  1. クリストファー・ノーラン自身が、原案・脚本・製作・監督とあらゆる局面で作品作りに携わるスタイルを完全に確立
  2. ジョセフ・ゴードン=レヴィットやトム・ハーディのように、ノーラン映画の別作品でも常連になって行く俳優が発掘された
  3. 撮影のウォーリー・フィスターは引き続き起用された他、新たに音楽のハンス・ジマー、編集のリー・スミス、美術のネイサン・クロウリーとの信頼関係がこの三部作の時期に確立したことが伺える。

古い表現を用いるならば、プロフェッショナルの集団であるノーラン組が出来上がった時期と言える。

SF (サイエンス・フィクション) アクションの時期

クリストファー・ノーランは、ダークナイト三部作の製作と並行して、2010年「インセプション」を製作・公開してみせる。ここから「インターステラー (2014)」「テネット (2020)」と、

  1. オリジナル作品であり、大掛かりで奇想天外な設定
  2. 変則的な時系列を辿るストーリー展開
  3. 科学的な裏付けも得て徹底したリアリティの追求

を特徴とする、SFアクション三部作を製作・公開して行く

あわわっち

私が勝手にこの3作を、ノーランのSFアクション三部作と呼んでおります、すみません。

インセプション (2010)」では、ターゲットとなる要人の夢に潜入し、そのターゲットの潜在意識にこちらの意図した観念を植え付けることで、結果そのターゲットの行動を変容させるというスパイアクションを描いた。

この際、夢の世界が現実と寸分違わないと何も面白味が無いし、一方で現実味が無いとアクション映画のリアリティが出ない。そんな夢の世界を、大胆で緻密に、かつ絶妙なラインで歪ませて描くことで、視聴者は”リアリティ”を疑わずにこのワンダーランドの住人となってしまった

ノーランのライフワークである時系列イジリも健在で、夢の中は時の経過速度が20分の1。夢の中で更に夢を見ると20 x 20 で400分の1なんて設定が施される!

このアイデアのお陰で、ターゲットをたとえ短時間であっても、二重、三重に夢を見させられれば、ほぼ無限の時空間で細工が可能になるという、広大な砂場で一日中過ごすことを許された子供のような条件が整うことになった

主役にレオナルド・ディカプリオが配されたことで、スター性、話題性もバッチリ!1億6千万ドルの製作費に対して、8億3千7百万ドルの世界興行収入を得た

これは単純に比較は出来ないものの、バットマン ビギンズ」と同程度の製作費で、「バットマン ビギンズ」の2倍以上の売上を得た格好になる。奇想天外な完全オリジナル・ストーリーで作家性を追求することと、商業的な娯楽性を追求することは、両立可能なんだという自信を、ノーランはこの作品で得たのではないだろうか?

続く「インターステラー (2014)」では、遂に舞台は宇宙へと飛び出す。ノーベル賞クラスの科学者の徹底した監修を得ながら、いわゆる”ブラックホール”の映像化に挑み、壮大なアドベンチャー・ムービーが創作されていく。

ストーリーの背景は、地球資源の枯渇や、未知なる宇宙へのフロンティアでありながら、その実描かれているのは、知性を追求することの尊さ、人間のエゴと自己犠牲の葛藤、愛や信頼は時空を超えるのか?といった社会生活における我々の半径5メートル内のテーマであり、結局詰まるところ人ってそこだよね!みたいな妙な納得感を覚えてしまう。

あわわっち

こんな感じで納得してしまったのは私だけでしょうか・・・?(笑)

興行成績は、1億6千5百万ドルの製作費に対して7億ドルの世界興行収入という、前作「インセプション」よりは劣るものの、シッカリとヒット作を世に送り出した

作家性と娯楽性の両立は依然キープしている。ただ本作品から、理解のための難易度が凄く上がったように思う。それは芸術性の高い難解なストーリーであるというベクトルではなくて、単純に科学的な理解が追い付かない感じだ。

2回目視聴した時に、1回目は見逃していた伏線に気付いたみたいな喜びは依然としてあるが、2回目の視聴で登場人物たちの会話の内容が初めて理解できた、みたいな。

もしこのことへの不満をノーラン監督に伝えたら、「知性の追求を諦めることは、人類の衰退を意味する」とか言われそう(←インターステラーで出て来そうなセリフ)。

なお、この傾向は次作「テネット」で加速して行く。

3作目の「テネット (2020)」では、遂に時系列が逆行される様が描かれた

これまで、ターミネーター・シリーズやバックトゥザフューチャー・シリーズ等、タイムトラベルを描くストーリーは数多くあった、ただしそれらは全て、時系列上のある地点からある地点に、タイムマシン(もしくは何かの天変地異)によって、時間を非連続的にワープするというものであった。

しかしこの「テネット」では、世の中には時系列を逆向きに、かつ連続的に遡って行く逆行の世界が存在し、しかもそれは時系列を順行する世界と同居出来るって言うんだから実に難解だ。同一の世界で時間を順行する人や物と、時間を逆行する人や物が同居して、しかも互いに干渉し合う様が描かれたのだ。

この結果、過去から未来へ、未来から過去へと、様々なベクトルの伏線が幾重にも張り巡らされるストーリーが成立し、それはそれで本当に独創的で面白いんだけど、何回観ても謎が解けない、あるいは一回理解したけど、しばらくするとまた解らなくなるシーンが散見される結果となった。

あわわっち

時系列イジリの名手クリストファー・ノーランが、遂に時間を逆行させたか!って感じ

そして、この超高度な難解ストーリーの公開時期にコロナ禍が直撃してしまった。

この作品は、世界各国で時期に若干ズレはあるものの、基本的にはポスト・コロナに世界が向かい始めていた2020年秋口に公開された。アメリカ国外では上々の滑り出しを見せたものの、大都市部を中心に未だコロナの混乱が続くアメリカ国内の興行成績が足を引っ張る形になり、2億2千5百万ドルという高額な製作費に対して、世界興行収入は3億6千5百万ドルに留まった

背景事情への考慮を排して、この数字だけ見れば、商業的にはコケた部類に入る。

ホップ・ステップ・ジャンプ(「インセプション」→「インターステラー」→「テネット」)と、三部作の3作目で2億ドル以上の製作費をかけて超大作を世に送り出し、それに見合うだけの評価と収益を得る。ダークナイト三部作と全く同じパターンの成功を狙ったのだが、このSFアクション三部作では、ジャンプのところで急失速した格好になる。

この時期は、ノーランとノーラン組にとって、作家性、独創性を大いに飛躍させた時期でもあり、娯楽性、商業性との両立の意味においては、一定の挫折を味わった時期なんじゃなかろうか?

三部作志向

3つの三部作の軌跡

一旦整理してみよう。

ここまでキャリアを振り返ってきた通り、クリストファーノーランは「メメント」でメジャーデビューを果たした以降は、

  1. サスペンスを描いていた時期 (緑)
  2. バットマンを描いていた時期 (青)
  3. SFを描いていた時期 (紫)

と区分できることが分かった。

そして、実はそれらは全て三部作単位になっていて、三部作ごとに特定のテーマを掲げ、それを洗練させて来たことも分かった。

更に、こうしたアプローチが、能動的に自身や自身のスタッフの技法を実践的に高め、それを商業的な成果に還元して来たこともハッキリと確認出来たと思う。

では、その3つの三部作の商業的な軌跡をグラフで整理してみよう。

世界興行収入(オレンジ)と製作費(青)の推移

こうして定量的に評価すると、「ダークナイト (2008)」と「ダークナイト ライジング (2012)」の爆発的大ヒットは別格だとしても、テネット (2020)」のコケ方が否が応でも目立ってしまう。製作費が非常に高いことも、更にそれを強調している。

クリストファー・ノーランが時折、「落ち目」「金食い虫」「オワコン」と揶揄されてしまうのは、こうした背景からだ。

あわわっち

我らがクリストファー・ノーランは、どう活路を見出すのだろうか?

新たな三部作の予感

では、こうした状況をノーランはどう打破しようと考えているのだろうか?

のり代攻撃

これまで見てきたように、クリストファー・ノーランの三部作志向に鑑みると、今現在も新たな三部作に取り組んでいるのではないか?という気もする。

そんな考えを頭に置きながら、再度グラフを眺めてみると、ある法則に気付く。それは、新たに着手する三部作の1作目は、前の三部作を完結する前に製作・公開している点だ。「バットマン ビギンズ (2005)」然り、「インセプション (2010)」然り。

そう!クリストファー・ノーランは、前三部作と新三部作をちょっと重ねてのり代攻撃を仕掛けてくるのだ。

そうなると俄然注目したくなるのが、ダンケルク (2017)」だ。

ダンケルクのテーマ

これまでのパターンから言って、この「ダンケルク」が新たな三部作の1作目の可能性は高い。

では、その新三部作に共通するテーマは何か?

「ダンケルク」は、クリストファー・ノーランがそのキャリアで初めて史実を扱った作品である。1940年5月から6月における、英・仏連合軍がフランスの港町ダンケルクから海路グレート・ブリテン島に撤退する1週間を臨場感たっぷりに描いた作品。

しかも、本作の製作費は1億ドル。1億ドルっていうのは”ビッグ・バジェット”であり超大金だが、SFアクション三部作で費やしてきた製作費に比べれば大変リーズナブルである。

更にこの作品は、世界興行収入5億2千7百万ドルを稼ぎ出し、527.3%のリターンをもたらした。この利益率は、超低予算映画の「フォロウィング」を除くと、インセプション (523%)」をわずかに超え、「ダークナイト (543.8%)」に次ぐコスパの良さだ。

新三部作の輪郭

新たな三部作においては、SFアクション三部作とは一線を画して、1億ドル程度の製作費で大きなリターンを狙う。しかもそのテーマは過去の史実。本年2023年に公開を控えているノーランの次回作は、原爆の父と呼ばれたオッペンハイマーの伝記映画だ。こちらの製作費も1億ドルとのこと。

クリストファー・ノーランは次の三部作として、リーズナブルな製作費を費やす”WWⅡ (第二次世界大戦)三部作”を目論んでいるのではあるまいか?これが筆者が出した結論だ。

テネット (2020)」での興行的な失敗が大きな要因となって、「インソムニア (2002)」から続いて来たワーナー・ブラザーズとクリストファー・ノーランとの契約は打ち切られ、ノーランの次作はユニバーサルから配給されることになったらしい。

新たなパートナーが、「オッペンハイマー」を効果的にプロモーションしてくれることを期待してます。

2023年「オッペンハイマー」が正念場

そろそろこの記事全体を総括したいと思う。

仕掛かり中の新三部作を意識してグラフを書き直すとこのようになる。

オッペンハイマーがどれだけ売り上げるかに注目だ!

繰り返すが「ダンケルク」は、1億ドルの製作費で、5億ドル以上の売上を上げた。「オッペンハイマー」の製作費も、赤枠で囲ったように1億ドルだ。

WWⅡ三部作 (World War 2 Trilogy)

「サスペンス三部作」「ダークナイト三部作」「SFアクション三部作」と来て「WWⅡ三部作」。その第2作であると思しきオッペンハイマー (2023)」には、1億ドルの製作費で「ダンケルク (2017)」を超える6億ドル以上の売上を上げて欲しいというのは、筆者のような素人でも考えることだ。

クリストファー・ノーランにとって2023年が正念場だと述べてきた、その正念場の内容と根拠は以上である。

まとめ

現在52歳のクリストファー・ノーラン、老け込むには早過ぎる。「オッペンハイマー (2023)」で、史実をベースにしたリアリティ、実話だからこそ示せる明確な方向性。これらをベースに更に発揮される発揮される想像力。まだ見ぬその新作で新たな成功を印象付けて、再び上昇気流に乗って欲しい。

ちょっと時系列イジリが目的化しているようなきらいもあったけど、「ダンケルク (2017)」で見せたような、本質を浮き彫りにする手段としての時系列イジリで、これからも独創的な作品を作って欲しいです!

オッペンハイマー (2023)」を観る前に、さらにその次の作品の題材は何か?を知りたくなってます。「WWⅡ三部作」の仮説を裏付けるためにも。

あわわっち

2023年7月21日公開。まずは3年ぶりの新作「オッペンハイマー」を観るぞ!

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